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思い付いたら即行動で、朝食後ドニ一家・住宅メンバーの4人と一緒に孤児院へ。
その道中はと言えば、突然生活が変わり温かい食事に部屋、暖かくきれいな服に温かいお風呂。
昨日までスラムにいたとは誰も信じない程の夢のような暮らし……子供達まで今日から始まる収穫作業を頑張ると張り切っていたと楽しそう。
話を聞いたドニ一家も一緒になって話が弾み過ぎて、ウッカリ行き過ぎ孤児院の子供達に呼び止められちゃった。
「エアちゃん!! おはよう、きょうからぼくたちもがんばるよ! なんでもいってね!」
孤児院に到着すると、昨日からここで暮らし始めた子供達が、朝から元気いっぱいに駆け寄ってきた♪
「おはよ~! むりはだめでしゅよ? にゃにかあっちゃりゃ、いいましゅね♪」
「うん。むりしたら、みんながはたらけないってきいたから、ぜったいむりしないよ!」
「にゃりゃいいでしゅ! わたちは、しぇんしぇ~に、ようがありましゅ。きをちゅけちぇにぇ~」
「「「は~い、いってきま~す!」」」
どうやら子供達が毎日張り切っていて、ドニ一家が到着したら即出発するのがお決まりらしいが、今日はわたしがいた事でほんの少しだけどお喋りしたので、ゆっくりスタートなんだって院長先生が楽しそうに教えてくれた。
「しぇんしぇ~、こりぇ、ばいちろっぷ。……はい、ど~じょ!」
みんなで味見した時の1本から、先生たちの味見用を準備。
「「甘い! でもバイの香りが良いですね~。とても美味しいです」」
「2本も頂いて良いんですか!? 子供達も喜ぶと思います。皆さんも、今日からよろしくお願いしますね?」
「「「「こちらこそ、よろしくお願いします」」」」
院長先生や皆に挨拶を済ませて孤児院を出るが、今わたしは1人と従魔の5匹だけ♪
このまま帰るのは……ちょっとね~、って事で冒険者ギルドですよ~! もしかしたらあの美女パーティーがいるかも!?
それにお肉も卸さないとね? まずはサッサと用事を終わらせよう。
「げいりゅしゃん、おはよ~ごじゃいましゅ♪」
「おお~! 今日も元気だな、エア。肉出来てるぞ、今回も肉以外買取で良いのか? ギガントベアの毛皮は高級品でな~、冬用マントの裏にしたら最高なんだぞ」
「まんちょ! んちょっ、こりぇ! か~いい~でちょ? いまよう、ふゆようでしゅ!」
インベントリから取り出したのは、この街に着いた時に来ていたビャクとお揃いのマントと、冬用だと出して見せたのはフードにモフモフが付いたギンとお揃いのマント。
〘〘いっしょ!!〙〙
〘おお、一緒になるのか!?〙
〘あら、ビャクさんとお揃いも良いですが、それも良いです。可愛らしい〙
ギン一家からは、嬉しそうな念話が……ギンがちょっと興奮してる♪
「良いの持ってるな~。それがあるなら問題なさそうだな」
「はい、だいじょうびゅ♪ ハッ!? 、だぶりゅほーんぶりゅないじょうは!?」
「え!? 内臓!? いるのか!? 内臓だぞ? 捨てずに置いてはあるが……」
「ちんしぇんでしゅか!?」
「ま~な~。本当にいるのか?」
ブンブンと、そりゃもう周りから見ていて首が取れて飛んでいくんじゃないかと心配になる程の勢いで必死に頷いていると
「わ、分かった、分かったから心配するな。その勢いだと首が飛んでっちまうぞ」
「首はちゃんとついているか? 凄い勢いだったな~」
慌てて止めるゲイルさんの声の後で、聞いた事のある声が?
「がいしゃん! おはよ~ごじゃいましゅ。くび? ありゅよ?」
ん? なんのことでしょう?
