まさか転生? 

花菱

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 神様会議はしばらく続き、暇なわたしはこの神様の空間にインベントリから食べ物が取り出す事が出来るかの検証を開始……お供えは今後もするけど、この空間で出せたら一緒に食べられるでしょ?

 でも本当の理由それは暇だからだYO!


 もしここにビャク達が居れば、あの魅惑のモフモフに時間なんて忘れて思いっきり溺れることが出来るんだけど、ここには来れないみたい……残念だ。

 なので思い付いたのは、この空間で何が出来るか? 以前ここで魔法を使った事がある、でもインベントリやマジックバッグを触ったりしなかったからな~。

 やった取り出せた! よしじゃあ~、神様にグランデシープの毛布あげよう! あのフワフワモフモフは最高だからね♪



 ようやく、ホンット~にようやくですが、神様会議が終了して、待ちに待った結果発表♪


「エアちゃんの滑舌は~……ちょっとずつ良くなるわ♪」

 ……え? ちょっとずつって、それ普通に成長じゃない? 会議の意味あった!?



 なんて事があり、ちょっぴり絶望を味わいながら、グランデシープの毛布とインベントリ内で出来立てのまま保管されていた料理を渡してから、また来ることを約束して今回はお別れ……。



 教会からの帰りに足を延ばしてダンさんのお店を見に行ってみると、冒険者の姿は無い様だがお客さんは沢山入っているのが見えた。
 また店を出てすぐにパンにかぶり付いている人の姿もあり所々から、美味しい美味しいと声が聞こえてくる。

 その声が宣伝になり新たにお客が入るという嬉しい現象が発生し、忙しそうだけどダンさんもヤナさん(ダンさん妻)も張り切って動いているのが見えたので一安心だ♪




 "エアの店"を見ると、ここ最近は大分落ち着いていたのに"エア食堂"が開店した事で、食事の後に買い物をする人が増えどちらも忙しそう。
 食堂で食べた物を家でも作りたいと思うからか、中には"これが使われていたわよ?""この野菜にあんな使い方が……"などの会話が聞こえた。

 食堂の料理人はマルセルさんとシモンさんの2人、配膳などのスタッフには住宅メンバーの中から4人ほど来ているらしいが、すべてはマルセルさん達にお任せしているので人手が足りなければ相談の声がかかるだろう。


 農場もお店も食堂も、パンの指導も手を離れた今……次は何をしようか?


 前世では休みとなれば癒しを求めてモフモフの旅(ペットショップ・猫カフェ1人ツアー)をしていたのに、今は常にモフモフにまみれていられるのでモフモフの旅は必要ないせいで、何をすればいいのか分からない。


 今したいこと、気になっている事……。この世界を見てみたいってことくらい?

 でも移動手段がね~。普段はビャク達に乗せてもらえてるけど、ザックさん達は疲れちゃう。だから馬車があると一番良いと思うの!

 寝床の心配はないけど移動中にゆったりと休めて、テントや別荘に行かなくてもちょっとお湯が沸かせられる設備があれば良いかな~?

 ダメだよ! 馬車を引いてくれるお馬さんがいないじゃん! お馬さんって買うのかしら?



「どうしたエア? 随分難しい顔してるけど、何か問題か?」

 お店を見て回った後、ビャクの背に乗っていて、気付いたら家に到着していた。ちょうど家から出てきたザックさんは、わたしの顔を見てなぜか心配そうに声を掛けてきた。

「じゃっくしゃん……しゅりゅこちょ、にゃくにゃりまちた……どうちよう?」

「そうか、農場の店も落ち着いて来たからな~。あれ? レンガは……ああ、領主様の返事待ちだったか?」

「はい……ひまでしゅ……⦅ザックさん、馬って買えるもの?⦆」

「ん? 馬か……何でだ?」

「⦅旅をするなら馬車での移動が良いでしょ? 馬車は作れても、馬はどうなのかな~って?⦆」

「旅!? 行くのか!? いつ! 馬車を作るって事は……完成して馬が手に入ったらか!?」

 なに!? 急に慌てだしちゃった!?



