血に濡れた約束は廃墟に眠る

まちにゃ

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仲間

静かな夜

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――レヴィアとマチルダの家にて

湯気の余韻がまだ残る夜の部屋。地下の湿気と風呂上がりの熱気が混じって、外よりもずっと暖かい。

風呂から出てきたマチルダは、濡れた黒髪をそのまま垂らして歩いていた。裸足のまま、ぼすんと古い布のソファに腰を下ろす。

「……はぁ、疲れた~」

その瞬間――

「おいッ!」

声が飛んだ。

「床に水が垂れてんだろうが!風呂から出たらまず髪拭け!」

「拭いたもーん」

マチルダは振り返らずに、片手で適当に髪を触る。が、その適当さにレヴィアの眉がぴくりと動く。

ガシッ。

「ぐぇ」

マチルダの襟元を後ろからレヴィアが無言で掴み、そのまま持ち上げる。

「随分生意気になりやがったな、おい」

「んふ、レヴィア好き~」

ふざけた口調で、背中越しに笑いながら言うマチルダ。

「ッ……」

その一瞬の沈黙――レヴィアの耳がわずかに赤くなる。

「……動揺した!」

マチルダは笑いながら勢いよく逃げる。

「てめぇ、逃げんな!!」

そのまま小さな追いかけっこが始まった。
……が、相手はレヴィアである。
数秒も経たずしてマチルダは捕まり、首にタオルをかけられ、あっという間に座らされる。

「じっとしろ。暴れるな」

ごしごしと乱暴ではないが力強く、タオルが髪を拭っていく。

「……ったく、髪くらい自分でやれ」

「レヴィアがやってくれるの、嬉しいもん」

マチルダの声は今度はふざけていない。
ぽつんと、本音を落とすように。

レヴィアの手が一瞬止まった。

「……そうかよ」

静かな返事。

それ以上、何も言わなかった。タオルで丁寧に髪を拭きながら、レヴィアは視線を逸らしたまま黙っていた。

(……こいつは本当に、“ただの子ども”じゃねぇ)

でも――こんな風に、少しずつ子どもらしい言葉を言えるようになった。
それが、嬉しくもあった。

マチルダはタオルに包まれながら、目を細めていた。レヴィアの手が、ゆっくりと髪を乾かしていくたびに、何かがほどけていくような気がした。

静かな夜。
地下の喧騒が嘘のように、二人の時間だけが優しく流れていった。
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