宇宙戦鬼バキュラビビーの情愛

GMJ

文字の大きさ
33 / 45
番外編:ハラダレミーの友愛

レミのお仕事

しおりを挟む
「こんなところにピアノバーがあったのか」

「いいところでしょ、ナカザトさん。ここのママがまた色っぽくて……」

話しながら入ってきた客は二人。

最後の言葉はコソコソと喋っていたが、しっかり聞こえている。

誰がママだ。ここはバーだ。スナックじゃない。

そんな失礼なことを言っているのは、たまーに来る中年のオッサン。

名前は……なんだっけ?

くたびれたスーツ来てメガネかけてて中間管理職っぽいから、チューカンって呼んどくか。

「カウンターにします? それともテーブルがいいですか?」

満面の愛想笑いを浮かべて接客する私。

「カウンターにしよう。あんたの顔が良く見えるように」

ナカザトと呼ばれた男が応えた。

しれっと調子のいいことを言っているが、あえて聞き流すことにした。

チューカンと一緒でメガネにスーツなのに、ナカザトは全然くたびれた感じがしない。

シュッとしてる。

「お客さんは初めてですね。よろしくお願いします」

カウンターに座る二人の前にオシボリとコースターを置きながら話しかけると、ナカザトがジロジロと私を見つめていた。

あまりいい気はしない。

「どうかされましたか?」

私は負けじと見つめ返す。

「レミさんが、あんまりキレイなんで見とれてるんですよ、ハハハハハ」

なぜか隣のチューカンが代わりに応えた。

あんたには聞いてないって。

チューカンに気を取られている隙にナカザトは私から視線を外していた。

「……なんだ、まだガキじゃねぇか」

と、呟きながら!!

何か言い返してやろうと思って身を乗り出したとき、またもやカランとドアベルが鳴った。

6人ほどの団体客が入ってくる。

「いらっしゃいませ、こちらのテーブル席でいいですか?」

そう言ったのは私じゃない。一音だ。

私が動く前に、客のはずの一音が案内して、そのまま注文まで取りだしていた。

実は、この店ではよくあることだったりする。

「生ビール3杯と、ジントニック、ブルドッグ、ボンベイサファイヤですね」

一音が復唱していると、

「カクテルは、俺がつくるよ」

透がカウンターの中に入ってドリンクの用意をしだした。

おや、透が手伝ってくれるのは珍しい。

一音の前でいいところ見せようと思ってるとか?

癪だけど、正直、団体客が来たときには助かるなぁ。

「おい、俺たちも注文いいか?」

「あら、ごめんなさい」

ナカザトの言葉に我に返り、私も粛々と仕事をすることにした。

店内の全員にドリンクが行き渡ると、静かなバーも、あっという間に賑やかな雰囲気になる。

しばらくナカザトたちの話に適当に相槌をうっていたが、

「いやー、ナカザトさんにはかないませんとも。ガハハハハ」

酒を飲んで、チューカンの声が大きくなってきた。

うるさい。

正直しんどいので、

「それじゃー、そろそろピアノでもきいてもらおっかな」

と、ピアノのほうに向かうことにした。

するとナカザトが驚いたように聞くのだ。

「あんたが弾くのか?」

「他に誰がいます?」

「あっちのスラっとした子のほうがピアノって感じだろ」

ナカザトが一音のほうを見やる。

「そーゆーことは、聴いてから言ってもらえますか~」

「まあ、聴くけどさ。背伸びするとロクなことがないぜ、おチビちゃん」

なんですって?

おチビちゃんと言いました? このメガネ。

このレディに向かって!

……。

いやいやおこっちゃダメダメ。仕事中仕事中。

接客業だもの。こんなことで腹を立ててたら持たない持たない。

私は心を落ち着けると、にっこりとナカザトに微笑んで言った。

「いいから黙って聞きやがれ、この野郎」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合短編集

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...