「⦅いやいやいやいや! 違うよ聞いて~!? もちろん落ち着いたら旅には行きたいけど、今じゃないかなって思ってるんだよ。
 でも、いつ何があるか分からないから、準備だけでもしておこうかと思って。そしたら急な事でも対応できるしね!⦆」

「なんだそうか~、驚いた」

 いや、こっちこそ驚いたよ!? 旅の話をした途端になぜかすぐ出発……みたいになったんだから!


「ザック~、何大きな声出してるの~?」

 ザックさんの慌てた大声が聞こえたんだろうね、アーロンさん達が出てきちゃったよ~。



「アーロンか、いや~エアが旅の話を始めたもんだから、早とちりしたんだ。あっはっは!」

 アッハッハッてあなた……そんな……軽いわ~。


「いずれ行きたい旅の準備か~。そっか~、馬車ね~。うん確かに必要だね~」

「準備は大事です。馬車だけですか?」

「⦅他には何が必要かな?⦆」

「エアには魔法があるから外で調理するのも問題はないし……他か?」

「……馬車に冷蔵庫……プリンの」

「「「「え? プリンの冷蔵庫?」」」」

「ゴホッ! ライル、なんですそれ、今話しているのは旅に必要な物の事ですよ?」

「……馬車内にあれば食べ放題!」

 ダメだ、ライルさんに聞いたのは間違っていたらしい……プリン中毒かな? 毎日1個必ずプリン食べてるのに、馬車の中でも食べたいんだね~。 



 結局、必要な物は馬車と馬だけだったけど、ビャク達がSSランクの強さを持つ上にビャクとギンは神獣。そうなるとなかなか落ち着いて動ける馬はいないらしい。

 詰んだか!? いやまて"なかなか"って事はいる事はいるんだ!

「⦅お高いの!?⦆」

「というより……売られてませんし、借りられません。どこかで捕まえて仲間にするしか方法がありません」

「⦅捕まえて仲間? じゃあ、どこにいるの? ビャク、ギン知ってる?⦆」

〔もしかしたら森にいるかもしれん〕

「⦅そっか! じゃあ、今日はゆっくりして明日森に行こうか!?⦆」

 森で見つかるかもしれないと聞き、俄然やる気になってきた♪




 楽しそうに従魔達と話し始めたエアを見て

『⦅良かった、元気が出たみたいだな⦆』 

『⦅どういうことですか?⦆』

『⦅帰って来た時のエアがな"する事がなくなった、どうしよう"って、悲しそうな顔で言うから、もう本気で驚いたんだよ⦆』

『⦅……悲しそう? なんで?⦆』

『⦅違うかもしれないが、自分ひとりがゆっくりするのを悪いように感じるとか?⦆』

『⦅え~? でも普段から人一倍働いてるよ~?⦆』

『⦅そうですね、3歳でありながら孤児院の事に奴隷たちの事、挙句にスラムの事の上この街の臭い問題も間違いなくエアさんの頑張りで改善されるでしょう。
 逆に働き過ぎていると思いますが……しかもこの全部がこの街に来てほんの数日での事なんですからね⦆』

『⦅色々あり過ぎて、感覚マヒしてるとか~?⦆』

『⦅孤児院にしても住宅メンバーにしても今は交代で休みの日を組んでいるので、正直エアさんよりゆっくりしていますよ?⦆』

『⦅……人に優しく自分に厳しい?⦆』

『⦅なんか、気分転換とか出来ればいいか?⦆』 
 



 その日の夜、お風呂にも入って2階のリビングでのんびり中にザックさん達から提案された。

「もりにでしゅか!?」

「そう、確か森の奥にエアが最初にいた場所があるんだったか? そこにな、冒険がてら行かないか?
 ビャクもギンもアサギだって強いから、移動も問題ないだろ?」

〔〔ぼくたちも、つよいよ!!〕〕

 ザックさんの説明の中に自分達の名前が無かった事で、ソラとツキがスキルの噛み付きや引っ掻き、それから咆哮(練習中)と威圧(練習中)を、もちろん手加減して披露し始めた♪



