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――マチルダ視点・作戦6日目/潜入前夜
監視は今日で6日目。
配置は変えず、互いの姿がぎりぎり見える範囲で。
私は物陰から、路地裏の倉庫を見下ろしていた。
「……」
ここ数日で見えたのは、ただの“手下”たちの動きだけ。
幹部も、運搬ルートも、肝心な“薬の出処”も、表には一切出てこない。
(やっぱり、奥の奥に隠してる……)
そう思った、そのときだった。
「た、助けてー!!」
聞き慣れない高い声が響く。
一瞬、気のせいかと思ったけど――違った。
倉庫の裏通り、ラナードの方角で、ボロボロの服を着た子どもが走っていた。
「どうした!?まさか逃げてきたのか……?」
ラナードの声がはっきり聞こえた。
「……ッ、バカ!!」
思わず声が出そうになる。
私はすぐに手でレヴィアに合図を送ると、気配を殺して走り出した。
(これ、絶対罠だ……!)
地下で“偶然逃げてきた被害者の子ども”――
そんな都合のいい話があるわけない。
これは明らかに、“監視がいるかどうか”をあぶり出す罠。
ラナードの前に滑り込むように到着した私は、息を切らせず静かに言った。
「ラナード、その子から離れて。今すぐ逃げるよ」
「は?せっかく逃げてきたのに置いて行けるかよ!」
「説明はあと。早く」
手下の足音が、かすかに――だけど確実に、迫ってきている。
(あと数分……いや、数十秒で来る)
言い争ってる暇はない。
でも、ここで無理にラナードと子どもを動かせば音が出る。
それで見つかれば、私だけじゃなくて、ラナードと子どもも捕まる。
(それだけはダメ……)
私はすっとナイフを抜いて、近くの錆びた排水管を斬った。
「わっ!?」
水が噴き出して、周囲が一瞬にして霧のようになる。
「な、なんだこれ!?」
混乱する2人をその水の中へ押し込んで隠したあと――
私は自分のフードを脱ぎ捨てて、子どもらしい怯えた顔を作る。
手下の男たちが現れた。
「誰だ!!」
「み、道に迷って……っ」
声を震わせる。演技は得意だ。殺し屋時代に散々使ってきた。
「はは、そうか……また良いガキが手に入った」
「助けてくれるの……?」
「もちろんだ。おじさんは優しいからねぇ」
私は静かにうなずいた。
――そのまま、手を取られ、連れて行かれる。
(レヴィア、お願い。見つけて。必ず来て)
心は平常。
私は殺し屋だった頃、何度も囮になったことがある。
だから、怖くはなかった。
……ただ、今は“独り”じゃないことが、少しだけ心をざわつかせていた。
監視は今日で6日目。
配置は変えず、互いの姿がぎりぎり見える範囲で。
私は物陰から、路地裏の倉庫を見下ろしていた。
「……」
ここ数日で見えたのは、ただの“手下”たちの動きだけ。
幹部も、運搬ルートも、肝心な“薬の出処”も、表には一切出てこない。
(やっぱり、奥の奥に隠してる……)
そう思った、そのときだった。
「た、助けてー!!」
聞き慣れない高い声が響く。
一瞬、気のせいかと思ったけど――違った。
倉庫の裏通り、ラナードの方角で、ボロボロの服を着た子どもが走っていた。
「どうした!?まさか逃げてきたのか……?」
ラナードの声がはっきり聞こえた。
「……ッ、バカ!!」
思わず声が出そうになる。
私はすぐに手でレヴィアに合図を送ると、気配を殺して走り出した。
(これ、絶対罠だ……!)
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そんな都合のいい話があるわけない。
これは明らかに、“監視がいるかどうか”をあぶり出す罠。
ラナードの前に滑り込むように到着した私は、息を切らせず静かに言った。
「ラナード、その子から離れて。今すぐ逃げるよ」
「は?せっかく逃げてきたのに置いて行けるかよ!」
「説明はあと。早く」
手下の足音が、かすかに――だけど確実に、迫ってきている。
(あと数分……いや、数十秒で来る)
言い争ってる暇はない。
でも、ここで無理にラナードと子どもを動かせば音が出る。
それで見つかれば、私だけじゃなくて、ラナードと子どもも捕まる。
(それだけはダメ……)
私はすっとナイフを抜いて、近くの錆びた排水管を斬った。
「わっ!?」
水が噴き出して、周囲が一瞬にして霧のようになる。
「な、なんだこれ!?」
混乱する2人をその水の中へ押し込んで隠したあと――
私は自分のフードを脱ぎ捨てて、子どもらしい怯えた顔を作る。
手下の男たちが現れた。
「誰だ!!」
「み、道に迷って……っ」
声を震わせる。演技は得意だ。殺し屋時代に散々使ってきた。
「はは、そうか……また良いガキが手に入った」
「助けてくれるの……?」
「もちろんだ。おじさんは優しいからねぇ」
私は静かにうなずいた。
――そのまま、手を取られ、連れて行かれる。
(レヴィア、お願い。見つけて。必ず来て)
心は平常。
私は殺し屋だった頃、何度も囮になったことがある。
だから、怖くはなかった。
……ただ、今は“独り”じゃないことが、少しだけ心をざわつかせていた。
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