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仲間
鳥
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地下街の通りにて――
ガタン、と金属の響く音。
いつも通りの湿った空気。
地下街は今日も、目を離せば背後から刺されるような緊張感に包まれている。
そんな通りを、レヴィアとマチルダは並んで歩いていた。
左手にはマチルダ、右斜め前にラナード。雑談混じりに歩くには、いつ襲われてもおかしくないこの地下じゃ少し浮いている。
「でさ、マチルダがあんなに無表情で人を助けるとは思わなかったわけよ俺は!レヴィア、あれ絶対感動する場面だったって!」
「……うるせぇな。でかい声出すな、目立つ」
「いや、目立ってんのはレヴィアだって……あっ」
その時だった。
タッタッタッ、と地面を蹴る音。
次の瞬間、ラナードの胸に勢いよく何かがぶつかった。
「うわっ!?いって……」
「ッ……邪魔だよ!」
地面に崩れ落ちたのは、ボロボロの服を着た少女だった。
短い金髪に、鋭い目つき。年の頃は15前後。
その腕には、擦れた布でくるまれた小鳥が隠すように抱えられていた。
「……」
マチルダが静かに一歩下がり、周囲に視線を巡らせる。
「レヴィア……」
小さな声で袖を引かれ、レヴィアも視線を鋭くする。
(……来てるな)
予感的中。
数秒後、後方から荒っぽい足音と、ねじ曲がった笑い声が近づいてきた。
「おいおい、ずいぶん派手に逃げてくれたな、小娘」
現れたのは、いかにもゴロツキといった風体の男が三人。
「そのガキ、通行所で無賃通行を試みたんだよ。俺たちがちゃんと“処理”してやらねぇと」
「処理……?」
レヴィアの声が冷えた空気のように落ちた。
「なぁに、俺たちは親切でな。代わりにあの子預かってやるってだけさ……ま、アンタらが抵抗すりゃ――同罪だがな」
一人の男が、にやつきながらレヴィアの肩を叩こうと手を伸ばした、その瞬間――
ヒュッ
「いってえええっ!?!?」
レヴィアのナイフが空気を切り裂き、男の手首を浅く裂いた。
「……触るな。汚れる」
スッと刃を戻すと、ゴロツキたちは顔色を変えて後ずさり、あっという間に逃げ去っていった。
「うわぁ……さすがレヴィア」
「……ありがとう。えっと……」
少女がふらつきながらも小鳥を大事に抱え直す。
レヴィアがふと口を開いた。
「……いつまで持ってる気だ。死んじまうぞ、その鳥」
「……!」
一瞬驚いたような顔をして、でもすぐに口を吊り上げた。
「わかってる。でもな、ここじゃ自由に飛べねぇだろ?外の空、見せたくてさ」
マチルダとレヴィアは、無言でその言葉を聞いた。
“地下の空気しか知らない鳥”に、地上の風を――
そんな理由で通行所に無賃で突っ込んだ奴なんて、聞いたことがない。
「……お前の名前は?」
「イリナ!アンタらは?」
「俺はラナード。で、こっちがレヴィアとマチルダ」
「ラナードに、マチルダ!んで、レヴィアの兄貴!!」
「……兄貴?」
レヴィアが軽く眉を動かす。
「……」
マチルダが肩を震わせながら、口元を手で押さえる。
「笑ってんじゃねぇよ」
「んふ、ごめーん。……兄貴だって」
「うるせぇ……」
その場に、わずかな笑いが広がった。
それは、地下の通りには不似合いなほどに、あたたかい空気だった。
ガタン、と金属の響く音。
いつも通りの湿った空気。
地下街は今日も、目を離せば背後から刺されるような緊張感に包まれている。
そんな通りを、レヴィアとマチルダは並んで歩いていた。
左手にはマチルダ、右斜め前にラナード。雑談混じりに歩くには、いつ襲われてもおかしくないこの地下じゃ少し浮いている。
「でさ、マチルダがあんなに無表情で人を助けるとは思わなかったわけよ俺は!レヴィア、あれ絶対感動する場面だったって!」
「……うるせぇな。でかい声出すな、目立つ」
「いや、目立ってんのはレヴィアだって……あっ」
その時だった。
タッタッタッ、と地面を蹴る音。
次の瞬間、ラナードの胸に勢いよく何かがぶつかった。
「うわっ!?いって……」
「ッ……邪魔だよ!」
地面に崩れ落ちたのは、ボロボロの服を着た少女だった。
短い金髪に、鋭い目つき。年の頃は15前後。
その腕には、擦れた布でくるまれた小鳥が隠すように抱えられていた。
「……」
マチルダが静かに一歩下がり、周囲に視線を巡らせる。
「レヴィア……」
小さな声で袖を引かれ、レヴィアも視線を鋭くする。
(……来てるな)
予感的中。
数秒後、後方から荒っぽい足音と、ねじ曲がった笑い声が近づいてきた。
「おいおい、ずいぶん派手に逃げてくれたな、小娘」
現れたのは、いかにもゴロツキといった風体の男が三人。
「そのガキ、通行所で無賃通行を試みたんだよ。俺たちがちゃんと“処理”してやらねぇと」
「処理……?」
レヴィアの声が冷えた空気のように落ちた。
「なぁに、俺たちは親切でな。代わりにあの子預かってやるってだけさ……ま、アンタらが抵抗すりゃ――同罪だがな」
一人の男が、にやつきながらレヴィアの肩を叩こうと手を伸ばした、その瞬間――
ヒュッ
「いってえええっ!?!?」
レヴィアのナイフが空気を切り裂き、男の手首を浅く裂いた。
「……触るな。汚れる」
スッと刃を戻すと、ゴロツキたちは顔色を変えて後ずさり、あっという間に逃げ去っていった。
「うわぁ……さすがレヴィア」
「……ありがとう。えっと……」
少女がふらつきながらも小鳥を大事に抱え直す。
レヴィアがふと口を開いた。
「……いつまで持ってる気だ。死んじまうぞ、その鳥」
「……!」
一瞬驚いたような顔をして、でもすぐに口を吊り上げた。
「わかってる。でもな、ここじゃ自由に飛べねぇだろ?外の空、見せたくてさ」
マチルダとレヴィアは、無言でその言葉を聞いた。
“地下の空気しか知らない鳥”に、地上の風を――
そんな理由で通行所に無賃で突っ込んだ奴なんて、聞いたことがない。
「……お前の名前は?」
「イリナ!アンタらは?」
「俺はラナード。で、こっちがレヴィアとマチルダ」
「ラナードに、マチルダ!んで、レヴィアの兄貴!!」
「……兄貴?」
レヴィアが軽く眉を動かす。
「……」
マチルダが肩を震わせながら、口元を手で押さえる。
「笑ってんじゃねぇよ」
「んふ、ごめーん。……兄貴だって」
「うるせぇ……」
その場に、わずかな笑いが広がった。
それは、地下の通りには不似合いなほどに、あたたかい空気だった。
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