「ククク、心配になる勢いで首が動いてたからな」
あ……必死になり過ぎてた……え、えへ?
ゲイルさんから札と、お肉とダブルホーンブルの内臓を受け取って査定窓口に移動。人は多いが朝という事もあり査定窓口はガラ空き……スムーズに出来て助かるね~。
ソラとツキは人が多いので、それぞれギンとアサギちゃんの背中の上に乗っている。咥えてもらわないのか聞いたところ、"エアと一緒"なんだって~!! 言う事が可愛いでしょ~♡
「エアちゃん!? 久しぶりね♪ 変わらず可愛いわ~」
この声は! 美人さんの声だ!
「ひゃ~、りりーしゃん! きょうみょ、びじん~♪」
「私達もいるわよ~。ヤッホー♡ そう言えばエアちゃん、この間お店を開くって話してたけど……もしかして"エアの店"って名前?」
ラナさんとユリアナさんが、ひらひらと手を振りながら近寄ってきた。
「……あ、あってましゅ……」
「あ、あら!? どうしたの? 急に元気がなくなったわね」
「はんたいちたんでしゅ……にゃまえ……かえちぇほちいっちぇ……だめでちた」
「「「なんで?」」」
え!? なんでって……なにが?
「エアちゃんのお店でしょ? いい名前よ~」
ラナさんの言葉に、リリーさんとユリアナさんまで同感だ! と力強い頷き。
「ところで! 商品がとっても良い物ばかりだったわ! 野菜や果物、ポーションもだけど、何よりもシャンプーやリンスにトリートメントよ~!! あれはもう絶対に手放せないわ~♡」
「「私も買ったわ!?」」
「「やっぱりエアちゃんのお店なのね!」」
わたしよりも先にユリアナさんの発言に反応したのは、わたし達の周りにいた女性冒険者の皆さん。
「あ、俺も買ったぞ。嫁に頼まれて買って、俺も使ってる。あのシャンプー洗った感じがすげーいいな!」
「俺はHPクリーム買った、ほんのちょっとの傷に使いやすいよな。あとは飴だよ飴! すげ~うまいの!」
「え~!? 私まだ買ってない! 飴!? 買いに行かなくちゃ!」
更には男性までもが参加して、商品の第1回意見交換会が開催されました。
その後もしばらく盛り上がっていると……
「お~い、依頼探しは良いのか?」
ガイナスさんの言葉で本来の目的を思い出して、バタバタと依頼ボードに移動したり窓口へ移動したり……仲間意識でそれぞれ顔を見合ったりアイコンタクトをしながら散っていく。
「エアは良いのか? 査定窓口だろ?」
「ふあ!? しょうでちた! いきましゅ」
「おはよ~ごじゃいましゅ、こりぇ、おにぇがいちましゅ!」
「はい、おはようございます。エアさん、私もお店で買い物させていただきました。HPクリーム使ってます」
「えへへ~、ありがちょ~♪」
窓口のお姉さんもお客様だったんだね~、ありがたや~。
「あ、エアさん! おはようございます。ちょっと時間良いですか?」
声の主はサブマスのハンスさんで、今日も出来るイケオジ執事さんです。
案内されたのは、何度も来た事のあるギルマスの部屋。
「今日はザック達いないんだな、この後どこか行くのか?」
「じゃっくしゃんちゃちは、いえにいましゅ。わたちは、こじいんにいったかえりにゃんでしゅ。
しょうじゃ、きょうちょか……わいばーん、たびぇましぇんか?」
「ワイバーン! そうでしたね、食べさせていただけるんでした。今日ですか? 何もなかったはず……あ、馬鹿貴族の捕獲が今日だったような」
一瞬嬉しそうに興奮したハンスさんだったが、例の貴族の件を思い出した途端に表情が険しい物に。
「ああ~! そうだった! ん~、まぁ関係ないっちゃないんだが……もしかしたら領主様が孤児院への謝罪の時に声を掛けてくるかも……」
ブルックギルマスも思い出して嫌そうな顔になったけど、ワイバーンを優先したそうな感じ……
(コンコン!)
