勘当された少年と不思議な少女

レイシール

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 第1章 旅立ち(上)

第11話 ギルド

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 アリーが部屋に入った後
「ねぇ、ちょっといいかしら」
 怖い顔をしたユリアさんに呼び止められ、

「それは俺の事ですよね」

「そう、貴族のあなたがどうして1人でここにいるのか聞いても?」

 ここはヘーニル領なので、ユリアさんやこの領の近くの町や村の人達は俺が貴族だということを知ってる。
 たまにしか家を出る事が出来ない俺は、少しの時間だけでも嬉しかった。

 その俺がこんな所にいることに、不思議に思ったのだろう。俺はさっきアリーに話した事をそのまま伝えた。 
 
「じゃあ、あなたは本当に平民になったばかりなのね…」
「はい、元々15になったら家を出る事が決まってましたから…。今日15になったばかりなので…朝に出てきたんですけど…」
「なんで15なの?」
「それは成人が15だから…、それまでは…成人までは家から出さない方がいいと判断したみたいです」
「だから1人なの?」
「はい。父上や姉上達がいない時を狙って『少しの時間だけでも』と、兄上が俺を外へ連れている事は知らないので…」
 ユリアさんは俺が嘘をついてると思ってたみたいだ。

「これからどうするのか、決めてあるの?」
「あちこち旅をして見ようかと思います」
 そしたらユリアさんが
「ここにもギルドはあるから、冒険者登録はしておいた方がいいよ」
「なんで?」
 と疑問に思いながら
「登録しておけば仕事が出来るし、冒険者専用のカードが身分証代わりにも使えるから」
 そんなことを言われ、確かにあれば良いことではある。たぶんアリーと一緒に行動することになると思うから…
「もし2人一緒に行動する様なら、パーティー登録もした方がいいよ。ランクが低い人は基本的に初心者が多いの。まだ何も知らないから変な人に絡まれたり、騙されたりする人がいるの」
「ランクって何ですか?」
「ランクは下から F.E.D.C.B.A.S.SSとなってるの。誰でも登録した時はFから始まるの」
「パーティー登録とは?」
「簡単にいえば、グループのこと。何かあった時にパーティー登録しておけば、連絡を取るのが簡単だから」

「パーティーって組んでないと連絡取れないんですか?」
「取ることはできる。でも手続きが大変なの」
「大変?」
「そう、なんでこの人と連絡を取りたいか詳しく聞かれるの」
「そんな事まで…」
 俺は呆気にとられながらも
「昔、ランクが低い人達を狙った詐欺や使い捨てで駄目になった人達が沢山出たの」
「その人達はどうなったんですか?」
「その人達はソロ…1人で冒険者をしてる人が多いわ。仲間が怖くて1人がいいと言って…」
 俺は疑問に思いながらも
「ユリアさんはどうしてそこまで詳しいんですか?」
「あたしも昔は冒険者しててね、始めはパーティーに入ってたんだけど…」
「それは、もしかして…ユリアさんも…」
「うん、あたしもその被害者なの」
「なんか…すいません…」
 なんだか聞いてはいけない事を聞いてしまったみたいだ。
 ユリアさんの表情や声から寂しく悲しそうに聞こえた。
 そんな事があれば、パーティーがトラウマになってもおかしくない。
「それでも、ソロのA級冒険者で二つ名『野薔薇』と呼ばれてたから」
 そんな答えが返ってきて納得したけど……
 実力があるのと、裏切られるのは全く違う。
 ユリアさんはどうやって克服したんだろう…

「それから、ギルドはパーティー登録をした人以外は連絡を取れなくしたの。パーティー登録したら自動的に仲間の名前と登録が出来て…そしてパーティーを抜けたら、自動的に仲間の名前と登録が消える様にしたの」
「それは…無理やりパーティー登録されるの事はないんですか?」
「たまに、そう言うことをされる事があると報告があるみたい。でも基本的にはないと思って平気だよ」
「分かった」

 俺が思った以上に大変な事だった。
「そんな事があったとは…その事は皆知ってるんですか?」
「知ってるわ、またギルド登録時に説明されると思うけど…」


「あ、そうだ。ラン達はギルドで絡まれると思うから気を付けてね。もし、どうしても無理だと思ったら、あたしの二つ名と名前を出してね」
「ユリアさんの名前と二つ名には何か意味があるの?」
「ランクが高いほど有名になって、周りからいい意味でも悪い意味でも見られてるの」
「それじゃあ、ユリアさんの名前や二つ名を出したとたん…」

「後、このネックレス2つを渡しとくね。ラン達は何かと色々、絡まれそうな予感がするから」
 ユリアさんがネックレスを裏側にして
「ここに薔薇の模様があるでしょ?これを見せればラン達の後ろにあたしがいると証明できるし、それだけでも権力に対して少しは助けになるから」
 と、言って渡してきた。
「ランクが高ければ高いほど、冒険者としての意見が通りやすくなるの。そして、それをたてに使ってくる人達がいるから…」
「それって権力の無駄遣いみたいな物?」
 俺が嫌そうな顔で、そう尋ねれば
「そう、だからどうしても無理って時にはこのネックレスと、あたしの名前を使ってね。と、言っても貴族だと伯爵以下なら通用するから…」
「分かった、その時は使わせてもらうよ」
「うん、そうしてね。あたしがこのネックレスを渡したのは、あなた達だけだから。これを渡したらあたしがギルドに、『○○に渡した』と登録する事が大切なの。後、ランの魔力をこの薔薇の模様に流して」
「はい、やりました」
「そうすれば、このネックレスはランのだって分かるから…」
「それをしなかったら、どうなるんですか?」
「あなた達がこのネックレスを窃盗したとして捕まるの」
 俺はその言葉を聞いて
「その事は明日、アリーと相談して決めます。ありがとこうございます」
 と、答えた。
「そうね。アリーの意志を聞かないで勝手に決める事は出来ないわね」
 ユリアさんは納得したのかこれ以上、何も言ってこなくなった。
「今日はいろいろ教えてくれて、ありがとうございます。おやすみなさい」
 俺はお礼を言ってユリアさんと別れた。
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