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第6話 放送事故
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「異文化エロ交流?」
その企画名を聞いたとき、私はちょっと笑ってしまった。
いかにもAVの実験企画って感じで、深く考えずに「はい」と言ったのは、たぶん気がゆるんでいたからだと思う。
25歳。AV女優・〇〇マイになって2年。活動が軌道に乗ってきた。
最初は右も左もわからず、お仕事だってただ受けるだけだったけど、今では自分のやり方が見えてきた。
すごく目立つわけじゃないけど、売上も安定してきた。広報用のSNSにも、たまにファンから、「いつも買ってます」「安心感がある」「ほっこりする」なんてコメントが届く。画面越しに、少しだけ胸があたたかくなる。
最近は、「マイらしい作品」を意識するようになった。
焦って頑張りすぎず、どこか抜けたような、でも優しさと体温のあるエッチ。ゆったりしていて、のんびりしていて、ふんわりとした癒し系の空気感が、自分には似合ってる気がした。
誰かのまねじゃない。
マイの「まねごと」。
そんなふうに思える日も、少しずつ増えてきた。
そんなときに来たオファーが、この『異文化エロ交流』の企画だった。
***
「下宿のお姉さん役で、留学生に日本のエッチを教えてあげる感じ」
企画内容を聞きながら、「あ、これは私向きかも」なんて思った。
相手の女の子はミーナという、最近デビューしたばかりの新人。どうやらクォーターで、英語が喋れるらしい。
久しぶりのメグちゃん以外との共演。ちょっと不安もあったけど、「まあ、私が引っ張ってあげればいいか」と軽く考えていた。
──ただ、メグちゃんに話すと事態は一転した。
「マイちゃん……悪いこと言わないから、事務所に断ってもらって」
スマホでのテレビ電話。すごい真剣な、というより深刻な表情に、私は驚いた。
翌日、私はメグちゃんと一緒に事務所に行った。
「前に共演しましたけど、ほんとに大変だったんですよ」
「でも、メグミさんとうまくいった実績あるし、マイちゃんもお姉さんキャラの経験になると思うんだよね」
「あの子の扱いづらさは普通の新人のものとはちょっと違います。尖ってるっていうより、トゲの塊っていうか」
「うーん。でも、実験企画だし、向こうの事務所は乗り気だし……」
マネージャーのムライさんや、他の社員さんも交えての打ち合わせ。喋り続けるメグちゃんと、その横に座る私。まるで保護者面談みたいだった。
「あの子の期待値が高いことはわかります──快感の深さを測りながらひっくり返る白目と、カニのような横揺れ『クラブコアの腰振り』──確かに、見た目のインパクトはあるし、ある意味共演者殺し。でも、まだ瞬発力だけ。そもそも、マイちゃんとはリズムが合わないと思います」
「……え、カニ? メグミさん、何の話してるの?」
熱くなるとたまにメグちゃんが陥る、バトルの解説みたいなトークに、事務所の人たちがポカンとする。
「……でも、悪い子じゃなかったんでしょ?」
「まあ、それはそうですけど……。とにかく、マイちゃんには荷が重すぎます」
事務所側はのらりくらりしていたが、メグちゃんは本気で止めようとしていた。
それを見て、私は内心ちょっとムッとしてしまった。まるで私が「まだまだ」って言われたみたいで。
「できるもん」
そう言い返した私の声が、強がりに聞こえなかったかどうか、今でも気になる。
メグちゃんは黙った。それからしばらくして、マネージャーさんと顔を見合わせると、静かに頷いた。
***
当日、地方の昭和レトロな和風家屋のスタジオに入る。
畳にちゃぶ台、窓の外には手書きの富士山の背景画……これはこれで趣きがある。
控え室に行くと、ミーナがスマホをいじっていた。
ディープブルーのキャップと、黒のヘッドホン。だぼっとしたアウターにショートデニム、クラブ系っぽい見た目の女の子。大きなヘッドホンからは、ドコドコと重低音が響く。
「ミーナちゃん。おはよう、今日はよろしくね」
声をかけたが、無言。というか、気付いてない。
近くにいたメイクさんが慌ててミーナの肩を叩き、ようやく気付かれる。
私はもう一度挨拶したが、彼女は小さな声で「はい」と返事すると、またヘッドホンをかけた。目も合わせてくれなかった。
(なんかやりづらそうだなぁ……)
スタッフは「マイちゃん、今日は後輩の面倒よろしくね!」なんて呑気に言ってたけど……この子はたぶん、後輩じゃなくて、猛獣だった。
最初のカットは、男優がミーナに夜這いしつつ、私が夜這い文化をレクチャーしながらエッチ。次は、お風呂でのダブルご奉仕。最後は和室でしっぽりエッチ。という流れである。
(うん、できる。たぶん……)
私は深呼吸して、ちゃぶ台の向こうに座った。
カメラが回り始めて、私は脚を揃えて笑った。
マイは、しっかり者の下宿先のお姉さん。自然な演技だったと思う。
ミーナは日本語が喋れるという設定で、カタコトで話す。多少ぶっきらぼうな感じはあるが、挨拶したときとは違い、ちゃんと笑顔で役を演じている。
(よかった。なんとかなりそう)
夜這いのシーンに移る。
男優が布団を剥ぎ、ミーナに襲いかかる。
そのときだった。
「What the actual fuck!? This is creepy! Yo, are you serious right now!?」
(ええぇえ!? え、英語うまっ……!)