ノックの音にハンスさんが対応したと思ったら、入って来たのは商業ギルドサブマスのハリスさんで、室内にいたわたしを見つけるとニコニコとステキ笑顔で手を振ってくれるので、わたしも振り返しておく♪
「こちらにも連絡が来るでしょうが、先ほど確認しました。終りましたよ」
「確認って……どうやって?」
「近くにいたんですよ、丁度タイミングが良かったんですね~」
大人の大事な話だと思うから、邪魔しないように静かにしないとね! とは思うものの、耳に入って来るんだから仕方ない……けど、タイミングが良かったって、嘘っぽい? 気がしてチラリと様子を伺うとバッチリ視線が合って二~ッコリと微笑まれてしまいました! (なんかヒンヤリする!?)
『はあ~、ビャクが切り出してくれてよかったよ~。あのまま帰れないかと思ったもん』
〘そうだな、奴らは結局エアを呼んだ要件も忘れていたしな……〙
〘忘れるとは……呆れてしまいましたわ〙
『あはは、ホントなんの用だったんだろうね~? さて遅くなったけど、帰ってアイス作ろ~!』
〘〘あいす!? はやくかえろ~!? いそいで~!〙〙
アイスと聞いて、途端に慌てだす2匹に思わず笑いながらも、若干脚の早まるビャク達に連れられようやく帰宅しました~。
「たじゃいま~! じゃっくしゃん、わりゅいちと、ちゅかまりまちたよ!」
「おかえり、ん? 何で知ってるんだ?」
「⦅お肉取りにギルドに行ってたんだけど、ギルマスの部屋で喋ってたら、そこにハリスさんが知らせに来たんだよね~。ハリスさんは丁度タイミング良く近くにいたらしいよ……⦆」
「それは……本当にタイミングが良いですね」
ギルドで聞いた事の報告をしていると、さすがにカイルさんも苦笑いになってた。
「ね~、でもこれで街が少しずつ変わるかな~」
「……変わる」
「⦅そうだといいな~♪ あ、それでね? 以前言われてて、ハンスさん達も気にしてたんだけど、もしかしたら領主様が孤児院に謝罪に行った時にわたしの話になって、挨拶を希望するかもって……⦆」
「あ~、ありそうだな。ま、その時はその時だろうが」
「領主様に悪意は無かったって事だしね~、エアちゃんに余計なことしてこなかったら、挨拶くらいならしても良いかもよ~?」
なんて話をしていると来客が……全員かすかに"もしかして……"という思いがあるんだろう。ちょっと顔が強張っている。
だって、考えてみてよ、この家に訪ねてくる人が何人いる!? いや、もしかしたらジョルジオさんかも!?
微かな期待に縋ってみたけど……やっぱりか~
「すみません、やはりエアさんに"お会いして挨拶を"と言ってきかないので。それと院長先生も……」
申し訳なさそうに訪ねてきたのはハンスさんでした。
「院長先生がどうしたの~?」
「今回エアさんの助けで全員が救われ、昨日新たに子供が増えても心配ない状態になった事で、今後の運営費を断ったのです。それを受け、自分が出来なかった事を行ったエアさんにお礼とお詫びをと……」
「やっぱり断ったか……院長先生ならそうするだろうと思っていたが、想像通りだな」
「ふぅ~、ちかたにゃいでしゅね~。わかりまちた、いきましゅ」
話を聞いたエアは同行する事にしたのだが、その言い方があまりにも面倒そうで大人びていたのでザック達は苦笑いするしかなかった。
「でみょ、ていにぇいにゃたいおう、できましぇんよ?」
「大丈夫ですよ。もしなんでしたら、ハッキリ"仕事が出来ない馬鹿"と言っても良いですよ?」
「しょりぇは、だめでちょ!?」
すっごく真面目な顔で何を言うかと思えば……これ冗談じゃなく、本気だわ……相手貴族それも領主ですよ!?
