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仲間
信じるということ
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――レヴィア視点・家までの道
いつもの通り、家へ向かって歩いているはずだった。
だが、ふと隣から聞こえた声が、レヴィアの足をわずかに鈍らせた。
「……私はね、よく分かんない」
「……?」
横を見ると、マチルダが前を見たまま、ぽつりと呟いていた。何気ないようで、どこか震えるような声。
「レヴィアのこと、最初は信用できなくて……ずっと殺そうとしてた。隙を見て毒を盛るか、寝てる間に刺すか……毎日考えてた」
その言葉に驚きはなかった。
(知ってたよ、そんなことは)
マチルダの目が、常に冷めていて、どこか怯えていて、誰も信用していなかったこと――レヴィアにはとっくに分かっていた。
それでも言葉にされると、胸に重みが落ちる。
「……一年以上かけて、ようやく“この人は殺さなくていいかも”って思えた」
「ずいぶんと控えめな信頼だな」
「うん、控えめだね」
マチルダは小さく笑った。どこか困ったような、拗らせたような顔だった。
「……だからさ。ラナードが仲間になったとして……私は、どうやって信用すればいいのか分かんない」
そう言って、少し顔を下げる。
「えへ、人を信じるって難しいね。私のことで……気を使わせちゃったら、ごめんね」
(……謝ることじゃねぇ)
レヴィアは歩きながら、答えを探すように小さく息を吐いた。
「……お前に“人を信じろ”なんて、俺は言わねぇよ」
「……」
「信じられねぇなら、それでいい。時間かけて、ゆっくり見りゃいい。見て、試して、納得できるまで放っときゃいい」
マチルダは少しだけ顔を上げて、レヴィアを見た。
「でも……レヴィアはすぐ見抜くでしょ?“使えるかどうか”とか、“こいつは信用できるか”とか……」
「ああ。人間を道具みてぇに扱ってきたからな。……そういう目は腐ってねぇ」
「……羨ましいな」
「羨むな。そうやって人の顔色でしか判断できなくなったのは、いいもんじゃねぇ」
マチルダはまた、少し笑った。
「……でも、レヴィアの目には、私は“使える”って映ったんだね」
「違う」
レヴィアは立ち止まり、マチルダの方へと身体を向ける。
「お前のことは、“使う”とか“使えねぇ”とか、そういうもんじゃねぇ。……“守る価値がある”と思っただけだ」
マチルダは目を見開いた。数秒、言葉が出ないようにして――すぐにそっぽを向いてごまかすように笑った。
「……そっか。じゃあ、ありがとう」
レヴィアはそれ以上言わなかった。ただ黙って歩き出す。マチルダも、数歩遅れてついてくる。
「……ねえ、レヴィア」
「なんだ」
「私が誰かを信じられるようになるまで……そばにいてくれる?」
その問いは、まるで風の中に紛れるようなかすれた声だった。
レヴィアは振り返らないまま、前を向いて歩きながら、答えた。
「……当たり前だ」
マチルダは少しだけ、息を吐いた。
その背中を見ながら、レヴィアは心の中で小さく呟いた。
(お前が信じられるまでじゃねぇ。……信じたあとも、ずっとだ)
いつもの通り、家へ向かって歩いているはずだった。
だが、ふと隣から聞こえた声が、レヴィアの足をわずかに鈍らせた。
「……私はね、よく分かんない」
「……?」
横を見ると、マチルダが前を見たまま、ぽつりと呟いていた。何気ないようで、どこか震えるような声。
「レヴィアのこと、最初は信用できなくて……ずっと殺そうとしてた。隙を見て毒を盛るか、寝てる間に刺すか……毎日考えてた」
その言葉に驚きはなかった。
(知ってたよ、そんなことは)
マチルダの目が、常に冷めていて、どこか怯えていて、誰も信用していなかったこと――レヴィアにはとっくに分かっていた。
それでも言葉にされると、胸に重みが落ちる。
「……一年以上かけて、ようやく“この人は殺さなくていいかも”って思えた」
「ずいぶんと控えめな信頼だな」
「うん、控えめだね」
マチルダは小さく笑った。どこか困ったような、拗らせたような顔だった。
「……だからさ。ラナードが仲間になったとして……私は、どうやって信用すればいいのか分かんない」
そう言って、少し顔を下げる。
「えへ、人を信じるって難しいね。私のことで……気を使わせちゃったら、ごめんね」
(……謝ることじゃねぇ)
レヴィアは歩きながら、答えを探すように小さく息を吐いた。
「……お前に“人を信じろ”なんて、俺は言わねぇよ」
「……」
「信じられねぇなら、それでいい。時間かけて、ゆっくり見りゃいい。見て、試して、納得できるまで放っときゃいい」
マチルダは少しだけ顔を上げて、レヴィアを見た。
「でも……レヴィアはすぐ見抜くでしょ?“使えるかどうか”とか、“こいつは信用できるか”とか……」
「ああ。人間を道具みてぇに扱ってきたからな。……そういう目は腐ってねぇ」
「……羨ましいな」
「羨むな。そうやって人の顔色でしか判断できなくなったのは、いいもんじゃねぇ」
マチルダはまた、少し笑った。
「……でも、レヴィアの目には、私は“使える”って映ったんだね」
「違う」
レヴィアは立ち止まり、マチルダの方へと身体を向ける。
「お前のことは、“使う”とか“使えねぇ”とか、そういうもんじゃねぇ。……“守る価値がある”と思っただけだ」
マチルダは目を見開いた。数秒、言葉が出ないようにして――すぐにそっぽを向いてごまかすように笑った。
「……そっか。じゃあ、ありがとう」
レヴィアはそれ以上言わなかった。ただ黙って歩き出す。マチルダも、数歩遅れてついてくる。
「……ねえ、レヴィア」
「なんだ」
「私が誰かを信じられるようになるまで……そばにいてくれる?」
その問いは、まるで風の中に紛れるようなかすれた声だった。
レヴィアは振り返らないまま、前を向いて歩きながら、答えた。
「……当たり前だ」
マチルダは少しだけ、息を吐いた。
その背中を見ながら、レヴィアは心の中で小さく呟いた。
(お前が信じられるまでじゃねぇ。……信じたあとも、ずっとだ)
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