血に濡れた約束は廃墟に眠る

まちにゃ

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仲間

ゴロツキ

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【3年後】レヴィア(24) マチルダ(14)


――地下街・とある夜

レヴィアとマチルダは、埃っぽい路地を黙って歩いていた。夜の地下街は、喧噪が沈んだあとの不気味な静けさに包まれている。
ほんのり血の匂いが漂うのは、誰かがすぐ近くで揉めたせいか、それとも……日常の一部か。

「……来てるな」

レヴィアがふと立ち止まる。次の瞬間、狭い通りの奥から、複数の足音が響いてきた。
現れたのは、粗末な武器を手にしたゴロツキたち――十人。

「おいおい、レヴィアさんじゃねぇか。こんな可愛らしいガキ連れて、どこ行くつもりだ?」

ひとりがニヤつきながら前に出る。背後で何人かが囲むように位置を取った。

マチルダはふわりと肩をすくめ、道の端の低い壁に腰を下ろすと、退屈そうにあくびをした。

「まとめて殺っちゃう? なんか多いし、めんどくさそうだけど」

「お前が手を出すまでもねぇ」

レヴィアが冷たく言い放つ。

「えーん」

マチルダは棒読みで口を尖らせ、すでに敵の人数と武器を把握済みだった。さらに、その視線はさりげなく上――建物の屋根。

ひとり、こちらを見下ろしている男がいる。フードの下から見える金髪。目だけが鋭く光っていた。

(……誰あれ。多分、巻き込む気はない)

マチルダは無言で判断を下し、興味を失ったように視線を逸らす。

「ガキ守って英雄気取りか? 地下の死神様も丸くなったなァ?」

マチルダは話も聞かず、靴の先を軽く揺らす。
男たちは彼女の無関心さにイラつきを見せ始めた。

「チッ……なぁレヴィア。もし俺たちが勝ったら、そのガキ、もらってもいいよな?」

レヴィアの眉がピクリと動く。

「……汚ぇな」

「は? なんだと」

「汚ねぇ手で触るんじゃねぇ」

次の瞬間、レヴィアの姿がぼやけた――と、思ったときにはすでにひとり、二人、三人……地面に沈んでいた。
拳だけで、骨が砕け、歯が飛び、呻きが響く。

「う、うわっ、やめ――ッ!」

十数秒。地面に残ったのは、倒れ伏す十人の男と、肩で息をすることすらしていないレヴィア。
その姿を、建物の上からひとりの青年が見ていた。

「すげぇ……」

ラナード。地下では名の知れた情報屋であり、時に盗賊、時にスカウトとして動く男。
だが、あれほどの“動き”は、見たことがなかった。

(こいつが……レヴィアか……!)

彼はすぐに判断した。このままじゃまずい――

「おい! 憲兵団がこっちに向かってる! これに掴まれ!」

ラナードはロープを地面へ垂らし、大声で叫ぶ。

「今なら逃げられる! 早くしろ!」

レヴィアがふっと目を上げた。

「……あ?」

その声の主を見上げる。ほんの一瞬だけ目が合ったが――その目には、警戒と苛立ちが混じっていた。

「誰が胡散くせぇ奴の手なんか借りるかよ」

ラナードの肩がビクリと震えた。

「……!」

「行くぞ」

「うん」

マチルダは壁から飛び降り、レヴィアの隣に並ぶ。ふたりは何事もなかったようにその場を離れていった。

ラナードはロープを握ったまま、しばらく動けずにいた。

「クソ……ダメか……」

屋根の上から、少女の横顔がちらりと見えた。無表情で、大人びていて、何かを悟ったような顔――
(あの女のガキ連れてんのか……見た感じ守ってた……)

(……弱いのか? いや、でも……使えるかもな)

その目はどこか、獲物を狙う獣のようだった。
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