英語が喋れるとは聞いていたが、まるで本物の外国人のような反応に、私は思わず動揺してしまった。
台本の流れに沿って男優さんがブラを剝ぐと、小さめだけど形のいいおっぱいが現れる。乳首は薄ピンクで、ちょっぴりパフィーニップル。うっすらと白い肌は透き通っていて、きめ細やか。しかも男優さんよりも身長が高く、手足も長くて、本当に外国人に見えてしまう。
「……マイちゃん、入って、入って」
スタッフに小声で指示されるまで、私は出番を忘れてしまっていた。
慌てて舞台に入る。本来なら、ミーナのセリフの直後に「夜這いは文化」であることを優しく教えにいく段取り。男優さんが場を繋いでくれてたけど、空気は少しダブついている。
私は服を脱ぎ、男優さんのおちんちんをシコシコしながら、おっぱいをしゃぶらせた。そして夜這いについて話した。ここまではよかった。
このあとは、ふたりで男優の性欲を受け止めるようにエッチをする……はずだった。
──撮影は、想像以上の地獄と化した。
私は優しく包み込むようにエッチを進めたかった。「焦らず、じっくり、ちゃんと気持ちよく」……そういうセックスを、教えてあげるつもりだった。
だけどミーナは、アップテンポのスピードセックス。マン汁を滑らせて加速する腰振り、『超高速パイパンマンずり』の勢いのまま、キスもフェラもあっという間。さらには、日本語と英語を交えた『アクティブ淫語ラーニング』まで飛び出す。
「おクチでご奉仕♡ This is Japanese culture, right?」
「チョット~。マイちゃん遅いヨ~。Come on! Faster faster~」
「Let’s fuck! Deeper, faster... おちんぽ、クラッシュ・イン・ミー♡」
(わわわ……もうちょっとゆっくりやってよぉ~)
どうにかテンポを合わせようと、私は男優さんと一緒にリードしようとした。でもミーナは頑なに自分のペースを崩さない。
私がまだおっぱいで責めてるのに、ミーナは早くも挿入へ。
「Oh...おぅ、ハイってる……。Ah... fffuck...あ、ヤバ……っ、ヌルヌル♡」
そのときだった。正常位で突かれるミーナが、突然白目を剥いて、腰を高速で横に振り始めた。
(か、カニさん!?)
