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出会い斡旋 反組織
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他人の恋愛話は、どうやら人の興味を引く魔力が込められているらしい。なんて、生まれてからこの方、彼女も出来たことがない僕が言っても説得力はないだろうけど。
まあ、説得力なんてものは、案外、自信満々にしていれば付いてくるのかもしれない。恋愛感情などなくても異性を欺く、自信満々な彼女たちのように。
他人なんて自身の欲を満たす道具だと割り切り、純情な高校生を弄ぶ。
その行為を僕はどうしても許せなかった。
そんな気持ちがあることに驚いたりもしたんだけど。
◇
見張り人。
それはかつて、戦争で作られた壁上で敵が攻めてこないかを探知し、報告する王国防衛の最前線だった。
だが、やがて、戦争は終わり、その職業は「平和の象徴」として、仕事のない人々の救済処置として残されることとなった。
楽して金銭を貪る怠惰の職業。
いつしか、王国中の人々は彼らのことを【不要な見張り人】と揶揄するようになったのだった。
◇
壁の上。
本日は晴天。
雲が空を滑るように動いている。天気がいいからだろうか。最近は【竜の森】に住む竜達も活性化しているようで、【狩人】達が忙しそうに壁を潜《くぐ》って森に出る。
狩人達の背を眺めていると、彼らとすれ違う様に反対方向から、1人の少女が空を見上げながら歩いてきた。彼女もまた天気のいい空を眺めているのだろうか。
おかっぱ頭に、顔の輪郭に沿って伸びた触覚《まえがみ》が特徴的な少女だった。制服を着ていることから高校生だろう。
しかも、あの制服は統合される前の北高の制服だ。
ほんの数か月前に統合されたばかりであるために、在籍している生徒達はかつての高校の制服を着ている子供が多かった。
それもそうか。
【枯挟街《かきょうがい》】に住む人々は裕福な暮らしをしていない。この街では盗みや強盗は日常と呼べるほどに頻発していた。
女子高生は目を細め何かを探す。
ふと、壁の上にいる僕に気付き大きく手を振った。
「初めまして~! って、一回は会ってるんでしたよねー!」
一回会っている?
しかし、言われてみれば確かに見覚えはある気がする。しかし、僕には女子高生の友達などと魅惑的な響きを持つ知り合いはいない。
それどころか、普通の友人すらいないのだ。普通でない友人はいるんだけど。王国最強の戦士であるローマンとか、その専属付き人のキアカとか。
後は……チラリと横を見る。日傘を指してベルが眠っていた。うん。彼女は友人と呼べるほど親しくない。ただ、付き合いが長いだけだ。
「今から、上に登ります~!」
僕の返答を待たずに女子高生はの内側に作られた階段を登り、壁の上にまでやってきた。
「改めまして初めまして、ソウさん。私はカノンと申します」
「こちらこそ、よろしく」
カノンと名前を聞いてもピンとこない。
でも、なんでだろうな。
顔は見たことある気がするんだよな。誰かにそっくりなんだけど、その誰かが出てこない。悩む僕などお構いなしに女子高生は話を進める。
「その説は兄と彼がお世話になりまして」
「兄? 彼?」
「ええ、そうです。ほら、数か月前にあった【枯挟高等学校統合事件】ですよ」
「……?」
長ったらしい事件の名前を聞いても、尚も混乱するだけだった。前提条件が通じないことに焦ったように、手をあわてふためかせて説明するカノンちゃん。
事件を知らないとは思ってもいなかったようだ。
「ほら、三人の番長が協力するきっかけになった」
「ああ」
番長という言葉を聞いて思い出す。
僕たちの同級生が高校生たちを攫っていた事件か。そこで彼女をどこで見たのか思い出す。三人のうちの番長、北高の頂点――エガミに似ているのだ。
