血に濡れた約束は廃墟に眠る

まちにゃ

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仲間

拠点

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__レヴィア視点

「私、行く所無いんだよね」

イリナの声は、どこか遠慮がちで――けど、確かに寂しさがにじんでいた。

ラナードが何気なく言った。

「もうこの際みんなで一緒に住むか?」

「マジ!?」

イリナの目が一瞬で輝いた。子どもらしい喜び方だった。

(ああ……まだ“普通”を知ってるガキなんだな)

「一緒に住むだ?どこに」

俺が問いかけると、マチルダの視線がチラリと俺を見る。

(分かってんだろうな……俺の“家”だってことを)

「そりゃもちろん……いやいやなんでもない!!」
ラナードが慌てて口を濁す。

イリナが不思議そうな顔をしている横で、マチルダは微かに目を細めたまま黙っていた。

「そういや俺が仲間に入れてもらった時も、レヴィアに“生活に踏み込むな”って言われたなぁ」

「レヴィアの兄貴って、プライベート大事にするタイプ!?」

「ぶふっ、それは違ぇだろ!」
ラナードが吹き出す。

(違ぇよ……)

言葉にはしなかったが、俺の中では答えは出ていた。

――“マチルダ”を、守りたかっただけだ。

こいつは俺と二人きりになって、ようやく自分を出せるようになった。
……ようやく、眠る時に警戒せずに、隣で寝息を立てるようになった。

他人が同じ屋根の下に入ったら――
また最初に戻るかもしれねぇ。

それでも。

「レヴィア」

隣にいたマチルダが、袖を軽く引いた。

「私は大丈夫。レヴィアが決めて?」

その顔は、決して強がってはいなかった。

けど、自分の中で“何か”を超えた顔だった。

「……お前……分かってんのか?一緒に住むってどういうことか」

「うん。でもレヴィアが居なくなる訳じゃないでしょ?」

「……当たり前だ」

「なら平気」

ああ、そうか。

(もうこいつは――“俺”の隣を選んでるんだ)

ラナードがニヤリと笑い、イリナがぽかんとしている。

「ったく……しょうがねぇな」

そう口にしたのは、俺の方だった。

「やったー!!本当にいいの!?」
イリナが跳ねるように喜んだ。

「ただし、ルールは守れ。俺の部屋に勝手に入るな。夜は騒ぐな。マチルダにちょっかい出すな」

「え!?最後だけなんか特別ルールみたいなんだけど!?」

ラナードが笑う。

「ほらな、言った通りだろ。レヴィアのマチルダなんだって」

「マチルダの意見は!?って思ったけど、なんかマチルダも納得してる顔してるし!」

マチルダは微かに笑っていた。

――この拠点は、ただの“避難所”じゃなくなる。

新しい“家族”になりつつある。

そんな気がして、俺は小さく息を吐いた。


「誰も二人の間に入る余地ねぇよな」

(あぁ――それでいい)

何も言わずに歩き出す。隣にマチルダの足音。

その音が、今の俺にとって一番安心できる“日常”だった。
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