メグちゃんが言っていた『クラブコアの腰振り』──ふざけてるのか、本気なのか、わからない。でも、アヘ顔ダブルピースと似て非なるその画は、メグちゃんの言葉通り脅威であり、恐怖すら感じた。
焦る私と、爆走するミーナ。噛み合わない動き。お互いのテンポが違いすぎて、何度もポジションがぶつかる。
そして──。
「っ、ちょっと、邪魔……!」
ミーナは苛立ちを隠さず、私の肩を押しのけた。
一瞬、空気が凍った。
撮影、止めるべきだった。でも、ミーナの迫真の演技と真顔に、みんな止めるタイミングを逃してしまった。
「なんでこんなのと……意味わかんない」
「Like, seriously... You suck.」
気持ちよさそうに喘ぎながら、英語と日本語の暴言を交互に浴びせてくる。小声だったけど、たぶんマイクにも入ってたと思う。
カメラの前では快感にむせぶ表情こそ作っていたが、私に向けるミーナの視線は明らかに不機嫌だった。
私はそれを受け流すこともできず、ただただ戸惑いながら耐え続けた。
……でも、心はもう、ぼきんと音を立ててた。
***
撮影が終わったとき、私は汗だくだった。
何かをやり遂げた感覚はなく、ただ終わったという感覚だけが残った。
終わったあと、男優さんは「マイちゃん、よく頑張ったね」って言ってくれた。スタッフも「ごめんね、ほんと、ありがとうね」と頭を下げてくれた。
目深にキャップをかぶったミーナは……一瞬だけ、こっちを見た気がしたけど──気のせいだったかもしれない──やっぱり挨拶も会話もなかった。
数週間後、作品は発売された。
レビュー欄は……ボロクソだった。
『え、何これは??』
『異文化ってレベルじゃねえぞwww』
『放送事故すぎて草』
『ミーナはトんでて、マイちゃんは浮いてた』
『企画ミス。こんなのよく出したな。金返せ』
『共演させるな。合わなすぎ』
誰も間違ってなかった。
でも、私は泣けなかった。
泣いたら、自分がもっと惨めになる気がして。
その夜、お風呂の中で、湯船に浸かりながら天井を見ていた。
ぼーっと、何も考えられなかった。
(マイらしさって……なんだったんだろう)
そう思ったとき、喉が詰まって、なにも言えなくなった。
この日を境に、私は現場に行く足が、ちょっとずつ重くなっていった。
その企画名を聞いたとき、私はちょっと笑ってしまった。
いかにもAVの実験企画って感じで、深く考えずに「はい」と言ったのは、たぶん気がゆるんでいたからだと思う。
25歳。AV女優・〇〇マイになって2年。活動が軌道に乗ってきた。
最初は右も左もわからず、お仕事だってただ受けるだけだったけど、今では自分のやり方が見えてきた。
すごく目立つわけじゃないけど、売上も安定してきた。広報用のSNSにも、たまにファンから、「いつも買ってます」「安心感がある」「ほっこりする」なんてコメントが届く。画面越しに、少しだけ胸があたたかくなる。
最近は、「マイらしい作品」を意識するようになった。
焦って頑張りすぎず、どこか抜けたような、でも優しさと体温のあるエッチ。ゆったりしていて、のんびりしていて、ふんわりとした癒し系の空気感が、自分には似合ってる気がした。
誰かのまねじゃない。
マイの「まねごと」。
そんなふうに思える日も、少しずつ増えてきた。
そんなときに来たオファーが、この『異文化エロ交流』の企画だった。
***
「下宿のお姉さん役で、留学生に日本のエッチを教えてあげる感じ」
企画内容を聞きながら、「あ、これは私向きかも」なんて思った。
相手の女の子はミーナという、最近デビューしたばかりの新人。どうやらクォーターで、英語が喋れるらしい。
久しぶりのメグちゃん以外との共演。ちょっと不安もあったけど、「まあ、私が引っ張ってあげればいいか」と軽く考えていた。
──ただ、メグちゃんに話すと事態は一転した。
「マイちゃん……悪いこと言わないから、事務所に断ってもらって」
スマホでのテレビ電話。すごい真剣な、というより深刻な表情に、私は驚いた。
翌日、私はメグちゃんと一緒に事務所に行った。
「前に共演しましたけど、ほんとに大変だったんですよ」
「でも、メグミさんとうまくいった実績あるし、マイちゃんもお姉さんキャラの経験になると思うんだよね」
「あの子の扱いづらさは普通の新人のものとはちょっと違います。尖ってるっていうより、トゲの塊っていうか」
「うーん。でも、実験企画だし、向こうの事務所は乗り気だし……」
マネージャーのムライさんや、他の社員さんも交えての打ち合わせ。喋り続けるメグちゃんと、その横に座る私。まるで保護者面談みたいだった。
「あの子の期待値が高いことはわかります──快感の深さを測りながらひっくり返る白目と、カニのような横揺れ『クラブコアの腰振り』──確かに、見た目のインパクトはあるし、ある意味共演者殺し。でも、まだ瞬発力だけ。そもそも、マイちゃんとはリズムが合わないと思います」
