血に濡れた約束は廃墟に眠る

まちにゃ

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仲間

わがまま

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レヴィア視点

「これも可愛い!欲しい!あっちのも気になる!買ってー!」

イリナが屋台の前ではしゃぎ回っていた。
木彫りのアクセサリー、使いもしねぇ布細工、キラキラ光る安物のペンダント。
次から次へと目移りしている。

「……一つだけだ」
渋々小銭を渡す。やれやれ、まるで親だな。

「え~!?ケチ~!もうちょっと……」
「そんなもん何個もいらねぇだろ、返してこい」
「やだやだー!」

──あぁ、うるせぇ。

イリナの騒ぎ声を背に、俺は少し離れた場所で様子を見ていたマチルダとラナードに目を向けた。

「マチルダも何かレヴィアにねだってこいよ。イリナだけずるいだろ?」

ラナードが冗談半分に言った。

「ん?なんで?」
マチルダが小首を傾げる。

「なんでって……マチルダだって欲しいものくらいあるだろ?遠慮せずに言った方がいい」

「……別にない」
即答だった。

「……マジで言ってんのか? 14歳の子どもが言うセリフじゃねぇ……」

ラナードは引きつった笑いを浮かべた。

(まぁ……マチルダらしいっちゃらしいな)

「マチルダってさ、レヴィアにわがまま言ったことある?」

ラナードが少し真面目な顔になる。

「わがまま?」

「自分の欲求のまま感情さらけ出すような……ほら、イリナがやってるだろ?」

ラナードが屋台を指さす。そこではイリナが必死に2個目をねだっていた。

「これも欲しい! 何で一個だけなんだよー!やだやだ!」

「そんなもん何個もいらねぇだろ、返してこい」
「ケチ~!!」

マチルダはその光景をじっと見つめた。

「……やったことない。わがままって言った方がいいの?」
「……」

ラナードは何も返せなかった。目を伏せて、言葉に詰まっていた。

俺たちは屋台に戻ってきた。

「ったく……こっちは世話焼かされっぱなしだ」

イリナがぴょんぴょん跳ねながら買ってもらった小物を自慢してくる。

「見て見て兄貴!似合う!?どう!?ねぇねぇ!!」
「うるせぇ、耳が痛ぇよ」

マチルダはそんな様子を眺めながら、ぽつりと呟いた。

「……レヴィア、私って何か欲しいって言ったことあった?」

「ないな」
即答した。

「やっぱそうなんだ。じゃあ……言ってもいいの?」

「……言いたいならな。何でもってわけじゃねぇけど、我慢しすぎて爆発すんのはもっと困る」

マチルダは一瞬だけ表情を曇らせ、それから小さく笑った。

「うん……じゃあ、今度言ってみる」
(それが“欲しいもの”なら……)

「よし、次は食いもんだな!」
ラナードが空気を変えたように手を叩いた。

「パン!パン買おう!!」
「えー!俺は甘いやつがいいー!!」
「お前らうるせぇ!」

……相変わらずだ。だけど──

この騒がしさも、悪くねぇ。
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