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仲間
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――マチルダ視点/敵アジト内部
「……うん、分かった。ありがとう」
差し出されたコップを受け取るふりをして、唇をわずかに濡らす。
甘い香り。後味に、ほんのりとした苦味。
(……睡眠薬。量からして、即効性の弱いやつ。子ども相手用の、かな)
反応はしない。
殺し屋の訓練で、こういう薬物は散々体内に入れてきた。
多少の眠気成分じゃ効かない。けれど“効いたフリ”をするのは得意だ。
私は大きく目をこすって、あくび混じりに床へ転がった。
「……むにゃ……ねむい……」
男は笑っていた。
そのニヤついた顔を、私は伏せた目の下で静かに睨みながら観察する。
(建物の間取り、廊下は一本道。人数は……表にいたのが7人、ここの下層で動いてるのが4人……奥の小部屋にいたのが5人……合計16)
(被害者の人数は……8。ほとんどが女の子。意識があるのは2人だけ)
私はゆっくり、眠ったフリをしながら呼吸を整えた。
――数秒後、身体が抱きかかえられる。
「よし、いい子だねぇ。さ、こっちにおいで」
(……このまま、あの部屋に入るのね)
男の腕の中で揺られながら、私の視線はゆっくりと周囲をなぞる。
天井の梁。鉄製の扉。壁に打ち付けられた固定具。
注射器や薬のボトルの数。保存されている薬液の色――そして、鍵の置き場所。
(……完璧)
たどり着いた部屋には、薬の副作用に苦しむ“被害者”たちがいた。
服は乱れ、肌は赤く、息遣いは荒い。
ほとんどが正気を保っておらず、こちらに目を向ける余裕もなかった。
私は目をうっすら開けながら、息を呑んだふりをする。
「ここ……どこ……?」
震える声は、思ったよりも自然に出た。
「大丈夫、すぐに楽になるよ。おじさんがいっぱい注射してあげるからねぇ」
(……そう。これが、あの“薬”の本当の使い方)
私は無言で頷いて、素直に腕を差し出した。
暴れたりはしない。怯えるフリをしながら、じっと男の顔を見つめる。
「いい子だ」
注射針が皮膚を貫く感覚。
けれど、私は眉一つ動かさない。
(“効かない”ことが、武器になる)
私は知っている。
本当にヤバくなったら、手の後ろで拘束された関節を外して逃げられる。
ナイフがなくても、殺す方法は幾つもある。
だから今は、演技を続ける。
すべての情報を集めるために。
(レヴィア……今、どこにいる?)
(来るなら、もうすぐ。――来ないなら、私がやるしかない)
静かに目を閉じた。
“目覚める”ときまで、あと少し。
「……うん、分かった。ありがとう」
差し出されたコップを受け取るふりをして、唇をわずかに濡らす。
甘い香り。後味に、ほんのりとした苦味。
(……睡眠薬。量からして、即効性の弱いやつ。子ども相手用の、かな)
反応はしない。
殺し屋の訓練で、こういう薬物は散々体内に入れてきた。
多少の眠気成分じゃ効かない。けれど“効いたフリ”をするのは得意だ。
私は大きく目をこすって、あくび混じりに床へ転がった。
「……むにゃ……ねむい……」
男は笑っていた。
そのニヤついた顔を、私は伏せた目の下で静かに睨みながら観察する。
(建物の間取り、廊下は一本道。人数は……表にいたのが7人、ここの下層で動いてるのが4人……奥の小部屋にいたのが5人……合計16)
(被害者の人数は……8。ほとんどが女の子。意識があるのは2人だけ)
私はゆっくり、眠ったフリをしながら呼吸を整えた。
――数秒後、身体が抱きかかえられる。
「よし、いい子だねぇ。さ、こっちにおいで」
(……このまま、あの部屋に入るのね)
男の腕の中で揺られながら、私の視線はゆっくりと周囲をなぞる。
天井の梁。鉄製の扉。壁に打ち付けられた固定具。
注射器や薬のボトルの数。保存されている薬液の色――そして、鍵の置き場所。
(……完璧)
たどり着いた部屋には、薬の副作用に苦しむ“被害者”たちがいた。
服は乱れ、肌は赤く、息遣いは荒い。
ほとんどが正気を保っておらず、こちらに目を向ける余裕もなかった。
私は目をうっすら開けながら、息を呑んだふりをする。
「ここ……どこ……?」
震える声は、思ったよりも自然に出た。
「大丈夫、すぐに楽になるよ。おじさんがいっぱい注射してあげるからねぇ」
(……そう。これが、あの“薬”の本当の使い方)
私は無言で頷いて、素直に腕を差し出した。
暴れたりはしない。怯えるフリをしながら、じっと男の顔を見つめる。
「いい子だ」
注射針が皮膚を貫く感覚。
けれど、私は眉一つ動かさない。
(“効かない”ことが、武器になる)
私は知っている。
本当にヤバくなったら、手の後ろで拘束された関節を外して逃げられる。
ナイフがなくても、殺す方法は幾つもある。
だから今は、演技を続ける。
すべての情報を集めるために。
(レヴィア……今、どこにいる?)
(来るなら、もうすぐ。――来ないなら、私がやるしかない)
静かに目を閉じた。
“目覚める”ときまで、あと少し。
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