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第15話
1・本物の王子と人形の王子
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アルティオは、たとえメイヴの力が弱まっているにせよ、ディランとメイヴ、どちらにも力を貸すことはできないと言った。彼女の精霊を扱う力もメイヴに劣らず弱まっているので、いまは身の回りの生きものを守るだけで精いっぱいなのだそうだ。
琥珀はアルティオに感謝を伝え、握手をして別れた。アルティオはこれからエルクウァルの館に戻り、コリドウェンの様子を見てきてくれるという。
熊のラブが立てなおしてくれた戦車で丘を越えると、シアヴィルの神殿は正面に見えた。
一度、無我夢中で訪れたときはゆっくり外観を愛でる暇もなかったが、離れたところから落ちついて眺めると、丘と神殿が一体となって荘厳でさえある。
地下に封じられた古の王の墓所として、千年のあいだ守られてきた丘。
その周り一帯を囲むように……陣営が張られていた。翻る旗印は赤の地に枝の模様が染め抜かれている。
「あれはコルマク王直属の戦士団です。ドルイドたちも合流していますね」
エルクウァルは傷だらけの凸凹な杖を突きだして、白いローブをまとう一団を指した。包帯を巻いた腕はいまのところ動かすのに支障はないようだが、頬がやや赤い。
ドルイドたちは神殿を囲むように円陣を組んで、中央部に向かって祈りを捧げている。犠牲の牛が祭壇のそばで鼻息を荒くしていた。
「エルクウァル、熱が出ているのじゃないかしら――無理をしないで」
「そんなことを言って、僕を剣から遠ざけようとしても無駄ですよ。古代魔法の正体は、古代の偉大な精霊使いだった……結構。どの程度の力の持ち主かこの目で確かめてやるつもりなんですから」
「なぜ、神殿を囲んでいるんだ?」
ディランは黒い眉のあいだに皺を寄せ、腕組みして呟く。腰に剣を吊るし、革鎧を身にまとった姿は、どこからどう見ても若く凛々しい人間の戦士だ。
「コルマク様はドルイドから、わたしたちが神殿に向かうことを聞いたのじゃないかしら。大事な儀式を見守るために人を集めて――」
「待て」
ディランが腕を伸ばした。ちゃんと話を聞いてほしいと琥珀はむくれたが、ディランの視線を追って、四隅に旗の立ったもっとも立派な戦車を見たとき、心臓が竦む。
――エルクウァルはここに現れるというのぢゃな? 琥珀姫を伴って?
――ええ、父上。あの魔法使いは琥珀を盾にとり、剣を手に入れようとやってくるはずです。
コルマクのそばに立ち、誠実な様子で頷きかける若者。黒い髪と、すらりとした肢体。品のよい立ち姿……あれは。
(ディラン……のわけがないわ。そっくりだけど違う、あれは)
「アリルだわ。どうしてあんなところに」
「アリル? どっかで聞いた――ああ、あれがおれの、本物か。なんで父上……王のそばに現れたんだ?」
ディランは動揺を表に出さないが、言葉の一つ一つが琥珀の胸に煉瓦のように放りこまれて重たくなる。ほんの少し前まで、あの位置は間違いなくディランのものだったのに。
「考えるまでもなく、メイヴが送りこんだんですね。我々が現れるのを見越した上で陣を張っているなら、あるいはコルマクを人質にしてでも琥珀を取り戻すつもりでしょう」
「ひっでえ根性だな。もちろん、ドルイドどももぐるか……だいたい、正面切って父上を説得にかかったところで、意味はねえんだよな。本物の息子はあっちで、おれは人形に過ぎねえんだから……うが」
思いっきり頬をつねってやったので、ディランは顔をしかめて琥珀を見おろした。
「なにしやがる、考えごとの邪魔すんじゃねえ!」
「ただの考えごとだったの? ほんとに? 余計なことを考えなかった?」
人形に過ぎない、なんて余計なことを言いはじめたらきりがないのだ。琥珀が睨みつけてやると、ディランは渋い表情のまま、
「考えてねえよ」
「あら、そう」
「考えたとしたって……もしも、おれが剣を抜く意味がなくなっていたとしたって、さっさと結果を出さない限りおまえがメイヴに狙われるんだ。見て見ぬふりしたりはできねえよ。おれは――おれにはもう、琥珀を守ることにしか存在価値がねえんだ」
それもなんだか違うような気がする。守ると言い、気遣ってくれるのは嬉しいけれど、ディランの言い草は微妙だ……頬をつまんでいる指にもう一度力を込めるべきかどうか迷っていたところ、ディランがさっとその手を取って、唇で触れた。
(な)
真っ赤になった琥珀に、ディランはにやりと笑いかけ、
「愛人っつー存在価値もあったかな? あんたさえその気なら、楽しませてやるぜ」
「馬鹿なこと言わないで!」
琥珀は慌てて手を引く。大声を出してしまった――と、気づいたときにはもう、神殿の周りはざわめき、コルマクをはじめとした戦士団が琥珀たちを指さしていた。
――あそこに琥珀姫がいるぞ! 魔法使いも一緒だ!
――ともにいるのはディラン王子の贋物だ! 戦うことを恐れるな!
「無駄死には避けるべきだな」
ディランはぼそりと呟き、天に向かって不思議な歌をうなった。その音は前にも聞いたことがある――が、幾重にも連なる丘の向こうから、巨大なハゲワシが羽根を揺らめかせながら現れたときはさすがに、悲鳴をあげそうになった。
「ディラン……前にも思ったんだけど、どうしてあなた、ああいう鳥の扱いがうまいのっ?」
「精霊は見えねえけど、動物は餌を与えりゃ懐くからな。たいていのやつが怖がる生きもののほうが慣らしがいがあるし」
鉤爪が迫ってくる。エルクウァルは面白くなさそうに杖をかざし、
「僕はここで援護します。この腕では琥珀を抱いて飛べませんからね」
琥珀もエルクウァルと残りたいのはやまやまだったが、婚約者への義理立てというものがある。岩に吊るされたときの記憶が蘇ってきて、目をつむり、体を強張らせていると、
「じっとしていろよ、暴れると落ちるからな」
「きゃ――あああ―――!」
降下してきたハゲワシが片足ずつにディランと琥珀をつかまえ、そのまま上昇した。丘を滑るように下り、コルマクの軍勢が目の前に迫ってくる。
――落とせ! 翼を狙え!
戦士の投げた槍が琥珀の爪先を掠めるが、そのとき、真後ろから強く吹いてきた風が、投げつけられた槍をばたばたと落とし、ハゲワシの翼を後押しした。
空気にきらきらときらめきが見える。きっとここにも精霊がいるはず。琥珀は目を細め、「ありがとう」と小さく呟いてみた。
「琥珀!」
ディランが琥珀の腕をつかむ。神殿の盛りあがった屋根の真上で、ハゲワシは琥珀たちを放した。突風のせいで一瞬、琥珀たちを見失っていたコルマクたちもすぐに気づいて、神殿に押し寄せてこようとするが、ディランは慌てる様子もなく琥珀の手をつかんだまま、屋根のてっぺんに降り立った。
「ここだ」
屋根を覆う芝の一部分に小さな穴が開いている。手で押し広げると、穴の幅は人が通れるくらいに広がった。ディランは琥珀を見あげ、
「おれが先に降りたら、すぐにあとに続け。受けとめてやるから」
「受け……大丈夫なの?」
「落としたら自分の重さを恨め」
まったく失礼なことを言って、ディランはさっさと穴に滑りこんでしまった。奥は暗く、かなり深そうに見える。ためらっていると、「おい!」と怒ったような声が響いてきた。
(優しくないんだから……ほんとにもう!)
いやしくも十四歳の乙女の姫君で婚約者なのだから、もうちょっと扱いに気を使ってくれてもいいと思う。が、屋根の上で文句を言っても、聞いてくれる相手がいない。琥珀は息を詰めて穴に飛びこんだ。一瞬なにも体を支えるものがなくなり、頼りなさに不安を感じたのち、気がつくとディランの両腕におさまっている。
ここまで、近く抱きしめられたことはなかったのではないだろうか。前よりも紫がかった黒い瞳で琥珀を見つめたディランは、その瞳を細めて優しく微笑み、
「重いくせに肉づきは悪ぃんだな」
琥珀はアルティオに感謝を伝え、握手をして別れた。アルティオはこれからエルクウァルの館に戻り、コリドウェンの様子を見てきてくれるという。
熊のラブが立てなおしてくれた戦車で丘を越えると、シアヴィルの神殿は正面に見えた。
一度、無我夢中で訪れたときはゆっくり外観を愛でる暇もなかったが、離れたところから落ちついて眺めると、丘と神殿が一体となって荘厳でさえある。
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その周り一帯を囲むように……陣営が張られていた。翻る旗印は赤の地に枝の模様が染め抜かれている。
「あれはコルマク王直属の戦士団です。ドルイドたちも合流していますね」
エルクウァルは傷だらけの凸凹な杖を突きだして、白いローブをまとう一団を指した。包帯を巻いた腕はいまのところ動かすのに支障はないようだが、頬がやや赤い。
ドルイドたちは神殿を囲むように円陣を組んで、中央部に向かって祈りを捧げている。犠牲の牛が祭壇のそばで鼻息を荒くしていた。
「エルクウァル、熱が出ているのじゃないかしら――無理をしないで」
「そんなことを言って、僕を剣から遠ざけようとしても無駄ですよ。古代魔法の正体は、古代の偉大な精霊使いだった……結構。どの程度の力の持ち主かこの目で確かめてやるつもりなんですから」
「なぜ、神殿を囲んでいるんだ?」
ディランは黒い眉のあいだに皺を寄せ、腕組みして呟く。腰に剣を吊るし、革鎧を身にまとった姿は、どこからどう見ても若く凛々しい人間の戦士だ。
「コルマク様はドルイドから、わたしたちが神殿に向かうことを聞いたのじゃないかしら。大事な儀式を見守るために人を集めて――」
「待て」
ディランが腕を伸ばした。ちゃんと話を聞いてほしいと琥珀はむくれたが、ディランの視線を追って、四隅に旗の立ったもっとも立派な戦車を見たとき、心臓が竦む。
――エルクウァルはここに現れるというのぢゃな? 琥珀姫を伴って?
――ええ、父上。あの魔法使いは琥珀を盾にとり、剣を手に入れようとやってくるはずです。
コルマクのそばに立ち、誠実な様子で頷きかける若者。黒い髪と、すらりとした肢体。品のよい立ち姿……あれは。
(ディラン……のわけがないわ。そっくりだけど違う、あれは)
「アリルだわ。どうしてあんなところに」
「アリル? どっかで聞いた――ああ、あれがおれの、本物か。なんで父上……王のそばに現れたんだ?」
ディランは動揺を表に出さないが、言葉の一つ一つが琥珀の胸に煉瓦のように放りこまれて重たくなる。ほんの少し前まで、あの位置は間違いなくディランのものだったのに。
「考えるまでもなく、メイヴが送りこんだんですね。我々が現れるのを見越した上で陣を張っているなら、あるいはコルマクを人質にしてでも琥珀を取り戻すつもりでしょう」
「ひっでえ根性だな。もちろん、ドルイドどももぐるか……だいたい、正面切って父上を説得にかかったところで、意味はねえんだよな。本物の息子はあっちで、おれは人形に過ぎねえんだから……うが」
思いっきり頬をつねってやったので、ディランは顔をしかめて琥珀を見おろした。
「なにしやがる、考えごとの邪魔すんじゃねえ!」
「ただの考えごとだったの? ほんとに? 余計なことを考えなかった?」
人形に過ぎない、なんて余計なことを言いはじめたらきりがないのだ。琥珀が睨みつけてやると、ディランは渋い表情のまま、
「考えてねえよ」
「あら、そう」
「考えたとしたって……もしも、おれが剣を抜く意味がなくなっていたとしたって、さっさと結果を出さない限りおまえがメイヴに狙われるんだ。見て見ぬふりしたりはできねえよ。おれは――おれにはもう、琥珀を守ることにしか存在価値がねえんだ」
それもなんだか違うような気がする。守ると言い、気遣ってくれるのは嬉しいけれど、ディランの言い草は微妙だ……頬をつまんでいる指にもう一度力を込めるべきかどうか迷っていたところ、ディランがさっとその手を取って、唇で触れた。
(な)
真っ赤になった琥珀に、ディランはにやりと笑いかけ、
「愛人っつー存在価値もあったかな? あんたさえその気なら、楽しませてやるぜ」
「馬鹿なこと言わないで!」
琥珀は慌てて手を引く。大声を出してしまった――と、気づいたときにはもう、神殿の周りはざわめき、コルマクをはじめとした戦士団が琥珀たちを指さしていた。
――あそこに琥珀姫がいるぞ! 魔法使いも一緒だ!
――ともにいるのはディラン王子の贋物だ! 戦うことを恐れるな!
「無駄死には避けるべきだな」
ディランはぼそりと呟き、天に向かって不思議な歌をうなった。その音は前にも聞いたことがある――が、幾重にも連なる丘の向こうから、巨大なハゲワシが羽根を揺らめかせながら現れたときはさすがに、悲鳴をあげそうになった。
「ディラン……前にも思ったんだけど、どうしてあなた、ああいう鳥の扱いがうまいのっ?」
「精霊は見えねえけど、動物は餌を与えりゃ懐くからな。たいていのやつが怖がる生きもののほうが慣らしがいがあるし」
鉤爪が迫ってくる。エルクウァルは面白くなさそうに杖をかざし、
「僕はここで援護します。この腕では琥珀を抱いて飛べませんからね」
琥珀もエルクウァルと残りたいのはやまやまだったが、婚約者への義理立てというものがある。岩に吊るされたときの記憶が蘇ってきて、目をつむり、体を強張らせていると、
「じっとしていろよ、暴れると落ちるからな」
「きゃ――あああ―――!」
降下してきたハゲワシが片足ずつにディランと琥珀をつかまえ、そのまま上昇した。丘を滑るように下り、コルマクの軍勢が目の前に迫ってくる。
――落とせ! 翼を狙え!
戦士の投げた槍が琥珀の爪先を掠めるが、そのとき、真後ろから強く吹いてきた風が、投げつけられた槍をばたばたと落とし、ハゲワシの翼を後押しした。
空気にきらきらときらめきが見える。きっとここにも精霊がいるはず。琥珀は目を細め、「ありがとう」と小さく呟いてみた。
「琥珀!」
ディランが琥珀の腕をつかむ。神殿の盛りあがった屋根の真上で、ハゲワシは琥珀たちを放した。突風のせいで一瞬、琥珀たちを見失っていたコルマクたちもすぐに気づいて、神殿に押し寄せてこようとするが、ディランは慌てる様子もなく琥珀の手をつかんだまま、屋根のてっぺんに降り立った。
「ここだ」
屋根を覆う芝の一部分に小さな穴が開いている。手で押し広げると、穴の幅は人が通れるくらいに広がった。ディランは琥珀を見あげ、
「おれが先に降りたら、すぐにあとに続け。受けとめてやるから」
「受け……大丈夫なの?」
「落としたら自分の重さを恨め」
まったく失礼なことを言って、ディランはさっさと穴に滑りこんでしまった。奥は暗く、かなり深そうに見える。ためらっていると、「おい!」と怒ったような声が響いてきた。
(優しくないんだから……ほんとにもう!)
いやしくも十四歳の乙女の姫君で婚約者なのだから、もうちょっと扱いに気を使ってくれてもいいと思う。が、屋根の上で文句を言っても、聞いてくれる相手がいない。琥珀は息を詰めて穴に飛びこんだ。一瞬なにも体を支えるものがなくなり、頼りなさに不安を感じたのち、気がつくとディランの両腕におさまっている。
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