悪役令嬢の妹(=モブのはず)なのでメインキャラクターとは関わりたくありません! 〜快適な読書時間を満喫するため、モブに徹しようと思います〜

詩月結蒼

文字の大きさ
49 / 184
第一部

48.ねえ教えて

しおりを挟む



「私とクロウの関係ですが、異母兄弟なことに間違いはありません。これはユリアーナ様もご存じなのでは?」
「ええ知ってるわ」
「ならどうしてことことを取引する情報に選んだのですか?」
「確かめたいことがあったのよ」

 このことを私が知ったのは拘束された少年に話を聞いたからだ。
 コイン変換の際にも聞いたが、ここでは何人も取引をしている。
 いくらエヴァでも全員の会話を聞き取るのは難しい。
 なのにエヴァは私が二人が異母兄弟であることを知っているとわかっていた。
 だとすれば、考えられるのは一つだけ。

「あなた、私があの子を買うまでの間、何をしていたのか知ってるでしょ」
「ここをどこだとお思いですか? 私の領域内にネズミが侵入したぐらいわかるに決まってるでしょう。でなければ、ここはとっくに国に潰されてます」
―――そうだよね。

 ここにはエヴァの結界やらなんやらが緻密に張り巡らされている。
 侵入や逃走をすぐに見つけるためだろう。
 私が最初にここに来た時は侵入者だ。
 今は客だから何も言わないが、もし私が少年を買えなかったら、今頃殺されていたに違いない。
 ここは金持ちが権力を持つ世界だ。

「ねえエヴァ」
「なんでしょう」
「異母兄弟、ってだけじゃないわよね?」
「……どういう意味です?」

 とぼけるのなら、深入りするだけだ。
 私は多分、少年の“秘密”を知っている。

「エヴァ、教えて? どうしてあの子の力を抑えているの?」
「!」

 エヴァの表情が大きく変わった。

―――当たりね。

 私が知りたいのはエヴァと少年の関係。
 正妻の愛人の息子の異母兄弟。
 それにより結ばれた主従契約。
 しかし、おそらくそれだけではない。

「魔力に戦闘能力……あの子の力はもっと高いはずよ。なのに抑えている。暴走を懸念して? ううん、それだけじゃないわ」

 私は他者に自分の魔力を流すことによって、その人がどのくらいの魔力を持っているのか知ることができる。
 魔力の底を探るのだ。
 しかし少年の魔力の底はわからなかった。
 おそらく、少年の奥底には私よりも多い巨大な魔力が眠っている。
 しかしそれだけではない。
 実際に触れてわかった。

「ねえエヴァ。あの子の『記憶』を封じているのはなぜ?」
「!!」
「もっと言うのなら、本当のあの子は、はるか昔に絶えたと言われているある一族の末裔なんじゃないの?」

 夜空のような黒髪に、黒曜石の瞳を持ち、類い稀なる桁外れな戦闘能力と、そこ知れぬ魔力を持つ……。
 そんな一族が昔いたと文献にあった。
 少年は(推定)悪役側の主要人物《メインキャラクター》だ。
 最強系でもおかしくはない。

「あの子を私の暗殺のために送り込んだのは、私があの子の“秘密”を知っているからなの? ねえエヴァ。私はあなたの目にどう映っているの?」

 エヴァ何も話さない。
 だが、私には少年の主人として、少年のことを知る権利がある。

「ねえ教えて、エヴァ。あなたは何故隠しているの?」

 そのことを知るのは、エヴァしかいない。



――――――――――――
報告/
 あくモブのPVがついに1万を超えました。
 読者の皆様への感謝と、そのお礼として短編を近況ノートで公開中です。時間がある方はぜひ。
↓↓↓
https://kakuyomu.jp/users/shidukiyua/news/16818093093252130522
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした

犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。 思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。 何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

前世の記憶を思い出したら、なんだか冷静になってあれだけ愛していた婚約者がどうでもよくなりました

下菊みこと
恋愛
シュゼットは自分なりの幸せを見つける。 小説家になろう様でも投稿しています。

治癒魔法で恋人の傷を治したら、「化け物」と呼ばれ故郷から追放されてしまいました

山科ひさき
恋愛
ある日治癒魔法が使えるようになったジョアンは、化け物呼ばわりされて石を投げられ、町から追い出されてしまう。彼女はただ、いまにも息絶えそうな恋人を助けたかっただけなのに。 生きる希望を失った彼女は、恋人との思い出の場所で人生の終わりを迎えようと決める。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

処理中です...