その道中はと言えば、突然生活が変わり温かい食事に部屋、暖かくきれいな服に温かいお風呂。
昨日までスラムにいたとは誰も信じない程の夢のような暮らし……子供達まで今日から始まる収穫作業を頑張ると張り切っていたと楽しそう。
話を聞いたドニ一家も一緒になって話が弾み過ぎて、ウッカリ行き過ぎ孤児院の子供達に呼び止められちゃった。
「エアちゃん!! おはよう、きょうからぼくたちもがんばるよ! なんでもいってね!」
孤児院に到着すると、昨日からここで暮らし始めた子供達が、朝から元気いっぱいに駆け寄ってきた♪
「おはよ~! むりはだめでしゅよ? にゃにかあっちゃりゃ、いいましゅね♪」
「うん。むりしたら、みんながはたらけないってきいたから、ぜったいむりしないよ!」
「にゃりゃいいでしゅ! わたちは、しぇんしぇ~に、ようがありましゅ。きをちゅけちぇにぇ~」
「「「は~い、いってきま~す!」」」
どうやら子供達が毎日張り切っていて、ドニ一家が到着したら即出発するのがお決まりらしいが、今日はわたしがいた事でほんの少しだけどお喋りしたので、ゆっくりスタートなんだって院長先生が楽しそうに教えてくれた。
「しぇんしぇ~、こりぇ、ばいちろっぷ。……はい、ど~じょ!」
みんなで味見した時の1本から、先生たちの味見用を準備。
「「甘い! でもバイの香りが良いですね~。とても美味しいです」」
「2本も頂いて良いんですか!? 子供達も喜ぶと思います。皆さんも、今日からよろしくお願いしますね?」
「「「「こちらこそ、よろしくお願いします」」」」
院長先生や皆に挨拶を済ませて孤児院を出るが、今わたしは1人と従魔の5匹だけ♪
このまま帰るのは……ちょっとね~、って事で冒険者ギルドですよ~! もしかしたらあの美女パーティーがいるかも!?
それにお肉も卸さないとね? まずはサッサと用事を終わらせよう。
「げいりゅしゃん、おはよ~ごじゃいましゅ♪」
「おお~! 今日も元気だな、エア。肉出来てるぞ、今回も肉以外買取で良いのか? ギガントベアの毛皮は高級品でな~、冬用マントの裏にしたら最高なんだぞ」
「まんちょ! んちょっ、こりぇ! か~いい~でちょ? いまよう、ふゆようでしゅ!」
インベントリから取り出したのは、この街に着いた時に来ていたビャクとお揃いのマントと、冬用だと出して見せたのはフードにモフモフが付いたギンとお揃いのマント。
〘〘いっしょ!!〙〙
〘おお、一緒になるのか!?〙
〘あら、ビャクさんとお揃いも良いですが、それも良いです。可愛らしい〙
ギン一家からは、嬉しそうな念話が……ギンがちょっと興奮してる♪
「良いの持ってるな~。それがあるなら問題なさそうだな」
「はい、だいじょうびゅ♪ ハッ!? 、だぶりゅほーんぶりゅないじょうは!?」
「え!? 内臓!? いるのか!? 内臓だぞ? 捨てずに置いてはあるが……」
「ちんしぇんでしゅか!?」
「ま~な~。本当にいるのか?」
ブンブンと、そりゃもう周りから見ていて首が取れて飛んでいくんじゃないかと心配になる程の勢いで必死に頷いていると
「わ、分かった、分かったから心配するな。その勢いだと首が飛んでっちまうぞ」
「首はちゃんとついているか? 凄い勢いだったな~」
慌てて止めるゲイルさんの声の後で、聞いた事のある声が?
「がいしゃん! おはよ~ごじゃいましゅ。くび? ありゅよ?」
ん? なんのことでしょう?
「ククク、心配になる勢いで首が動いてたからな」
あ……必死になり過ぎてた……え、えへ?
ゲイルさんから札と、お肉とダブルホーンブルの内臓を受け取って査定窓口に移動。人は多いが朝という事もあり査定窓口はガラ空き……スムーズに出来て助かるね~。
ソラとツキは人が多いので、それぞれギンとアサギちゃんの背中の上に乗っている。咥えてもらわないのか聞いたところ、"エアと一緒"なんだって~!! 言う事が可愛いでしょ~♡
「エアちゃん!? 久しぶりね♪ 変わらず可愛いわ~」
この声は! 美人さんの声だ!
「ひゃ~、りりーしゃん! きょうみょ、びじん~♪」
「私達もいるわよ~。ヤッホー♡ そう言えばエアちゃん、この間お店を開くって話してたけど……もしかして"エアの店"って名前?」
ラナさんとユリアナさんが、ひらひらと手を振りながら近寄ってきた。
「……あ、あってましゅ……」
「あ、あら!? どうしたの? 急に元気がなくなったわね」
「はんたいちたんでしゅ……にゃまえ……かえちぇほちいっちぇ……だめでちた」
「「「なんで?」」」
え!? なんでって……なにが?
「エアちゃんのお店でしょ? いい名前よ~」
ラナさんの言葉に、リリーさんとユリアナさんまで同感だ! と力強い頷き。
「ところで! 商品がとっても良い物ばかりだったわ! 野菜や果物、ポーションもだけど、何よりもシャンプーやリンスにトリートメントよ~!! あれはもう絶対に手放せないわ~♡」
「「私も買ったわ!?」」
「「やっぱりエアちゃんのお店なのね!」」
わたしよりも先にユリアナさんの発言に反応したのは、わたし達の周りにいた女性冒険者の皆さん。
「あ、俺も買ったぞ。嫁に頼まれて買って、俺も使ってる。あのシャンプー洗った感じがすげーいいな!」
「俺はHPクリーム買った、ほんのちょっとの傷に使いやすいよな。あとは飴だよ飴! すげ~うまいの!」
「え~!? 私まだ買ってない! 飴!? 買いに行かなくちゃ!」
更には男性までもが参加して、商品の第1回意見交換会が開催されました。
その後もしばらく盛り上がっていると……
「お~い、依頼探しは良いのか?」
ガイナスさんの言葉で本来の目的を思い出して、バタバタと依頼ボードに移動したり窓口へ移動したり……仲間意識でそれぞれ顔を見合ったりアイコンタクトをしながら散っていく。
「エアは良いのか? 査定窓口だろ?」
「ふあ!? しょうでちた! いきましゅ」
「おはよ~ごじゃいましゅ、こりぇ、おにぇがいちましゅ!」
「はい、おはようございます。エアさん、私もお店で買い物させていただきました。HPクリーム使ってます」
「えへへ~、ありがちょ~♪」
窓口のお姉さんもお客様だったんだね~、ありがたや~。
「あ、エアさん! おはようございます。ちょっと時間良いですか?」
声の主はサブマスのハンスさんで、今日も出来るイケオジ執事さんです。
案内されたのは、何度も来た事のあるギルマスの部屋。
「今日はザック達いないんだな、この後どこか行くのか?」
「じゃっくしゃんちゃちは、いえにいましゅ。わたちは、こじいんにいったかえりにゃんでしゅ。
しょうじゃ、きょうちょか……わいばーん、たびぇましぇんか?」
「ワイバーン! そうでしたね、食べさせていただけるんでした。今日ですか? 何もなかったはず……あ、馬鹿貴族の捕獲が今日だったような」
一瞬嬉しそうに興奮したハンスさんだったが、例の貴族の件を思い出した途端に表情が険しい物に。
「ああ~! そうだった! ん~、まぁ関係ないっちゃないんだが……もしかしたら領主様が孤児院への謝罪の時に声を掛けてくるかも……」
ブルックギルマスも思い出して嫌そうな顔になったけど、ワイバーンを優先したそうな感じ……
(コンコン!)
