血に濡れた約束は廃墟に眠る

まちにゃ

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仲間

制圧

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――マチルダ視点

(……この部屋が、“幹部”の本拠か)

気配と動線、薬品の保管量――すべての条件が整っていた。
私は無防備なふりをしながら、幹部の男に身体を預ける。
媚びるように笑って、言葉を選ぶ。

「おじさん、優しいね……さっきの人よりずっと……」

「フフ、そうかい。やっぱり、お前は“育てがい”があるな」

(……その“笑顔”、あと数分で潰すけどね)

幹部は警戒していた。けれど、マチルダの表情と声色、そして“注射によってぼんやりした演技”に惑わされていた。

私はじっと耳をすませる。
遠くで、小さな足音。
(……来た)

「ッ!」

その瞬間、私は関節を鳴らさずに外した。

ガチャ――

部屋の扉が開く。

「……何だ!?誰だ!!」

幹部が怒鳴った瞬間、私は背後に跳躍しながら拘束を断ち切り、着地と同時に肘を幹部の顎に叩き込んだ。

「がはッ……!!」

そのまま片手で机を蹴飛ばし、別の手下の膝を砕く。

――直後、レヴィアが飛び込んできた。

「てめぇら、まとめて地獄行きだ」

その声に続き、拳が一閃。
手下が一人、壁に叩きつけられて沈んだ。

ラナードも続いたが、勢い余って敵の鉄パイプを喰らい、よろける。

「ぐっ……!」

「ったく……」

マチルダが素早く蹴り飛ばし、敵の手を弾いた。

「もうちょっと後ろで見ててくれていいよ、ラナード」

「ご、ごめん!!」

制圧はわずか数分。
男たちは全員、表に引きずり出され、身動き取れないよう拘束された。

レヴィアは幹部の顔面に一撃喰らわせ、口の中の歯が飛んだ。

「このゴミ共が……地下の恥さらしだ」

薬品と書類は持ち出され、被害者たちには解毒剤を配布。
そのまま憲兵団が見回りに来る表通りへ、目立つように縛りつけて晒しておいた。



――制圧後。路地裏。

「マチルダ!」

ラナードが駆け寄り、息を切らしながら叫ぶ。

「ごめん、俺が突っ走ったせいで……!」

マチルダはきょとんとした顔で、いつもの調子。

「ん?平気だよ。想定内☆」

「は、はぁ!?いやいや、あんな危ない場所で――!」

レヴィアが割って入った。

「怪我は?」

「大丈夫。注射で薬を何本か打たれたくらい」

その言葉に、レヴィアの眉がぴくりと動いた。

「チッ、見せろ」

マチルダは素直に袖をまくり、腕を差し出す。
無数の針跡に、レヴィアは一瞬だけ目を細めた。

「効きはしねぇだろうが、よくもまあ……」

ラナードは凍りついていた。

「え、薬……!?お前、やばいんじゃ……!?」

「薬、効かないんだよね。だから平気」

マチルダはケロッと笑って言った。

ラナードはその場にへたり込んだ。

「は……?マジで……?え、なにそれ、なにその設定……」

「設定じゃないもーん」

レヴィアは小さくため息をついた。

「……いい加減慣れろ。そういう女なんだよ、あいつは」

マチルダはふふっと笑った。

(私はレヴィアの“あいつ”で、ラナードの“えっ”な奴)

それでいい。それが、ちょっとだけ嬉しい。
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