確か彼には双子の姉がいて――3人の番長の1人、テツと付き合っているんだ。だから、「兄」と「彼」か。
因みに余談なのだが最後の番長、シンバクもまた、エガミの妹と付き合っていた。
まあ、説得力なんてものは、案外、自信満々にしていれば付いてくるのかもしれない。恋愛感情などなくても異性を欺く、自信満々な彼女たちのように。
他人なんて自身の欲を満たす道具だと割り切り、純情な高校生を弄ぶ。
その行為を僕はどうしても許せなかった。
そんな気持ちがあることに驚いたりもしたんだけど。
◇
見張り人。
それはかつて、戦争で作られた壁上で敵が攻めてこないかを探知し、報告する王国防衛の最前線だった。
だが、やがて、戦争は終わり、その職業は「平和の象徴」として、仕事のない人々の救済処置として残されることとなった。
楽して金銭を貪る怠惰の職業。
いつしか、王国中の人々は彼らのことを【不要な見張り人】と揶揄するようになったのだった。
◇
壁の上。
本日は晴天。
雲が空を滑るように動いている。天気がいいからだろうか。最近は【竜の森】に住む竜達も活性化しているようで、【狩人】達が忙しそうに壁を潜《くぐ》って森に出る。
狩人達の背を眺めていると、彼らとすれ違う様に反対方向から、1人の少女が空を見上げながら歩いてきた。彼女もまた天気のいい空を眺めているのだろうか。
おかっぱ頭に、顔の輪郭に沿って伸びた触覚《まえがみ》が特徴的な少女だった。制服を着ていることから高校生だろう。
しかも、あの制服は統合される前の北高の制服だ。
ほんの数か月前に統合されたばかりであるために、在籍している生徒達はかつての高校の制服を着ている子供が多かった。
それもそうか。
【枯挟街《かきょうがい》】に住む人々は裕福な暮らしをしていない。この街では盗みや強盗は日常と呼べるほどに頻発していた。
女子高生は目を細め何かを探す。
ふと、壁の上にいる僕に気付き大きく手を振った。
「初めまして~! って、一回は会ってるんでしたよねー!」
一回会っている?
しかし、言われてみれば確かに見覚えはある気がする。しかし、僕には女子高生の友達などと魅惑的な響きを持つ知り合いはいない。
それどころか、普通の友人すらいないのだ。普通でない友人はいるんだけど。王国最強の戦士であるローマンとか、その専属付き人のキアカとか。
後は……チラリと横を見る。日傘を指してベルが眠っていた。うん。彼女は友人と呼べるほど親しくない。ただ、付き合いが長いだけだ。
「今から、上に登ります~!」
僕の返答を待たずに女子高生はの内側に作られた階段を登り、壁の上にまでやってきた。
「改めまして初めまして、ソウさん。私はカノンと申します」
「こちらこそ、よろしく」
カノンと名前を聞いてもピンとこない。
でも、なんでだろうな。
顔は見たことある気がするんだよな。誰かにそっくりなんだけど、その誰かが出てこない。悩む僕などお構いなしに女子高生は話を進める。
「その説は兄と彼がお世話になりまして」
「兄? 彼?」
「ええ、そうです。ほら、数か月前にあった【枯挟高等学校統合事件】ですよ」
「……?」
長ったらしい事件の名前を聞いても、尚も混乱するだけだった。前提条件が通じないことに焦ったように、手をあわてふためかせて説明するカノンちゃん。
事件を知らないとは思ってもいなかったようだ。
「ほら、三人の番長が協力するきっかけになった」
「ああ」
番長という言葉を聞いて思い出す。
僕たちの同級生が高校生たちを攫っていた事件か。そこで彼女をどこで見たのか思い出す。三人のうちの番長、北高の頂点――エガミに似ているのだ。
確か彼には双子の姉がいて――3人の番長の1人、テツと付き合っているんだ。だから、「兄」と「彼」か。
因みに余談なのだが最後の番長、シンバクもまた、エガミの妹と付き合っていた。
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