勘当された少年と不思議な少女

レイシール

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 第5章 孤児

第112話 土の貴船神社

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 アクオスが俺たちの方を向き、口を開いた。
「この辺りは少し特別な場所でな。近くの人たちは『土の貴船神社』って呼んでるんだ。もうすぐ見えてくる」

 そう教えられてからしばらくすると、彼が指をさした。
「ほら、あそこ。小さな建物が見えるだろ?」

 俺とアリーは目を凝らす。確かに何かが建っているが、それが神社なのかどうか分からず、不思議そうに顔を見合わせた。

「ランが首をかしげるのも無理はないな。でも、『土の貴船神社』って名は貴族も平民も一度は耳にしたことがあると思うんだが……」

「あぁ……その名前なら知ってる。そっか、ここがそうだったんだ」
「うん、私も名前だけは知ってる。じゃあ、みんなここで止まってる理由は……」

 アリーの問いにアクオスは頷いた。
「この場所を見てみたい人たちが、一度ここで足を止めるんだ」

 話を聞きながら外を眺めていると、ティアナが声を弾ませる。
「あっ! ほら、もうすぐ湖と『土の貴船神社』が見えてくるよ。ランたちも見て!」

「うん、分かった」
 俺たちは頷き、窓の外へ視線を向けた。

「すごい……ここまで絶景だったなんて」
 アリーが感心したように呟く。

「なぁ、アクオス。この景色って、いつもこうなのか?」
 俺が尋ねると、彼は首を振った。

「いや、いつもじゃない。天気次第で見え方が変わるんだ。晴れて空気が澄んでる時はよく見えるけど、霧や雨の日はほとんど隠れてしまう」

「じゃあ、ここにいる人たちは……」

「そう。前の日に泊まった宿で聞いてから来る人がほとんどだよ。今日はよく見えるって分かってるから、こうして集まってるんだ。ただ俺たちみたいに旅の途中でよる人もいるからね」

 なるほど……、と俺は心の中で感心した。宿で情報を得てから動く……だから、これほど人が集まるのか。

「だからさ、何も知らずに来た人たちは、景色が見られなかったらがっかりして帰っていく。逆に見られた時は感動しながら帰っていくんだ。まぁ、当然のことだけどな」
 アクオスが肩をすくめる。

「確かに……。私もこの景色が見られなかったら、ちょっと落ち込むかも」
 アリーがしみじみと呟いた。
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