11 / 25
第二章
満月
しおりを挟む
侑輝はシャープペンシルをもう一度強く握って集中する。今朝の優しい匂いと柔らかい感触が身体に残っている気がする。それでも今はテストに集中しなければいけない。
3日間に及ぶテストをようやく終えた後、4日目には好感度装置による好感度測定が行われた。好感度測定ではお互い対面している2つの椅子型の装置に座り、ただ相手を見る。頭には電子量とホルモン量、加え神経伝達物質の量などが測定できるヘルメット型の装置が互いに取り付けられる。約5分間の後、測定は終える。
そして更に3日後…テスト結果が張り出された。
「侑輝さん、見に行きましょう。」
「近衛さんもいるし10位くらいにはなれたかもしれないな」
「きっと10位以内入ってます。」
掲示板の前にはすでに沢山の生徒で溢れていた。歓喜の声や悲嘆の声が聞こえてくる。掲示板の前に来ると周りの目が集まり、ざわつき始めた。
少し空気が変だと侑輝は身構えた。
片腕の男と完璧な女の子との風景はそのころには学校の生徒は気にしていない様子だった。しかし、以前と同じように生徒の沢山の目が気になる。しかしすぐにその理由は理解した。
掲示板を見ると…
「えっと…1位…星乃侑輝・近衛乙月 1022点……1位!?1022点!?」
1022点!?学力テストでも最高点は600点のはず。つまりは400点以上が好感度点数分に加算されている。4で割って100。授業で習ったことによると100以上は結婚相手と同じレベル。侑輝は全身が熱くなるのを感じた。すぐ後ろの近衛乙月を見るとドヤ顔をしてこちらを見ていた。まるで「ほらね」と言わんばかりである。近衛乙月はこの点数がどういう意味をもっているのかわかっているんだろうか。しかし、当然と言わんばかりの顔である。
「久しぶり星乃君」
突然聞いたことがあるような男の声が聞こえる。
「え、あ倉田君」
「どうなってるんだ1022点て…」
「いや俺も、よく、わからない…」
倉田君は心底驚いた顔をしていたが、目の前の本人はもっと驚いていた。倉田君は分からないというように首を傾けると急に冷静になって近衛乙月を見た。
「…星乃君、少し丸くなったな」
「そう?」
「ああ、なんか前の淡泊さがなくなったっていうか…。なんか肩の力を抜いている感じというべきか。」
「それって良くなってるのか?」
「勿論」
「はあ」
侑輝にとっては寧ろ今の状態より肩の力が入っていた。というか、ここ最近は近衛乙月の御陰でずっとそうであった。肩の力を抜いているというよりは近衛乙月が甲斐甲斐しく自身の世話をしているために丸くならざる終えないと言ったところである。
「…きっとパートナーとの相性がいいんだな」
倉田君は俺を見た後、近衛さんを見て、再度俺を見た後に笑った。
『星乃侑輝さん、近衛乙月さんは至急第1研究準備室に来てください。』
と突然の放送…
…その後、衝撃の事実が知らされることになった…
「失礼します。」
近衛乙月と一緒に第一研究準備室へと行くと白衣を着た中年の男性がパソコンのモニターを見ていた。研究室にはコーヒーの匂いが立ち込めている。男の手元にはコーヒーカップと乱雑に大量の資料が置かれている。今時、紙を使うなんて珍しい。2人が入ってきたことに気が付くと「よっこいしょ」という言葉と共に立ち上がった。身長は180センチメートルはあるだろうか、顔は間抜けずらと言う言葉がぴったりだった。髪の毛は寝ぐせのように跳ねた跡が数か所あり、髭もあまり剃っていないようだった。
「おお、来たか…」
「用件はなんでしょうか。」
「その前に、来てもらって悪いが近衛さんは自室へ戻ってくれるかな」
わざわざ呼び出しておいて、また帰すというのも骨折り損であるが間抜けずらの男はその顔とは似合わず真剣さが漂っていた。近衛乙月へと目をやると少し残念そうにしていたが、仕方ないという顔をすると「侑輝さん、では待ってますね。」と言って部屋を後にした。
近衛さんが部屋を出て少しした後、男は口を開けた。
「悪い悪い、まずは自己紹介かな。僕の名前は村木恵介と言うものだよ」
「村木…恵介…って…」
その名前は何度か聞いたことがある。好感度の数値化を研究し成功させた主導者…。
「お察しの通り、僕が好感度の数値化を行った張本人だ。偶々この学園に用事があったとこでみんなの好感度のデータを暇つぶしに見ていたんだけど…星乃侑輝君であっているね?」
