58 / 184
第一部
57.よっしゃあぁっ!!
しおりを挟むブライト・コルトレッド・アンリィリル。
アンリィリル王国の第一王子で、私の大切なエリアーナの婚約者。
金髪碧眼の王道系王子に見えて実は執着が強く腹黒で思考が読めない「クソ王子」と呼んでいる王子である。
「……なにか、情報があるのですか?」
―――悪いことを企んでるなら阻止しないとね。私のエリアーナの恋心を利用して婚約者になったクソ王子は。
堂々の一位に輝く悪役と見ている。
「ユリアーナ様への嫌がらせとしてエリアーナ様と婚約されたブライト様ですが、どうやらユリアーナ様への興味が薄まったようです」
「! それって、もしかして……」
「はい。全属性の少女に移ったかと」
―――よっしゃああぁっ!!
筆頭魔術師、筆頭魔術師ってうるさかったクソ王子からようやく解放される!
さいっこうだ!
ここが自室だったらユリとハイタッチしているところである。
「ユリアーナ様にとって喜ばしい出来事であると思いますが……残念なことに、まだ両手をあげて祝杯をあげることができません」
「えっ! どうしてですか?」
こんなにも素晴らしい出来事なのに、何故だろう。
「ユリアーナ様、よく思い出してください。ブライト様がエリアーナ様と婚約したのはユリアーナ様への嫌がらせのためです」
―――そうだね。それがどうかして……ん、待てよ。何か見逃しているような気がする。
前提として、クソ王子の目的のためにエリアーナが必要だった。
でも今は全属性の少女が現れたから自然と私の興味も薄れて、それに伴いエリアーナもいらなくな……あっ!!
「エリアーナとの婚約がなくなる!?」
「一つの可能性にすぎませんけれど、十分あり得ます」
―――嘘だろマジか……。やっぱクソだわクソ王子。
全属性の少女を王族に取り込むために第一王子か第二王子に嫁がせるんじゃないか疑惑が出ていた。
クソ王子はエリアーナと、ノーブル様はレティシア様と婚約している。
ノーブル様はレティシア様の体裁も考えて婚約破棄はしないだろうが、ブライト様はそんなノーブル様に変わって「仕方なく」という形で好きでもないエリアーナを切り捨てることができる。
「最悪じゃないですか!」
「だから素直に喜べないのです」
「あああああ……」
「ユリアーナ様にとってはどちらも嫌な状況に変わりはありません。今日はそのことを直接伝えるためにお茶会を開いたようなものです。頑張ってください」
優雅にお茶飲むなあ……さすが紫系の良いとこ育ちの主要人物《メインキャラクター》。
―――ルアー、今ちょっといいー?
「〈ここの奴らを皆殺しに?〉」
―――物騒なこと言わない。みんないい人だから絶対ダメだよ。いいね?
「〈冗談だ〉」
物騒な冗談だな、おい。
しかもその冗談はルアなら実現しかねないので怖い。
私はちゃんと釘を刺した後、用件を話した。
―――遠隔でクソ王子の監視できる?
「〈クソ王子って……どっちのことだ〉」
アンリィリル王国には二人の王子と一人の王女がいる。
王女様の方には会ったことがない。
名前は確か……いや、今思い出すことじゃないね。
また脱線しちゃうよ。
―――第一王子の方。第二王子のノーブル様はクソ王子と本当に双子なのかと思うくらいめっちゃいい人だよ。
「〈……あんた、第一王子に何されたんだよ〉」
―――本を取られてエリアーナと婚約されて嫌がらせされてる。
「〈殺すか?〉」
え、いいの!? と心の中で若干乗り気だったのは秘密だ。
反逆罪で殺されかねない。
―――だめ。ルアが悪者になるのは嫌。
「〈そうか〉」
―――うん。
「〈わかった。とりあえずクソ王子は俺がなんとかしておく〉」
この時から私たちの中では第一王子が「クソ王子」として定着した。
―――ありがと、ルア。
「〈俺はあんたの従者だからな〉」
それは未来の私を守るためだから、ということだろうか。
ルアが有能で助かるな~と思いつつ、私は意識を現実に戻した。
「情報提供感謝します、レティシア様」
「いいえ。ノーブル様との接触を避けていただけるのであれば、わたくしにはこれ以上に望むものなどありませんから」
―――本当にノーブル様ラブだね、レティシア様は。
大人びて見えて、内では燃えたぎる熱い思いを隠しているミステリアスな人物、それがレティシア様の紫系の主要人物だ。
―――どうかそのままでいてほしい。
レティシア様とはこれからも良い関係を築きたい。
私は仲間が少ない。
だから互いの利害で協力しあうしかないのだ。
―――さあ、頑張りますか。
全属性の少女を調べること。
クソ王子の監視をすること。
それ以外にもエヴァとの契約が残ってる。
私が平穏に生きるためにも、快適な読書生活を送るためにも、今のうちに苦労しないとね。
私はレティシア様と細かい情報を交換してお茶会を終えた。
134
あなたにおすすめの小説
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした
犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。
思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。
何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
プロローグでケリをつけた乙女ゲームに、悪役令嬢は必要ない(と思いたい)
犬野きらり
恋愛
私、ミルフィーナ・ダルンは侯爵令嬢で二年前にこの世界が乙女ゲームと気づき本当にヒロインがいるか確認して、私は覚悟を決めた。
『ヒロインをゲーム本編に出さない。プロローグでケリをつける』
ヒロインは、お父様の再婚相手の連れ子な義妹、特に何もされていないが、今後が大変そうだからひとまず、ごめんなさい。プロローグは肩慣らし程度の攻略対象者の義兄。わかっていれば対応はできます。
まず乙女ゲームって一人の女の子が何人も男性を攻略出来ること自体、あり得ないのよ。ヒロインは天然だから気づかない、嘘、嘘。わかってて敢えてやってるからね、男落とし、それで成り上がってますから。
みんなに現実見せて、納得してもらう。揚げ足、ご都合に変換発言なんて上等!ヒロインと一緒の生活は、少しの発言でも悪役令嬢発言多々ありらしく、私も危ない。ごめんね、ヒロインさん、そんな理由で強制退去です。
でもこのゲーム退屈で途中でやめたから、その続き知りません。
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
治癒魔法で恋人の傷を治したら、「化け物」と呼ばれ故郷から追放されてしまいました
山科ひさき
恋愛
ある日治癒魔法が使えるようになったジョアンは、化け物呼ばわりされて石を投げられ、町から追い出されてしまう。彼女はただ、いまにも息絶えそうな恋人を助けたかっただけなのに。
生きる希望を失った彼女は、恋人との思い出の場所で人生の終わりを迎えようと決める。
至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます
下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる