まさか転生？

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「おお～！　凄いな、物が並んだだけで一気に店になったな」

「しょうにぇ～♪」

　確かに棚やカウンターがあっても商品の有る無しは印象が変わる。明り取りの窓からは日差しが差し込み店内は明るい。天候の悪い日は明りの魔道具を設置してあるので、大丈夫！

「エアさん、どうでしょう、一応並べてみました。作物も一旦様子を見るために並べてみたんですよ」

「いいでしゅね～。でみょ～、ここはこうちたほうがいいかちょ……しょりぇちょ……」

　ホントはすべてお任せしようと思っていたのに、ディスプレイの仕方が気になりついつい口出ししてしまったが、仕上がりを見て商品が＂見やすい取りやすい＂と言って貰えたので良しとしよう。

　その際に、なぜそうしたのか、そうするとどうなるのかも説明しておくことで、今後の参考にもなるでしょ？



　商品の価格設定を話し合った結果。各作物の基本価格となった。

　作物１つずつの出来はとても大きく味も美味しいのは自信がある、だからと言って金額を高くすると買えない人が出てくる。
　もともと農場を始めたのは子供達が満足に食事が出来ていない事を知ったからだ、もしかしたら同じような境遇の人が他にもいるかもしれないって事に気付いた瞬間、わたしの農場では季節関係なく収穫が出来るんだからって事で今後他のお店で天候などが原因で値段が上がったりしても、絶対にお値段据え置きが決定！


　例えばスラムみたいなの……この街にもあるんだろうか？　今度確認してみよう。




「エアさん、こちらだったのですね！？」

　お店で商品の並べ方や、商品の説明の仕方の話をしていると、なぜかハンスさんが大慌てで走りこんできた。

「はんしゅしゃん？　だいじょうびゅ？」

「すみません。大事なお話の最中でしたよね？　ただ、どうしてもお耳に入れておきたい事がありまして……」


　ハンスさんを奥の応接室に案内して話を聞く事にしたのだが、話はどうやら領主様の事らしい……貴族の事か……しかも孤児院を切り捨てたんでしょ？　聞く必要あるの！？　



　勝手な思い込み、大変申し訳ありませんでした。


　どうやら領主様は両ギルマス、サブマスの目に狂いはなかったようで、孤児院の事をとても気に掛けていたらしいく、毎月の運営費の他に管理を任せている貴族に言われるがまま修繕費も出していて、忙しさで確認が出来ていなかったのは問題だが＂守るべき大切な場所＂と認識しているらしい。

　またこの街には親を亡くした子供が多い事も気にしていて、新しい孤児院の建設指示も出していたとの事（全然まったく進んでないらしいけどね！？）

　いつまでたっても完成の知らせが無いどころか、費用の追加要請ばかり。

　そんな時に神獣（ビャクとギンだね♪）の話を聞き詳しく調べてみると３歳の幼女で冒険者（わたしの事だ！？）と契約したと……

　命の危険が付きまとう冒険者に３歳でなるなんて！　と、幼女の心配をしていると、いつも以上に孤児院が気にかかり運営費の増額を検討。そこで、普段から街で生活している両ギルマスとサブマスに相談したことで、信じて任せていた孤児院の現状を今日初めて知って怒りにプルプル！
　


　実は領主様を含む５人で孤児院の現状を見に行ったそうで、あまりの酷さに顔色が青くなったり赤くなったり忙しかったそうだ。（良かった～、外から見たらホントにボロボロのままで気になったけど修繕しなかったんだよ～。これでわたしが直した後だったら信じて貰えなかったよね！？）

　院長先生に謝罪に行きそうだったけど、原因を探り全てを解決してからにしろ！　って事で今日は帰らせたんだって。

　そりゃそうだ！　問題に今の今まで気付かなかった事も大きな問題だが、解決もしていないのに謝罪しても相手に誠意は通じない。
　特に犯人は簡単に見つけられる状況なら尚の事だよね～。まあでも、貴族に対する認識をほんの少し変えてもいいかな？　
　貴族でも平民でも関係なく、良い人悪い人がいるのは当然なんだけど、権力を持つ悪人ってのが特に許せないんだよね～。