「は、はい」
「まあ、座ってくれ。コーヒー飲めるかな?」
「え、ええ…」
研究室にある無機質なデザインのソファに座ると、すぐにインスタントコーヒーが出てきた。
「今回、星乃君を呼び出したことについて何か思い当たることはあるか?」
「え…と…一位になったことですかね?」
「ふむ…まあ間違いではないんだ。1位というより点数の話だ」
「…1022点」
「そう、1022点!」
村木恵介は元気よく斜め45度を見上げながら声を響かせる。まるで新しいおもちゃを発見した子供がそのまま大人になってしまったようだ。村木恵介は何度か1022点とつぶやくと自身の机にあった二枚の紙を差し出した。
「とりあえず、まずはこれを見てくれ。」
紙には「学力テストの詳細な結果・星乃侑輝 近衛乙月」と書いてある。村木恵介を見ると目で二枚目を見てくれと言うように目配せした。
紙には星乃侑輝と近衛乙月の今回のテスト結果が出ている。
近衛乙月は6科目中3教科で100点を取っている。しかも残りの3教科は95点以上。侑輝は改めて近衛乙月の天才さを思い知った。
「えー自分のは…」
80点から85点の間の点数が5教科に並び数学だけ93点取れている。侑輝は心の中で大きくガッツポーズした。侑輝にとっては十分に納得のいく点数だ。
近衛乙月へ心の中で感謝しながら今回の6教科の合計平均点数を見ると546点と書いてあった。近衛さんの教えの結果か、それとも努力のお陰だろうか、自分の中では満足のいく結果だった。
好感度のほうは…
星乃侑輝から近衛乙月に対する好感度…52点
近衛乙月から星乃侑輝に対する好感度…186点
換算好感度点数…476点
「ひゃく…はちじゅう…ろく…?」
「そうだ、近衛さんから君に対する好感度は186…これは…異常だ!」
村木恵介はそういうと目をゆっくりと閉じて何か考えるように顎に手を当てた。
それから白衣の男はつらつらと好感度についての研究を話し始めた。
3日間に及ぶテストをようやく終えた後、4日目には好感度装置による好感度測定が行われた。好感度測定ではお互い対面している2つの椅子型の装置に座り、ただ相手を見る。頭には電子量とホルモン量、加え神経伝達物質の量などが測定できるヘルメット型の装置が互いに取り付けられる。約5分間の後、測定は終える。
そして更に3日後…テスト結果が張り出された。
「侑輝さん、見に行きましょう。」
「近衛さんもいるし10位くらいにはなれたかもしれないな」
「きっと10位以内入ってます。」
掲示板の前にはすでに沢山の生徒で溢れていた。歓喜の声や悲嘆の声が聞こえてくる。掲示板の前に来ると周りの目が集まり、ざわつき始めた。
少し空気が変だと侑輝は身構えた。
片腕の男と完璧な女の子との風景はそのころには学校の生徒は気にしていない様子だった。しかし、以前と同じように生徒の沢山の目が気になる。しかしすぐにその理由は理解した。
掲示板を見ると…
「えっと…1位…星乃侑輝・近衛乙月 1022点……1位!?1022点!?」
1022点!?学力テストでも最高点は600点のはず。つまりは400点以上が好感度点数分に加算されている。4で割って100。授業で習ったことによると100以上は結婚相手と同じレベル。侑輝は全身が熱くなるのを感じた。すぐ後ろの近衛乙月を見るとドヤ顔をしてこちらを見ていた。まるで「ほらね」と言わんばかりである。近衛乙月はこの点数がどういう意味をもっているのかわかっているんだろうか。しかし、当然と言わんばかりの顔である。
「久しぶり星乃君」
突然聞いたことがあるような男の声が聞こえる。
「え、あ倉田君」
「どうなってるんだ1022点て…」
「いや俺も、よく、わからない…」
倉田君は心底驚いた顔をしていたが、目の前の本人はもっと驚いていた。倉田君は分からないというように首を傾けると急に冷静になって近衛乙月を見た。
「…星乃君、少し丸くなったな」
「そう?」
「ああ、なんか前の淡泊さがなくなったっていうか…。なんか肩の力を抜いている感じというべきか。」
「それって良くなってるのか?」
「勿論」
「はあ」
侑輝にとっては寧ろ今の状態より肩の力が入っていた。というか、ここ最近は近衛乙月の御陰でずっとそうであった。肩の力を抜いているというよりは近衛乙月が甲斐甲斐しく自身の世話をしているために丸くならざる終えないと言ったところである。