「ごめん悪かった。そうだな、ソラとツキも強いからエアの安全は保障されたな!」 

 うんうん、永久保存版のかわいさ最強だよ~♪ あとでザックさん達にも協力してもらって3Dにしよう!


「転移とかは使わずに、いずれ行く旅の準備と、俺達のレベルアップが目的だ」

「もしかしたら、その道中なんかで馬車を引けそうな魔物に会えるかもしれないね~」

「ふぉ~! しょうでしゅにぇ!⦅みんなで行くのも面白いよね♪
 ビャク、転移で行く話だったけど、この街に来たときみたいで面白そうだから、そうしよう! ギンちゃん達も良い?⦆」

〔うむ、問題ない。一瞬で行くより面白そうだ〕

〔〔わ~い、たのしみ~! エアのこと、まもるからね!?〕〕

 ソラとツキに頼もしいセリフを言われ、思わず顔が崩れてしまいながら大事な話をしていく。


「ただ、日数が掛かるので、その期間用のお店の在庫を準備する必要がありますが……」

「⦅今の所、全商品それぞれ600くらい作ってるよ? わたしが持ってるのだけで⦆」

 この家の作業部屋でも、別荘でも錬金釜があるから何時でも作れるからね~。暇な時に作っていたら知らぬ間に結構溜まってたんだよ。


「「「「600!?」」」」

「……頑張りすぎ」

「ホントにも~、でもそれだけあれば大丈夫だろ?」

「実際にどのくらい出ているのか聞いていませんが、明日聞いてみます。最悪1日の販売個数を決めても良いですし」

「う~ん。もしかしたら1日の数決めた方が良いかもね~。今後旅に出るとなったら、それこそお店困るよ~?」

「……旅の日数は分からない」

「まあ、別荘があるんだし、そこまで厳密にしなくてもいいんだけどな」

「ん? にゃんじぇ、びぇっしょ~?」

 お店の在庫と旅の話に、何で別荘が関係してくるの?

 
「なんでって……この家の合同キッチンの扉と別荘繋がってるだろ? 向こうのコッコ達もそれで世話してもらってるんだし」

「ふあ!? わしゅりぇちぇちゃ!⦅ザックさん賢い! さすがリーダーだね♪⦆」

「「「これで賢いって……良かったね~、リーダ~♪」」」

「エアの自分の事なのに忘れやすいの……時々心配になるな。
 おまえら……まあいい。いつ出発しても良いように徐々に準備しよう」



 エアが自室で眠りについた後、2階のリビングに大人たちが集まり、エアの頑張りとやさしさ、ちょこっとモフモフ中毒について話し合いが開催された。



 次の日からは、エアが留守にしたとき用の料理作りと、合間にお店の商品作り……と精を出していた。

「エア~? 無理して疲れが出そうなほど頑張ってるが、こんなに作ってどうするんだ?」

「⦅黒の森に言ってる間のみんなの食事の助けにと思って♪ わたし達は道中に作れるからね~⦆」

「でも、農場にしても今まで通りマルセル達が多めに作って補充するんだろ?」

「⦅でも食堂が始まってからは、みんな忙しくなったからね、ちょっとでもあると楽かな~って⦆」

「そりゃ~ね、エアちゃんの料理は格別に美味しいけどさ~」

 なんだかみんなが心配そうに"そんなに色々沢山作らなくても"って言ってくるけど、あれば役に立つかもだもんね?



 あ、みんなに何か必要な物がないか聞いてみなきゃ!
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