「問題が解決し孤児院に謝罪に行った際に、エアさんが孤児院へ貢献されている事の話に間違いなくなるはずですので、その時はエアさんに会って欲しいとお願いするかもしれません。
　もちろんビャクさん、ギンさんをはじめとした従魔様方の力を利用するようなことはありませんし、エアさんの自由を奪う事も絶対に阻止しますのでご安心を！」


　あまり気は進まないけど、この街に暮らすことを決めたんだし……もしもの時の挨拶は仕方ないか～。


　でも、領主様がいくら権力を振り回す貴族でないとはいえ、ビャクとギン、アサギちゃん達のような強い力を知ってしまうと欲しいと思う人が出てこないとは言い切れないから注意が必要だ。
　彼らはわたしの大事な家族、理不尽に奪おうとするなら全力で立ち向かうまで！
　




　気分を変えて別荘にて商品を作っていきますよ♪　（お店にいてもすることなかったの……うぐぅ）


　ギンちゃん家族も別荘で暮らすハニ―ビー・コッコ・ミューと初対面を済ませて、ミューのミルクを特に気に入ってた♪



　ポーションは念の為に初級も作っておくんだけど、売れるのかしら？

　ポーションは前回手探りで作った時の感じでは、錬金釜に入るだけ目一杯の材料をいれた場合、初級～上級関係なく２０本程度……上級なら一本の量が少なくて効果は良いから２５～３０本出来る。


　錬金釜の中身をクルクルかき混ぜながら考える事と言えば……次に気になる物の事で、
　あとはシャンプー・リンス・トリートメント……はぁ、せっけん作りたいけど、確か苛性ソーダって言うのが必要で危険だったはず……グリセリンで作るって方法もあったはずだけどわかんないし……でも、シャンプーとか出来たんだし、魔法や他の薬草で作れないかな？

　世界辞書で調べてみたら、思った通り薬草と樹液と果実が絶対に必要だった。でも今ここにはないから、これから少しずつ材料を探していつ出来るか分からないけどゆっくり完成させよう。楽しみだ♪



　何か気になることがあったような……？　思い出せないまま、黙々と初・中・上級をそれぞれ５回作成（瓶詰作業の方が正直大変だった）

　不味い物は１００本も要らないので２０本はお薬キャンディーやクリームに変えちゃいます。味や香りで色々変化できるから商品数が増えるのが問題だ……思い出した！！

　手押しポンプが気になってたんだ！　んとたしか、上に呼び水を入れる所があってピストンの上下で引っ張り上げるんだよ！　忘れないうちに紙紙～！！
　細かい事は、世界辞書で調べれば大丈夫、イケる！　……はず、たぶん。



　あとは、下水か～。バツ掃除を取り入れて貰ったけど根本から何とかしないと。ただハンスさん達に聞いた時にも思ったんだけど、魔法があって魔道具もあるこの世界でクリーンや浄化だなんて便利な方法があるのに使わないのかな？

　手押しポンプが上手くいったら、トイレや汚水の排水口を浄化やクリーンの魔道具化に挑戦。

　まず手押しポンプは領主様に押し売りして、大至急設置してもらう予定。トイレと排水口の魔道具はお金を持っている貴族には高級品をお高く、庶民には手の出しやすい金額の商品を……でも、高級品のトイレってどんなのだろうか？




『ねえ？　魔石って細かく砕いたら使えないの？　例えば浄化を付与してから砂みたいに細か～くしたらどうなるの？』

　陶器って粘土を焼くから、その粘土の中に魔石を練り込んだらどうかと思うんだけど……

〔細かく……したことが無いからわからんな？　ギンよわかるか？〕

〔ダメになるのでは？　それなら……細かくしてから付与ではどうだろう？〕

〔確かエアさんは魔石をたくさん持っているのでは？　色々試してみるのがよろしいかと思いますが？〕


　なるほど～、ホントだ！　わからない事は試してみればいいんだよ♪　流石アサギちゃん♡


　ん～、まだ一度もゴブリンなど低ランクの魔物を倒したことが無いので、持っている魔石の中で低ランクの魔石はDのまま……こんどFとEの魔石も何とか手に入れてみよう。


　魔石１つを魔法を使って砂に加工……パウダー状の方が全体に満遍なく混ざるかも？　結局粗目・砂・粉の三種類を作る。次は地属性魔法で粘土を作るのだが、近くに粘土の取れる所は無いものか……今回のお試しが上手くいけば大量生産が必要になるから、わたしの魔法だけには頼れないからね！


