手札看破とフェンリルさんで最強へ~魔法はカードだと真理に到達してない世界でデッキ構築!~

白慨 揶揄

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第16話 優しい村人

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「【反射の盾】か……」

 固い甲羅が特徴的な魔物。
 手に入るのは防御系だと思っていたが、これもまた想定通りだった。【魔眼】を用いて魔法を効率よく入手できるようになって分かったことがある。
 それは、手に入る魔法は魔物の特性に依存していると言うことだ。

 例えばスライムを倒して手に入れた【泡弾《フォームショット》】。スライムの身体のように液体と個体の中間のような弾が地面を跳ねる。

 例えばオーガを倒して手に入れた【腕力強化《中》】。思い棍棒を軽々と振り回す腕力を自分に付与できる魔法。

「つまり、魔物の特性を把握して置けば、魔法を集めるのに便利ってことだよね!」
「おうよ。魔物には苦手属性を持つヤツもいるからな。その辺を考えてデッキを編成すれば、どんな魔物を苦戦しないってわけだ」
「……だといいけど」
「たく、お前は強くなったんだから自信持てよな」
「そうかも知れないけど」

 余裕があるときは、納得いくまで準備できるだろう。有利な魔法を集めて苦手な属性を使えばいい。
 けど、そう言ってられない時は絶対に来る。

「今回だってそうだ」

 たまたま、手持ちの魔法で倒せたから良かった。
 でも、もし、盾亀《シールドタートル》に魔法進化が通じなかったら? 

 固い防御を崩す魔法を探して、他のクエストを受けることになっただろう。その間にも盾亀《シールドタートル》は繁殖を繰り返し、やがて池の餌を食いつくし近くの村を襲う。
 人々が死んでいたかも知れない恐怖が、僕の自信を水に落ちた絵の具のように浸食していく。

「たく、ユライは真面目だなぁ~。さ、さっさと帰ろうぜ?」
「う、うん。あ、でも、折角だから村に寄ってもいいかな?」

 この村にはいつもお世話になっている。
 挨拶くらいはしたいな。

 村の人たちは相変わらず皆、優しかった。
 僕の顔を見るなり、「ちょうど野菜が取れたんだ」「夕飯、多めに作ったから持っていきな」と、両手では抱えきれないほど色んなものを分けてくれた。

「【占星の騎士団】の人! ちょっと、扉が壊れちゃったから治して欲しいんだけどいいかな?」

 中にはそんな風にお願いをしてくる人もいた。
 こんな僕でも頼りにしてくれてるのが、嬉しくて答えたくなっちゃうんだよな。それは、魔法を使えるようになった今でも変わらない。
 村の集会所として使われている建物の扉を治し始めた。作業を始めた背中に、修理を依頼した村長が話しかけてくる。

「そう言えば、今日は一人なのかい? あの偉そうな男は一緒じゃないのかい?」
「実は……」

 バニス達にパーティーから追放されたことを教えた。
 すると、近くで聞いていた村人たちが、一斉に離れるとコソコソと何か話始めた。何を話してるんだろう?
 一分ほどで戻ってきた村人たちは、何故か皆、ニコニコと笑っていた。

「あ、あんな男達とユライ君みないな優しい子は一緒にいなくて正解だったんだよ。いっつも、髪は脂でベドベドだし。なあ、皆!」

「そうそう。いくら、彼らが【せんば――】」
「おい!」
「あ……」

 センバ……?
 村人の一人が途中で止めた言葉が気になった。
 センバってなんだ?
 あ、ひょっとして――。

「千馬《せんば》を倒したんですか!? あの馬戦闘分のデカさを持つという伝説の魔物を!!」
「あ~、そ、そう。そうだ。千馬を倒したんだよ」

 そっか。
 僕がいなくても、彼らは強力な魔物を倒せているのか。僕もいずれかは倒せるようになって、多くの人を助けたい。

「はい。お終い!」

 話しながらも修理を終えた。この村に若い人たちはいないから、こういった力仕事を任せる人がいない。
 だから、こうして僕は近くに来たらなるべく寄るようにしてるのだ。

「助かったわい。また、近くに来たら寄ってくれ」
「言われなくても、そのつもりです」
「うむ。その時は是非とも、儂の孫を嫁に貰って欲しいわい」
「へぇ、村長さんお孫さんがいたんですねぇ」
「まあの。孫はこの村で暮らしたいらしいのでな。いつか、会うときがあるじゃろ。その時はよろしく頼むわい」
「村長さんのお孫さんかぁ。会えるの楽しみにしてますね」

 頭を下げて村から出た。
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