手札看破とフェンリルさんで最強へ~魔法はカードだと真理に到達してない世界でデッキ構築!~

白慨 揶揄

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第39話 泡の洗浄力

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「これは、魔法進化の光!?」
「どうだ、驚いたか?」
「……もう、魔法進化出来ること知ってたら、普通に教えてくれれば良かったのに」

 あのまま、僕が下から三枚を選んでいたらどうするつもりだったのだろう?

「それじゃあ、驚きがないじゃんか。魔法進化を見つけるのも、魔法を集める醍醐味の一つだ。その魔法進化の名前は――泡散弾《アワアワーショットガン》。俺の予想があたりゃ、ただの固い鱗くらいなら突破できると思うぜ?」

 龍の鱗を貫くほどの威力なの!?

「それは楽しみだ!」

【選択領域】が解除されると同時に、僕は手の平を【擬態龍】に構える。本来、龍種の動きは速く、飛行能力を持っているのだが、擬態を用いて「待ちの狩り」を得意とする【擬態龍】の動きは鈍い。
 だから、魔法を当てることは簡単だ。

「泡散弾《アワアワーショットガン》!!」

 ポヨン。

 手の平から放たれたのは、泡弾《フォームショット》と同じ、液体と個体の中間――スライムみたいな弾だった。

 ポヨン、ポヨン。

 地面を跳ねながらゆっくりと進む。
 ……。
 どうみても、龍の鱗を貫ける威力には見えない。
 それに――、

「……変化ないけど大丈夫なの!?」

 今まで使ってきた魔法進化は目に見える変化があった。
 例えば【強化の矢】と【腕力強化】。使用すると、矢に赤いオーラを纏い飛翔速度が格段に跳ね上がる。
 例えば【12連火弾】。文字通り3枚の【三連火弾】を単体で使うよりも段数が増える。
 しかし、今回は4枚の魔法を使用したというのに発射速度も変わらず、数も増えてない。

「まあ、見てろって」

 ポヨン、ポヨン、パチン。

 ゆっくりと跳ねる泡弾が、【擬態龍】に触れる。すると、泡が弾けて中に閉じ込められていた細かな泡が、一斉に身体を包んだ。

 ブクブクブク。
 アワアワアワ。

 泡は首元を覆い――気持ちよさそうに【擬態龍】が喉を鳴らす。

「これ、本当に大丈夫!?」

 この光景はまるで、洗浄を楽しんでるみたいだ。【擬態龍】の頭上には、魔法じゃなくてご機嫌な音符マークが浮かんでる気がする。

「なーに、ここからだ。よく見てろ」
「……分かったよ」

 どうせ、次の【選択領域】が開けるまでは、逃げに徹底するしかない。相手の動きをよく観察しておかないと……。
 いつでも回避できるように、腰を落とす。
 すると、

「ガアアアァ!!」

 気持ちよさそうに泡を浴びていた【擬態龍】が、突然、咆哮を上げる。龍種の咆哮はそれだけで人の意識を奪うことが出来ると言われており、耳を内側から破壊せんとする勢いだった。

「くっ!!」

 泡遊びしてる場合じゃないと気付いたか? 頭が割れそうになる痛みに耐え、僕は一歩後退する。

「まだ、【選択領域】は使えないのか!!」

 選択領域は一度開いてしまうと、次に開くまでインターバルが生まれてしまう。
 その時間はおよそ五分間。
 魔法進化として、4枚の魔法を一気に使い切ってしまった僕にとって、この5分間は途轍もなく――長い。

「これなら、一回ずつ使えば良かった……」

 そうすれば、まだ時間が稼げたかもしれない。一撃の威力にこだわった結果、逃げる時間が長くなる。

「あれ……?」

 どれだけ待てども【擬態龍】が攻撃を仕掛けてくることはなかった。それどころか、

「グ、ギャアアア!」

 気持ちよさそうな表情は消え、痛みに耐えるようにその場で暴れまわる。やがて、ダメージに耐えきれなくなったのか倒れた。

「え……!?」

 ドスン。と、身体を横たえた【擬態龍】はぴくぴくと身体を小刻みに揺らす。やがて、痙攣すらも停止した。

「何が起きたの?」

 そっと近付く。
 どうやら意識を失っているようだ。
 意識のない魔物の頭上に座り、「へへ」っとロウが笑う。 

「やっぱり効果あったか。俺の予想通りだな」
「予想通りって一体……?」
「この魔法進化なら、【擬態龍】位は倒せるんじゃないかって思ったんだよ」

 ロウは得意気に魔法進化について語る。

「いいか? 泡弾《フォームショット》は、弾が敵に当たると、小さなバブルが発生して敵を包むんだ。そこまでは分かるだろ?」
「何回か使ったことはあるから……」

 力がなければ手数で責める。
 それは理にかなっているようではあるけど、でも、擬態龍に当たった泡弾は一発だった――って、まさか!

「破裂した泡が繰り返されてるってこと!?」
「正解だ」

 一発が無数の泡に弾ける。そして、細かい泡が弾けて更に細かくなる。それを4回繰り返すのが泡々散弾《アワアワーショットガン》。

「弾け続ける泡は小さくなっていく。いくら固い鱗を持っていようが、根元は防げないだろ?」
「そういうこと……か」

 細かいから、内へと入り込んでいく。どれだけ固い鎧でも液体を完全には防げないという訳か。

「これでしばらく、【擬態龍】は動けないだろ。さっさと捕まえて檻にでもぶち込んでやろうぜ?」
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