「…きっとパートナーとの相性がいいんだな」
倉田君は俺を見た後、近衛さんを見て、再度俺を見た後に笑った。
『星乃侑輝さん、近衛乙月さんは至急第1研究準備室に来てください。』
と突然の放送…
…その後、衝撃の事実が知らされることになった…
「失礼します。」
近衛乙月と一緒に第一研究準備室へと行くと白衣を着た中年の男性がパソコンのモニターを見ていた。研究室にはコーヒーの匂いが立ち込めている。男の手元にはコーヒーカップと乱雑に大量の資料が置かれている。今時、紙を使うなんて珍しい。2人が入ってきたことに気が付くと「よっこいしょ」という言葉と共に立ち上がった。身長は180センチメートルはあるだろうか、顔は間抜けずらと言う言葉がぴったりだった。髪の毛は寝ぐせのように跳ねた跡が数か所あり、髭もあまり剃っていないようだった。
「おお、来たか…」
「用件はなんでしょうか。」
「その前に、来てもらって悪いが近衛さんは自室へ戻ってくれるかな」
わざわざ呼び出しておいて、また帰すというのも骨折り損であるが間抜けずらの男はその顔とは似合わず真剣さが漂っていた。近衛乙月へと目をやると少し残念そうにしていたが、仕方ないという顔をすると「侑輝さん、では待ってますね。」と言って部屋を後にした。
近衛さんが部屋を出て少しした後、男は口を開けた。
「悪い悪い、まずは自己紹介かな。僕の名前は村木恵介と言うものだよ」
「村木…恵介…って…」
その名前は何度か聞いたことがある。好感度の数値化を研究し成功させた主導者…。
「お察しの通り、僕が好感度の数値化を行った張本人だ。偶々この学園に用事があったとこでみんなの好感度のデータを暇つぶしに見ていたんだけど…星乃侑輝君であっているね?」
「は、はい」
「まあ、座ってくれ。コーヒー飲めるかな?」
「え、ええ…」
研究室にある無機質なデザインのソファに座ると、すぐにインスタントコーヒーが出てきた。
「今回、星乃君を呼び出したことについて何か思い当たることはあるか?」
「え…と…一位になったことですかね?」
「ふむ…まあ間違いではないんだ。1位というより点数の話だ」
「…1022点」
「そう、1022点!」
村木恵介は元気よく斜め45度を見上げながら声を響かせる。まるで新しいおもちゃを発見した子供がそのまま大人になってしまったようだ。村木恵介は何度か1022点とつぶやくと自身の机にあった二枚の紙を差し出した。
「とりあえず、まずはこれを見てくれ。」
紙には「学力テストの詳細な結果・星乃侑輝 近衛乙月」と書いてある。村木恵介を見ると目で二枚目を見てくれと言うように目配せした。
紙には星乃侑輝と近衛乙月の今回のテスト結果が出ている。
近衛乙月は6科目中3教科で100点を取っている。しかも残りの3教科は95点以上。侑輝は改めて近衛乙月の天才さを思い知った。
「えー自分のは…」
80点から85点の間の点数が5教科に並び数学だけ93点取れている。侑輝は心の中で大きくガッツポーズした。侑輝にとっては十分に納得のいく点数だ。
近衛乙月へ心の中で感謝しながら今回の6教科の合計平均点数を見ると546点と書いてあった。近衛さんの教えの結果か、それとも努力のお陰だろうか、自分の中では満足のいく結果だった。
好感度のほうは…
星乃侑輝から近衛乙月に対する好感度…52点
近衛乙月から星乃侑輝に対する好感度…186点
換算好感度点数…476点
「ひゃく…はちじゅう…ろく…?」
「そうだ、近衛さんから君に対する好感度は186…これは…異常だ!」
村木恵介はそういうと目をゆっくりと閉じて何か考えるように顎に手を当てた。
それから白衣の男はつらつらと好感度についての研究を話し始めた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
田舎の幼馴染に囲い込まれた
兎角
恋愛
25.10/21 殴り書きの続き更新
都会に飛び出した田舎娘が渋々帰郷した田舎のムチムチ幼馴染に囲い込まれてズブズブになる予定 ※殴り書きなので改行などない状態です…そのうち直します。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる