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第14話
滅びの歴史
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「琥珀姫、薬草を摘んできてくれませんか――それから布を裂いて、包帯を」
だらだら血を流す腕を押さえながらエルクウァルが訴えたので、琥珀は我に返り、慌てて言われたものを探しに行った。アルティオがゆっくりとついてきて、ただうろうろと歩きまわっている琥珀に、必要な草を教えてくれる。
戻ってくるまでのあいだに、エルクウァルはディランにことの成り行きを話していたらしい――ディランの剣で刺されたせいで一時的にメイヴの魔法が弱まり、琥珀の呪いが解けたことと、メイヴが復讐としてディランを人形に還したことを。
「アルティオの知恵で、剣の残りの魔法をあなたに注ぐことで、とりあえず首がつながったんですよ」
「剣を投げたあとのことは真っ暗闇だ……おまえのその腕は?」
「あなたに斬られてしまいました。覚えていないでしょうけれど」
ディランは目を見張り、首をぶんぶん縦に振ってから、申しわけなさそうな顔をした。
「マジかよ……あんとき、自分の体がまったく自由にならなかった……すまない」
「別に」
エルクウァルはつんと顔を背けた。琥珀はなにか言おうとしたが、紫の瞳でちらりと睨まれたので口をつぐむ。
(ディランを助けるために血をあげたんだって……言いたくないのかな。エルクウァル、照れているの?)
「琥珀姫、貧血になる前に血止めをしてくれませんかね」
憮然としながら腕を突きだされたので、琥珀は慌ててエルクウァルの手当てをはじめた。
「薬草はよく揉んでから傷にあてるのよ。ディラン、あなたにも手当てをしてあげましょう」
アルティオが薬草を手にして近づいてきたので、ディランは驚いたように身を引いた。
「いや、おれは……あんたはだれだ」
「まあ。そういえば、あなたは精霊を見たことがないのだったわね。私は熊の守り女神、アルティオです」
ゆったりと首を傾げて挨拶したアルティオは、腰が引けているディランの衣服をつかむと、力づくで……というより、彼女も熊並みの力持ちなのかもしれない……胸元をあらわにさせた。
優雅でありつつ骨のしっかりした手のなかですり潰した薬草を、剣のあとを埋めるように擦りこんでいく。ディランは顔を引きつらせていた。
「自然のあらゆるものに精霊は宿り、誠実に接するものにはそれが、人であろうと動物であろうと力を貸してくれるのですよ。あなたはそのことを知らないのだわね」
「……なんで、おれは、精霊が見えないはずだ。これまで、一度も姿を見せなかったのに……なんで、いきなり」
「精霊は、ダナーによる力ずくの支配に嫌気がさしています。そんなものたちがメイヴのしもべに好んで近づくわけも、力を貸すはずもないの――いまのあなたは以前よりはメイヴの匂いが薄れています。けれどまだ、ほとんどの精霊はあなたを恐れて近づかないわ」
「なぜ……恐れる……の、ですか。おれは魔法を使えない。あなたがたやエルクウァルのほうがよほど強いはずだ」
アルティオは人間と変わらない姿をしているのだけれど、ディランははじめて会う精霊に恐れを抱いたのだろうか。声が震え、言葉づかいも変わっている。アルティオは草の汁で緑に染まった指で、ディランの傷口をなぞった。
その指のあいだから、緑の光がぽろぽろと零れて、草のあいだに消えていく。
琥珀にはそれが小さな人のかたちに見えた――薬草に宿る精霊だ。
(まさか、ディランを拒んで……逃げたの?)
アルティオが悲しそうに目を伏せた。
「……大昔、千年以上前、このエリウは私たちの国でした。私たちは自然の掟に従い、精霊たちの力を借りて慎ましく暮らしていたの――精霊使いの一族だったのよ」
包帯を巻き終えた琥珀は、そのままエルクウァルの傍らに座りこんでアルティオの言葉に耳を傾ける。
アルティオたちは長いあいだ……それこそ千年ものあいだ平和に暮らしていた。しかし、ある寒い年に海のほうから霧とともにやってきた一族――彼らはダナー神族と名乗った――が、それまでに見たこともない術を使って岩を削り、砦を建て、先住の民の土地を侵しはじめたのだ。
「彼らは私たちを完全に見下していた。彼らの魔術は自然の法則をねじまげて力を産みだすものだったから……聖なる森が切り開かれていくのを見た私たちの王バロールは、とうとう土地と精霊を守るために立ちあがったわ。武器をとってダナーの砦を攻めたのよ」
アルティオも、それまで狩りにしか使わなかった弓を取り、戦いに加わった。精霊たちさえも一丸となってダナーに抵抗したという。
「私たちの王は不死であり、強い精霊使いだった。精霊を使えないものも優秀な狩人だった。負けるはずがないとみんな信じていたわ――けれどいよいよ本拠地に迫ったとき、私たちの前に立ちはだかったのは……不死の、人形の戦士たちだった」
琥珀は息を呑む。思わずディランを見つめてしまい、彼も琥珀を見返したので、しばらくそのまま見つめあった。
泥でできた人形。死を恐れず、痛みも感じず、感情もなく。倒しても倒しても蘇ってきて、眠ることもなく戦い続ける。
アルティオの語り口は穏やかだが、伏せた瞳の裏に隠しきれない恐怖が宿っていた。
(千年以上前の話だもの)
琥珀は自分に言い聞かせるが、アルティオの脅えが伝わってくるので、拳を握りしめていなければ震えてしまいそうだった。
「なかでもひときわ強い人形の戦士がいて、そのものは私たちの王と互角に戦ったわ。一族が次々に倒れ、ダナーの捕虜となっていくなか――王と戦士は戦い続けたの。土地が荒れ、森が枯れ、空が赤く染まり……このままではエリウが滅びてしまうとみて、王とメイヴは決戦を行う協定を結びました」
「メイヴって、まさかダナーの女王は千年も生きているんですか」
琥珀が思わず訊ねると、アルティオは微笑み、
「もっと長いかもしれないわ。あの一族は時間の流れと関わりないところで生きているの……私の時も、ダナーへの忠誠を誓ったときから、このまま」
つまり、アルティオたち一族は……負けたのか。
「タラの丘での決戦に向けて、メイヴは配下に加わった精霊使いたち――つまり私たち――に協力させて、一本の剣を作りだしたわ。不死の王を滅ぼすことのできる剣を……人形の戦士はそれを使い、とうとう私たちの王を倒してしまった」
「それからが長い、ダナーの支配のはじまりっていうわけですか」
包帯を巻いた手を押さえながら、エルクウァルがうそぶいたが、アルティオは首を横に揺らす。
「ダナーの魔術は自然の理を歪めるものだけれど、もととなる自然がなければそれはなにも産みださない。彼らが繁栄を謳歌できたのは百年ほどで、やがて土地は力を失い、魔法は消えかけたわ。移住には危険が伴う。彼らが思いついたのは、ちょうどその頃南の土地に流れついた新しい一族を利用することだったのよ」
大陸で土地を失い、新天地を求めて現れた一族は勤勉であり、働く熱意に溢れていた。ダナーは彼らと友好を結び、ドルイドを送りこんで土地の神々や精霊を敬うことを教えた。
そうして信仰を受けた精霊は蘇り、耕すことで取り戻された自然の力はダナーの魔法のもととなる。
勤勉な一族がダナーに逆らわないよう、王は必ずメイヴと結婚するという掟を作った。
(必ず……って、いうことは)
「ちょっと待って。あの……コルマク様のお母様はだれなの」
琥珀が抱いた当然の疑問に、ディランが短く答える。
「メイヴ」
「うえっ」
まさか、エリウの代々の王は母親と結婚することを強いられてきたのか。気持ち悪くて口を押さえる琥珀に、エルクウァルが苦笑しながら言った。
「違うはずですよ。表向きの母親はメイヴですが、前の王も別に妃を持っていたはずだ」
「いくら素直な一族とはいえ、何百年も同じ結婚をくり返すことには意味がないと気づくのよ。いまのエリウの民も独自の繁栄をはじめ、王はメイヴとの結婚は形式だけで、好き勝手に妻を持つようになった――コルマクも、同じダナーの一族でもコリドウェンに恋したわ」
「……メイヴの復讐で、熊に変えられたんだろ」
「そう。しかもお腹にエルクウァルがいるときに。熊に変えるという力は私から引きだされたものだから、私は責任を感じてエルクウァルの出産から立ち会いました――一つ、いいことがあったのよ。メイヴは子供が生きると思っていなかったから、しばらくは存在を忘れてしまっていた。私はエルクウァルにダナーの魔術には触れさせず、大昔の精霊使いの技を伝えることにしたのよ……ダナーの力は限界に来ている、それを感じていたから」
琥珀は息を呑んだ。エルクウァルが小さく息をつき、
「そうかもしれませんね。少なくともメイヴの美貌には陰りが出ていた」
陰りどころか、鬼のような恐ろしい形相だったのだが。アルティオが微笑む。
「メイヴも危機感を持ったからこそ、コルマクとのあいだに息子を作ったのでしょう」
ディランは拳を胸元の傷に押し当てた。
「息子……は、おれのことじゃねえな」
「ええ。せっかく産んだ息子をコルマクに預けなかったのはなぜなのか……ずっと、コルマクへの仕打ちのつもりだと思っていましたよ。けれど、あなたに剣が抜けるかどうか試させ、そのうえドルイドたちを海の向こうへ派遣して琥珀を見つけだしてきたことで、ようやくメイヴの目的が見えてきたようだわ。あの女王は、地下に封印している私たちの王――バロールを蘇らせ、偉大な精霊使いの力を支配下に置くことで、改めてこの地の支配を確固たるものするつもりなのね」
「そんなことができるのかしら」
「できないのなら……再び封印すればいいとでも思っているのでしょう。道具は揃っていますからね」
道具、つまり、剣と、人形の戦士……ディランのこと。
だらだら血を流す腕を押さえながらエルクウァルが訴えたので、琥珀は我に返り、慌てて言われたものを探しに行った。アルティオがゆっくりとついてきて、ただうろうろと歩きまわっている琥珀に、必要な草を教えてくれる。
戻ってくるまでのあいだに、エルクウァルはディランにことの成り行きを話していたらしい――ディランの剣で刺されたせいで一時的にメイヴの魔法が弱まり、琥珀の呪いが解けたことと、メイヴが復讐としてディランを人形に還したことを。
「アルティオの知恵で、剣の残りの魔法をあなたに注ぐことで、とりあえず首がつながったんですよ」
「剣を投げたあとのことは真っ暗闇だ……おまえのその腕は?」
「あなたに斬られてしまいました。覚えていないでしょうけれど」
ディランは目を見張り、首をぶんぶん縦に振ってから、申しわけなさそうな顔をした。
「マジかよ……あんとき、自分の体がまったく自由にならなかった……すまない」
「別に」
エルクウァルはつんと顔を背けた。琥珀はなにか言おうとしたが、紫の瞳でちらりと睨まれたので口をつぐむ。
(ディランを助けるために血をあげたんだって……言いたくないのかな。エルクウァル、照れているの?)
