血に濡れた約束は廃墟に眠る

まちにゃ

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仲間

わがまま

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マチルダ視点

「なぁなぁ兄貴~これやってもいい!?いいでしょ!?ねぇってば~!」

部屋の一角、イリナがレヴィアの袖を引っ張りながら、うるさくわめいていた。
テンションが上がると声もでかくなるし、動きも増える。

「……うるせぇ、落ち着け」

レヴィアはそう言いながらも、完全に突き放すわけじゃなかった。
ため息をついてるけど、目がどこか柔らかい。ほんと、嫌そうではなかった。

私は少し距離を置いたソファの端に座って、それをぼんやり眺めていた。

隣にはラナード。膝を立てて、手を組んでいる。

「イリナがまたレヴィアにわがまま言ってるな。いつか蹴り飛ばされるぞ、あれ」

「困ってるけど……レヴィア、嫌そうじゃないから……大丈夫じゃない?」

「マジか。俺があれやられたらウンザリするけどなぁ~」

「そうなの?」

ラナードは鼻を鳴らして、私の方をちらりと見る。

「まぁ、ああいうわがままは子どもらしいってことよ」

「……ふーん」

目の前では、まだイリナが「これやっていい!?ねーってばー!」と騒いでる。

レヴィアは呆れ顔で「勝手にしろ」とぼやいたあと、軽く頭をどついていた。

イリナはそれでも笑っていた。

(……やっぱり私って、子どもらしくないんだなぁ)

少しだけ、胸の奥がズシンと重くなった。

わがまま、って……何を言えば、そう呼ばれるのかも分からない。
我慢するのが当たり前の場所で育った。
わがままを言ったら痛い目を見る、それが当たり前だった。
望むことすら、許されなかった。

(今さら……言おうとも思わない。別に困ってるわけでもないし)

それでも、イリナのあの“当たり前に望む”姿が、
どこかまぶしいな、って思ってしまったのは――ちょっと、悔しかった。

ラナードがぽん、と私の頭を軽く叩いた。

「お前はそのままでいいって。レヴィアもお前がわがまま言わねぇからって、損した気分になる日もあるかもしれねぇけどな」

「え……何それ」

「なんでもない」

照れ隠しみたいに笑って、ラナードは立ち上がった。

(……私のまま、でいいのかな)

その言葉が頭に残ったまま、私は再びレヴィアとイリナのやりとりを見つめた。

レヴィアの目がふと私の方を見た。
何も言わずに、でも、ちゃんと“見てくれてる”目だった。

少しだけ、心があったかくなった。

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