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ep.1
1-5
「あっ、すみません」
一瞬女性か男性か区別がつかなかったが、男性もののスーツを着ているからおそらく男性なのだろう。
陽の光に溶けてしまいそうな色素の薄い髪の色が目に入る。見慣れた青ラインの入った社員証を下げていた。彼が落としてしまった書類を半分拾い上げたまま、思わずその場で立ち止まる。
「いえ、こちらこそ……」
『あ? 聞いてんのか!?』
男性は電話をしていたらしく、電話越しの声が丸聞こえだった。スピーカーフォンにしていたわけではないだろうに随分と声の大きい相手である。書類を半分持ったまま、整えることもなく彼は電話の相手との会話を続けていた。御堂自身も早々に書類を彼に渡してしまえばいいのだが、何となくその場を離れられなかった。
「ですから、その資料は昨日のうちにまとめてチャットで共有しています。中田主任と坪沼係長の机にも置いています」
『俺が内容知らなかったから課長に変に思われただろうが! どうしてくれるんだよ!』
「……すみません」
(随分とひどい言いようだな……)
電話の相手は随分とご立腹のようで、どう聞いても理不尽な言いように御堂は眉を潜める。内容を知らなかったのは自分の確認不足のせいで、目の前の彼のせいではないだろう。正義感の強い御堂は、個人の感情や持論で部下や後輩を陥れることを何よりも嫌っていた。
『だいたい、スケジュール管理ができなくて遅い時間に共有するのが悪いんだろ! これだから三神峯は使えねぇんだよ! 使えねぇくせにチームリーダーなんて任されやがって……』
三神峯。電話越しに聞こえてきたその名前に、彼が提げていた社員証に目を向けた。
――共立ファイン株式会社。薬事開発研究部 薬事研究課(薬剤師)。
――三神峯 景。
社員証には、そう書いてあった。
「……三神峯さん」
一瞬女性か男性か区別がつかなかったが、男性もののスーツを着ているからおそらく男性なのだろう。
陽の光に溶けてしまいそうな色素の薄い髪の色が目に入る。見慣れた青ラインの入った社員証を下げていた。彼が落としてしまった書類を半分拾い上げたまま、思わずその場で立ち止まる。
「いえ、こちらこそ……」
『あ? 聞いてんのか!?』
男性は電話をしていたらしく、電話越しの声が丸聞こえだった。スピーカーフォンにしていたわけではないだろうに随分と声の大きい相手である。書類を半分持ったまま、整えることもなく彼は電話の相手との会話を続けていた。御堂自身も早々に書類を彼に渡してしまえばいいのだが、何となくその場を離れられなかった。
「ですから、その資料は昨日のうちにまとめてチャットで共有しています。中田主任と坪沼係長の机にも置いています」
『俺が内容知らなかったから課長に変に思われただろうが! どうしてくれるんだよ!』
「……すみません」
(随分とひどい言いようだな……)
電話の相手は随分とご立腹のようで、どう聞いても理不尽な言いように御堂は眉を潜める。内容を知らなかったのは自分の確認不足のせいで、目の前の彼のせいではないだろう。正義感の強い御堂は、個人の感情や持論で部下や後輩を陥れることを何よりも嫌っていた。
『だいたい、スケジュール管理ができなくて遅い時間に共有するのが悪いんだろ! これだから三神峯は使えねぇんだよ! 使えねぇくせにチームリーダーなんて任されやがって……』
三神峯。電話越しに聞こえてきたその名前に、彼が提げていた社員証に目を向けた。
――共立ファイン株式会社。薬事開発研究部 薬事研究課(薬剤師)。
――三神峯 景。
社員証には、そう書いてあった。
「……三神峯さん」
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