「琥珀姫、貧血になる前に血止めをしてくれませんかね」
憮然としながら腕を突きだされたので、琥珀は慌ててエルクウァルの手当てをはじめた。
「薬草はよく揉んでから傷にあてるのよ。ディラン、あなたにも手当てをしてあげましょう」
アルティオが薬草を手にして近づいてきたので、ディランは驚いたように身を引いた。
「いや、おれは……あんたはだれだ」
「まあ。そういえば、あなたは精霊を見たことがないのだったわね。私は熊の守り女神、アルティオです」
ゆったりと首を傾げて挨拶したアルティオは、腰が引けているディランの衣服をつかむと、力づくで……というより、彼女も熊並みの力持ちなのかもしれない……胸元をあらわにさせた。
優雅でありつつ骨のしっかりした手のなかですり潰した薬草を、剣のあとを埋めるように擦りこんでいく。ディランは顔を引きつらせていた。
「自然のあらゆるものに精霊は宿り、誠実に接するものにはそれが、人であろうと動物であろうと力を貸してくれるのですよ。あなたはそのことを知らないのだわね」
「……なんで、おれは、精霊が見えないはずだ。これまで、一度も姿を見せなかったのに……なんで、いきなり」
「精霊は、ダナーによる力ずくの支配に嫌気がさしています。そんなものたちがメイヴのしもべに好んで近づくわけも、力を貸すはずもないの――いまのあなたは以前よりはメイヴの匂いが薄れています。けれどまだ、ほとんどの精霊はあなたを恐れて近づかないわ」
「なぜ……恐れる……の、ですか。おれは魔法を使えない。あなたがたやエルクウァルのほうがよほど強いはずだ」
アルティオは人間と変わらない姿をしているのだけれど、ディランははじめて会う精霊に恐れを抱いたのだろうか。声が震え、言葉づかいも変わっている。アルティオは草の汁で緑に染まった指で、ディランの傷口をなぞった。
その指のあいだから、緑の光がぽろぽろと零れて、草のあいだに消えていく。
琥珀にはそれが小さな人のかたちに見えた――薬草に宿る精霊だ。
(まさか、ディランを拒んで……逃げたの?)
アルティオが悲しそうに目を伏せた。
「……大昔、千年以上前、このエリウは私たちの国でした。私たちは自然の掟に従い、精霊たちの力を借りて慎ましく暮らしていたの――精霊使いの一族だったのよ」
包帯を巻き終えた琥珀は、そのままエルクウァルの傍らに座りこんでアルティオの言葉に耳を傾ける。
アルティオたちは長いあいだ……それこそ千年ものあいだ平和に暮らしていた。しかし、ある寒い年に海のほうから霧とともにやってきた一族――彼らはダナー神族と名乗った――が、それまでに見たこともない術を使って岩を削り、砦を建て、先住の民の土地を侵しはじめたのだ。
「彼らは私たちを完全に見下していた。彼らの魔術は自然の法則をねじまげて力を産みだすものだったから……聖なる森が切り開かれていくのを見た私たちの王バロールは、とうとう土地と精霊を守るために立ちあがったわ。武器をとってダナーの砦を攻めたのよ」
アルティオも、それまで狩りにしか使わなかった弓を取り、戦いに加わった。精霊たちさえも一丸となってダナーに抵抗したという。
「私たちの王は不死であり、強い精霊使いだった。精霊を使えないものも優秀な狩人だった。負けるはずがないとみんな信じていたわ――けれどいよいよ本拠地に迫ったとき、私たちの前に立ちはだかったのは……不死の、人形の戦士たちだった」
琥珀は息を呑む。思わずディランを見つめてしまい、彼も琥珀を見返したので、しばらくそのまま見つめあった。
泥でできた人形。死を恐れず、痛みも感じず、感情もなく。倒しても倒しても蘇ってきて、眠ることもなく戦い続ける。
アルティオの語り口は穏やかだが、伏せた瞳の裏に隠しきれない恐怖が宿っていた。
(千年以上前の話だもの)
琥珀は自分に言い聞かせるが、アルティオの脅えが伝わってくるので、拳を握りしめていなければ震えてしまいそうだった。
「なかでもひときわ強い人形の戦士がいて、そのものは私たちの王と互角に戦ったわ。一族が次々に倒れ、ダナーの捕虜となっていくなか――王と戦士は戦い続けたの。土地が荒れ、森が枯れ、空が赤く染まり……このままではエリウが滅びてしまうとみて、王とメイヴは決戦を行う協定を結びました」
