血に濡れた約束は廃墟に眠る

まちにゃ

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仲間

日常

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翌朝――レヴィアとマチルダの日常

「……マチルダ、起きろ。朝だ」

布団の端をそっとめくりながら声をかける。
ぴくりとも動かない。

レヴィアは、いつもの光景にほんの少しだけ安堵する。

「おい、寝たふりしてんのか。ヨダレ垂れてんぞ」

「……むり。今日は休み……」

マチルダの返事は、枕に顔を埋めたままのくぐもった声だった。

「休みじゃねぇよ。水汲みと朝飯の買い出し、どっちがいいか選ばせてやる」

「えええ……選ばせるなら“寝る”も入れて……」

レヴィアは無言で、彼女のほっぺをムニっと伸ばす。

「いたいぃ……いじわる……」

「いいから起きろ。朝飯作るぞ」

マチルダはむすっとしながらも、のそのそと起き上がった。

いつもと同じ、寝起きは機嫌が悪くてどうしようもない。
だが、その「いつも」が、レヴィアにとっては何よりの安心だった。


――しばらくして。

「レヴィア~。卵焼き焦がした~」

「見りゃ分かる。フライパン貸せ」

「えへへ、やっぱレヴィアが作るのが一番」

「ったく、甘やかすとすぐこれだ」

ブツブツ文句を言いながらも、手際よく朝食を整えるレヴィア。
隣でマチルダは湯気の立つスープをふうふうしながら飲んでいる。

どこかの店の鐘の音が、地下街の朝に鳴り響いた。

「あ、そうだレヴィア。今日はラナードに会いに行く?」

「……お前が行きたいなら付き合う」

「ふふ。じゃあ、あとで行こうかな。あの人の反省顔、ちょっと面白いし」

「おい、それで選んでんのか」

「半分くらい?」

「まったく……」

けれどレヴィアは、マチルダがそう言って小さく笑うその表情に、つい口元を緩めた。

――あの日から、少しずつ。
マチルダの中に、何かが芽生え始めているのかもしれない。

それが希望なのか、信頼なのか、まだ分からない。
でも、たとえ時間がかかっても――
こいつが“心”を取り戻していくなら、それを見守ることぐらい、俺にだってできる。

「……なぁ、マチルダ」

「ん?」

「今日、卵焼きの練習しろ」

「えぇーっ!?なんでー!?」

「食えたもんじゃなかったからだ」

「ひどーい!食べてなかったじゃん!」

「見るだけで焦げ臭かったんだよ」

「むぅ~~~~っ」

そんな他愛もないやり取りが、今日も地下の家に、静かに響いていた。
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