　粘土を求めてマップを起動すると……ありました♪　門の外だけどあまり離れていない場所だ！
　よしよし、一応安心。ではやっていくか……。

　今から挑戦するのはレンガやタイルなんだけど、たいがい粘土をしっかり捏ねて空気を抜いた状態で形を作り乾かしてから焼き上げで良いはずなんだけど、その最中にダメな物は壊れたりするはず？


　幼児の身体では力が無いので常に魔法を使用。魔法が使える世界ってスバラシイ！！　本来ならジックリ日にちをかけて乾燥とかするのに……出来ちゃった。ヒャッフ～♪


　《消臭浄化レンガ》　製作者　エア・ルミナード
　魔石が練り込まれている事で、耐久性に優れている。
　使用者から必要な魔力を自動吸収。
【消臭・浄化・耐火・耐水・防汚】


　なかなか良い物が出来たのでは！？　これがあればわざわざ排水口として別の物を作らなくても汚れが浄化された物が流れていくでしょ？
　これなら井戸周りは勿論だけど、下水路に敷き詰めてもいい、他の人の家のキッチンがどうなっているのか知らないけど、流しに敷けば……あらこれって、薄切りにしたらタイル替わりになっていいのでは？
　どれ？　おお！　薄切りしても効果が変わらない……最高だわ！
　

　次はトイレ……洋式？　和式？

　形としては和式が簡単なんだけど、使用する時に楽なのは洋式だよね～、でも形が……って見本なら沢山あるじゃないの！

　粘土で洋式トイレを模り、世界辞書様様で釉薬も準備して見本のトイレ第一号を作成！


　《トイレ》　製作者　エア・ルミナード
　魔石が練り込まれている事で、耐久性に優れている。
　使用者から必要な魔力を自動吸収。
【消臭・浄化・耐火・耐水・防汚】


　出来た……けど、家にあるトイレと違って水がない、なんでだ？　ありゃ、水の魔石を付けてなかった……てへへ

　今度こそ完成♪　貴族用と庶民用は釉薬の違いにしようかな？　この３つを商業ギルドに相談する時に確認してみるか？　いいよね♪　


　よし、このくらいで良いだろう♪　ポーション系とお薬キャンディー、シャンプー類に気になっていた臭い対策と手押しポンプと急ぐべきものは完成。





　お店があすオープンするので今日から収穫した物はお店に運ぶ事になったんだけど（鮮度が保てる採集木箱のおかげ）そもそもの量が半端ないので、子供達にもしっかり持ち帰ってもらえる。農場を作った本人でありながら毎日収穫してるのに、翌日も変わらず収穫できるのが驚きだ。

　ただ、調味料がな～。今まで使ってきた調味料は殆どがわたしの持ち物から使っている。スパイスは見つけたし塩はあるけどちょっと高い、砂糖なんかそれ以上に高級品みたいで今のとこ見てないもんね！
　砂糖の原料はサトウキビとか甜菜てんさいだよね～？　この世界に無いのか？

　他にも、しょうゆとかソースも欲しいし、みそ～！　魔法やウエストポーチを使えば作れるだろうけど、今後わたしがずっと作るのは辛いよね、手軽に欲しい……。
　あとお酢！　これも必要だよね！　酢豚が食べたいもん。でもこの世界にお酢がないと人と食べれない……。


　調味料以外ではベーコンとかの燻製品が食べたい。

　世界辞書をもらえたんだし、少しづつ調べて挑戦してみないとね。何よりわたしの楽しみのために！！



　さて、そろそろ夕食の時間だ、今日は何を食べようかな～、間違いなくお肉はいるだろうけどね！