血に濡れた約束は廃墟に眠る

まちにゃ

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仲間

灯り

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――レヴィア視点・家までの道と夜

ラナードと別れたのは、広場の手前だった。
いつの間にか、歩く歩幅は三人ではなく、元のふたりに戻っていた。

(……マチルダと、アイツを二人きりにするつもりはねぇ)

レヴィアは一言も言わなかった。
だが道中、何気なく立ち位置を変えたり、細い通路を先に歩かせたり、無意識に――いや、意識的に――マチルダとラナードが隣り合わないようにしていた。

理由は一つ。

(余計な詮索をされたくねぇ)

ラナードの目は、何かに気づきかけている。あの性格だ、きっといつか聞くだろう。
マチルダの過去を。名前の由来を。殺し屋だった日々を。

(……まだ、それを他人に触れさせるつもりはねぇ)

そうして、家に戻ってきた。

扉を閉めた途端、マチルダが靴を蹴飛ばして部屋の真ん中へと歩いていく。いつもと同じ、静かで慣れた光景。

レヴィアは荷物を置きながら、ふと口を開いた。

「今日も……アルカのところ、行ってたのか」

マチルダはソファに座って、素直にうなずいた。

「うん」

「……毎日、お前と話せて……アルカは喜んでるだろうな」

その言葉に、マチルダは少しだけ目を丸くした。

「ホント?……レヴィアが言うなら、そうなのかも!」

ふわりと笑って、頷いたその顔に、まだどこか悲しさが残っていた。

(……あの墓に通ってるのは、罪滅ぼしなんかじゃねぇ。あいつはただ、“話し相手”を待ってるだけだ)

言葉にはしないが、それを分かっているつもりだった。



夜。部屋の灯りを落とし、布団に入る。
狭い部屋に、吐く息の白さだけが残っている。

レヴィアは横になって目を閉じた――その背中に、ふわりと何かがくっつく。

「……寒いのか?」

腕に触れる小さな体。ぴたりと抱きついてきたマチルダの髪が、レヴィアの肩に触れた。

「ううん」

静かな声。

「ギューしたかっただけ」

レヴィアは少しだけ息を止めて、それからまたゆっくりと息を吐いた。

「……そうかよ」

そう言って、布団を少しだけ引き寄せ、マチルダの体が冷えないように包み込む。

あたたかさが、ほんのり伝わる。

レヴィアは黙って目を閉じた。隣でマチルダが、小さな呼吸で眠りに入っていく。

(こいつが笑える場所を、守る。それだけで十分だ)

この世界に光が少なくても。希望が見えなくても。

せめて、この布団の中だけは――あたたかくあってほしい。
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