「メイヴって、まさかダナーの女王は千年も生きているんですか」
琥珀が思わず訊ねると、アルティオは微笑み、
「もっと長いかもしれないわ。あの一族は時間の流れと関わりないところで生きているの……私の時も、ダナーへの忠誠を誓ったときから、このまま」
つまり、アルティオたち一族は……負けたのか。
「タラの丘での決戦に向けて、メイヴは配下に加わった精霊使いたち――つまり私たち――に協力させて、一本の剣を作りだしたわ。不死の王を滅ぼすことのできる剣を……人形の戦士はそれを使い、とうとう私たちの王を倒してしまった」
「それからが長い、ダナーの支配のはじまりっていうわけですか」
包帯を巻いた手を押さえながら、エルクウァルがうそぶいたが、アルティオは首を横に揺らす。
「ダナーの魔術は自然の理を歪めるものだけれど、もととなる自然がなければそれはなにも産みださない。彼らが繁栄を謳歌できたのは百年ほどで、やがて土地は力を失い、魔法は消えかけたわ。移住には危険が伴う。彼らが思いついたのは、ちょうどその頃南の土地に流れついた新しい一族を利用することだったのよ」
大陸で土地を失い、新天地を求めて現れた一族は勤勉であり、働く熱意に溢れていた。ダナーは彼らと友好を結び、ドルイドを送りこんで土地の神々や精霊を敬うことを教えた。
そうして信仰を受けた精霊は蘇り、耕すことで取り戻された自然の力はダナーの魔法のもととなる。
勤勉な一族がダナーに逆らわないよう、王は必ずメイヴと結婚するという掟を作った。
(必ず……って、いうことは)
「ちょっと待って。あの……コルマク様のお母様はだれなの」
琥珀が抱いた当然の疑問に、ディランが短く答える。
「メイヴ」
「うえっ」
まさか、エリウの代々の王は母親と結婚することを強いられてきたのか。気持ち悪くて口を押さえる琥珀に、エルクウァルが苦笑しながら言った。
「違うはずですよ。表向きの母親はメイヴですが、前の王も別に妃を持っていたはずだ」
「いくら素直な一族とはいえ、何百年も同じ結婚をくり返すことには意味がないと気づくのよ。いまのエリウの民も独自の繁栄をはじめ、王はメイヴとの結婚は形式だけで、好き勝手に妻を持つようになった――コルマクも、同じダナーの一族でもコリドウェンに恋したわ」
「……メイヴの復讐で、熊に変えられたんだろ」
「そう。しかもお腹にエルクウァルがいるときに。熊に変えるという力は私から引きだされたものだから、私は責任を感じてエルクウァルの出産から立ち会いました――一つ、いいことがあったのよ。メイヴは子供が生きると思っていなかったから、しばらくは存在を忘れてしまっていた。私はエルクウァルにダナーの魔術には触れさせず、大昔の精霊使いの技を伝えることにしたのよ……ダナーの力は限界に来ている、それを感じていたから」
琥珀は息を呑んだ。エルクウァルが小さく息をつき、
「そうかもしれませんね。少なくともメイヴの美貌には陰りが出ていた」
陰りどころか、鬼のような恐ろしい形相だったのだが。アルティオが微笑む。
「メイヴも危機感を持ったからこそ、コルマクとのあいだに息子を作ったのでしょう」
ディランは拳を胸元の傷に押し当てた。
「息子……は、おれのことじゃねえな」
「ええ。せっかく産んだ息子をコルマクに預けなかったのはなぜなのか……ずっと、コルマクへの仕打ちのつもりだと思っていましたよ。けれど、あなたに剣が抜けるかどうか試させ、そのうえドルイドたちを海の向こうへ派遣して琥珀を見つけだしてきたことで、ようやくメイヴの目的が見えてきたようだわ。あの女王は、地下に封印している私たちの王――バロールを蘇らせ、偉大な精霊使いの力を支配下に置くことで、改めてこの地の支配を確固たるものするつもりなのね」
「そんなことができるのかしら」
「できないのなら……再び封印すればいいとでも思っているのでしょう。道具は揃っていますからね」
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