ノックの音にハンスさんが対応したと思ったら、入って来たのは商業ギルドサブマスのハリスさんで、室内にいたわたしを見つけるとニコニコとステキ笑顔で手を振ってくれるので、わたしも振り返しておく♪
「こちらにも連絡が来るでしょうが、先ほど確認しました。終りましたよ」
「確認って……どうやって?」
「近くにいたんですよ、丁度タイミングが良かったんですね~」
大人の大事な話だと思うから、邪魔しないように静かにしないとね! とは思うものの、耳に入って来るんだから仕方ない……けど、タイミングが良かったって、嘘っぽい? 気がしてチラリと様子を伺うとバッチリ視線が合って二~ッコリと微笑まれてしまいました! (なんかヒンヤリする!?)
『はあ~、ビャクが切り出してくれてよかったよ~。あのまま帰れないかと思ったもん』
〘そうだな、奴らは結局エアを呼んだ要件も忘れていたしな……〙
〘忘れるとは……呆れてしまいましたわ〙
『あはは、ホントなんの用だったんだろうね~? さて遅くなったけど、帰ってアイス作ろ~!』
〘〘あいす!? はやくかえろ~!? いそいで~!〙〙
アイスと聞いて、途端に慌てだす2匹に思わず笑いながらも、若干脚の早まるビャク達に連れられようやく帰宅しました~。
「たじゃいま~! じゃっくしゃん、わりゅいちと、ちゅかまりまちたよ!」
「おかえり、ん? 何で知ってるんだ?」
「⦅お肉取りにギルドに行ってたんだけど、ギルマスの部屋で喋ってたら、そこにハリスさんが知らせに来たんだよね~。ハリスさんは丁度タイミング良く近くにいたらしいよ……⦆」
「それは……本当にタイミングが良いですね」
ギルドで聞いた事の報告をしていると、さすがにカイルさんも苦笑いになってた。
「ね~、でもこれで街が少しずつ変わるかな~」
「……変わる」
「⦅そうだといいな~♪ あ、それでね? 以前言われてて、ハンスさん達も気にしてたんだけど、もしかしたら領主様が孤児院に謝罪に行った時にわたしの話になって、挨拶を希望するかもって……⦆」
「あ~、ありそうだな。ま、その時はその時だろうが」
「領主様に悪意は無かったって事だしね~、エアちゃんに余計なことしてこなかったら、挨拶くらいならしても良いかもよ~?」
なんて話をしていると来客が……全員かすかに"もしかして……"という思いがあるんだろう。ちょっと顔が強張っている。
だって、考えてみてよ、この家に訪ねてくる人が何人いる!? いや、もしかしたらジョルジオさんかも!?
微かな期待に縋ってみたけど……やっぱりか~
「すみません、やはりエアさんに"お会いして挨拶を"と言ってきかないので。それと院長先生も……」
申し訳なさそうに訪ねてきたのはハンスさんでした。
「院長先生がどうしたの~?」
「今回エアさんの助けで全員が救われ、昨日新たに子供が増えても心配ない状態になった事で、今後の運営費を断ったのです。それを受け、自分が出来なかった事を行ったエアさんにお礼とお詫びをと……」
「やっぱり断ったか……院長先生ならそうするだろうと思っていたが、想像通りだな」
「ふぅ~、ちかたにゃいでしゅね~。わかりまちた、いきましゅ」
話を聞いたエアは同行する事にしたのだが、その言い方があまりにも面倒そうで大人びていたのでザック達は苦笑いするしかなかった。
「でみょ、ていにぇいにゃたいおう、できましぇんよ?」
「大丈夫ですよ。もしなんでしたら、ハッキリ"仕事が出来ない馬鹿"と言っても良いですよ?」
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