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仲間
手のぬくもり
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――レヴィア視点・水汲みの道
朝の地下は、特に冷える。
風が通る路地裏を抜けるたび、服の隙間からじわじわと冷気が入り込む。
バケツをぶら下げながら、レヴィアは後ろをちらりと見た。
「寒い……」
マチルダがヨタヨタと歩いていた。
肩をすくめ、前髪を口まで伸ばして丸まるようにしている。
「ちゃんと歩け」
「寒いもん……」
その声は半分寝ているようで、か細い。
レヴィアは小さくため息をついた。
「ったく……ほら、来い」
バケツを片手に持ち直し、もう片方の手を伸ばす。
「……え?」
マチルダが小さく目を見開いた瞬間、レヴィアの手が彼女の手をぐっと握る。
ギュッ――
小さな手は冷たかった。けれど、すぐにぬくもりが戻ってくるのが分かる。
「えへ、目ぇ覚めた」
マチルダは口元を緩めて、手を繋いだままにこにこと歩く。
その表情には“嬉しい”と書いてあるも同然だった。
(……分かりやすい奴だな)
手を繋げただけで目を覚ますなんて――
いや、それを“嬉しい”と思えるようになったのは、つい最近のことだ。
(前は、誰にも触れられるのを嫌がってたくせに)
「ん?」
「……何でもねぇよ」
「ふーん?」
マチルダはくすくすと笑っていた。
完全に見透かされてるような気もするが、レヴィアは気にしないふりをする。
数歩歩いて、マチルダがふと口を開く。
「ねえ、レヴィアって、昔誰かと手繋いだことある?」
「……は?」
「いや、ふと気になっただけ。こんな寒い朝に、手ぇ繋ぐの、私だけかなーって」
レヴィアは少し考えてから、首を横に振った。
「……ねぇな。そんな余裕、なかった」
「ふーん。じゃあ、私が初?」
「……ああ」
「……へへっ」
声が嬉しそうで、レヴィアはちらりと目を向ける。
マチルダの頬が、少しだけ赤くなっていた。寒さのせいだけじゃなさそうだった。
「……なんだその顔」
「ううん、なんでもない。寒くて、ちょっと顔が火照ってるだけだよ」
「嘘つけ。お前、嘘下手だな」
「レヴィアよりは上手いと思うけど~?」
「は?」
「冗談だよ~」
そんなやり取りを交わしながら、ふたりの足音が、石畳を小さく鳴らしていく。
冷たい地下でも、その手のぬくもりだけは、しっかり伝わっていた。
朝の地下は、特に冷える。
風が通る路地裏を抜けるたび、服の隙間からじわじわと冷気が入り込む。
バケツをぶら下げながら、レヴィアは後ろをちらりと見た。
「寒い……」
マチルダがヨタヨタと歩いていた。
肩をすくめ、前髪を口まで伸ばして丸まるようにしている。
「ちゃんと歩け」
「寒いもん……」
その声は半分寝ているようで、か細い。
レヴィアは小さくため息をついた。
「ったく……ほら、来い」
バケツを片手に持ち直し、もう片方の手を伸ばす。
「……え?」
マチルダが小さく目を見開いた瞬間、レヴィアの手が彼女の手をぐっと握る。
ギュッ――
小さな手は冷たかった。けれど、すぐにぬくもりが戻ってくるのが分かる。
「えへ、目ぇ覚めた」
マチルダは口元を緩めて、手を繋いだままにこにこと歩く。
その表情には“嬉しい”と書いてあるも同然だった。
(……分かりやすい奴だな)
手を繋げただけで目を覚ますなんて――
いや、それを“嬉しい”と思えるようになったのは、つい最近のことだ。
(前は、誰にも触れられるのを嫌がってたくせに)
「ん?」
「……何でもねぇよ」
「ふーん?」
マチルダはくすくすと笑っていた。
完全に見透かされてるような気もするが、レヴィアは気にしないふりをする。
数歩歩いて、マチルダがふと口を開く。
「ねえ、レヴィアって、昔誰かと手繋いだことある?」
「……は?」
「いや、ふと気になっただけ。こんな寒い朝に、手ぇ繋ぐの、私だけかなーって」
レヴィアは少し考えてから、首を横に振った。
「……ねぇな。そんな余裕、なかった」
「ふーん。じゃあ、私が初?」
「……ああ」
「……へへっ」
声が嬉しそうで、レヴィアはちらりと目を向ける。
マチルダの頬が、少しだけ赤くなっていた。寒さのせいだけじゃなさそうだった。
「……なんだその顔」
「ううん、なんでもない。寒くて、ちょっと顔が火照ってるだけだよ」
「嘘つけ。お前、嘘下手だな」
「レヴィアよりは上手いと思うけど~?」
「は?」
「冗談だよ~」
そんなやり取りを交わしながら、ふたりの足音が、石畳を小さく鳴らしていく。
冷たい地下でも、その手のぬくもりだけは、しっかり伝わっていた。
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