「……え、カニ? メグミさん、何の話してるの?」
熱くなるとたまにメグちゃんが陥る、バトルの解説みたいなトークに、事務所の人たちがポカンとする。
「……でも、悪い子じゃなかったんでしょ?」
「まあ、それはそうですけど……。とにかく、マイちゃんには荷が重すぎます」
事務所側はのらりくらりしていたが、メグちゃんは本気で止めようとしていた。
それを見て、私は内心ちょっとムッとしてしまった。まるで私が「まだまだ」って言われたみたいで。
「できるもん」
そう言い返した私の声が、強がりに聞こえなかったかどうか、今でも気になる。
メグちゃんは黙った。それからしばらくして、マネージャーさんと顔を見合わせると、静かに頷いた。
***
当日、地方の昭和レトロな和風家屋のスタジオに入る。
畳にちゃぶ台、窓の外には手書きの富士山の背景画……これはこれで趣きがある。
控え室に行くと、ミーナがスマホをいじっていた。
ディープブルーのキャップと、黒のヘッドホン。だぼっとしたアウターにショートデニム、クラブ系っぽい見た目の女の子。大きなヘッドホンからは、ドコドコと重低音が響く。
「ミーナちゃん。おはよう、今日はよろしくね」
声をかけたが、無言。というか、気付いてない。
近くにいたメイクさんが慌ててミーナの肩を叩き、ようやく気付かれる。
私はもう一度挨拶したが、彼女は小さな声で「はい」と返事すると、またヘッドホンをかけた。目も合わせてくれなかった。
(なんかやりづらそうだなぁ……)
スタッフは「マイちゃん、今日は後輩の面倒よろしくね!」なんて呑気に言ってたけど……この子はたぶん、後輩じゃなくて、猛獣だった。
最初のカットは、男優がミーナに夜這いしつつ、私が夜這い文化をレクチャーしながらエッチ。次は、お風呂でのダブルご奉仕。最後は和室でしっぽりエッチ。という流れである。
(うん、できる。たぶん……)
私は深呼吸して、ちゃぶ台の向こうに座った。
カメラが回り始めて、私は脚を揃えて笑った。
マイは、しっかり者の下宿先のお姉さん。自然な演技だったと思う。
ミーナは日本語が喋れるという設定で、カタコトで話す。多少ぶっきらぼうな感じはあるが、挨拶したときとは違い、ちゃんと笑顔で役を演じている。
(よかった。なんとかなりそう)
夜這いのシーンに移る。
男優が布団を剥ぎ、ミーナに襲いかかる。
そのときだった。
「What the actual fuck!? This is creepy! Yo, are you serious right now!?」
(ええぇえ!? え、英語うまっ……!)
英語が喋れるとは聞いていたが、まるで本物の外国人のような反応に、私は思わず動揺してしまった。
台本の流れに沿って男優さんがブラを剝ぐと、小さめだけど形のいいおっぱいが現れる。乳首は薄ピンクで、ちょっぴりパフィーニップル。うっすらと白い肌は透き通っていて、きめ細やか。しかも男優さんよりも身長が高く、手足も長くて、本当に外国人に見えてしまう。
「……マイちゃん、入って、入って」
スタッフに小声で指示されるまで、私は出番を忘れてしまっていた。
慌てて舞台に入る。本来なら、ミーナのセリフの直後に「夜這いは文化」であることを優しく教えにいく段取り。男優さんが場を繋いでくれてたけど、空気は少しダブついている。
私は服を脱ぎ、男優さんのおちんちんをシコシコしながら、おっぱいをしゃぶらせた。そして夜這いについて話した。ここまではよかった。
このあとは、ふたりで男優の性欲を受け止めるようにエッチをする……はずだった。
──撮影は、想像以上の地獄と化した。
私は優しく包み込むようにエッチを進めたかった。「焦らず、じっくり、ちゃんと気持ちよく」……そういうセックスを、教えてあげるつもりだった。
だけどミーナは、アップテンポのスピードセックス。マン汁を滑らせて加速する腰振り、『超高速パイパンマンずり』の勢いのまま、キスもフェラもあっという間。さらには、日本語と英語を交えた『アクティブ淫語ラーニング』まで飛び出す。
「おクチでご奉仕♡ This is Japanese culture, right?」
「チョット~。マイちゃん遅いヨ~。Come on! Faster faster~」
「Let’s fuck! Deeper, faster... おちんぽ、クラッシュ・イン・ミー♡」
(わわわ……もうちょっとゆっくりやってよぉ~)
どうにかテンポを合わせようと、私は男優さんと一緒にリードしようとした。でもミーナは頑なに自分のペースを崩さない。
私がまだおっぱいで責めてるのに、ミーナは早くも挿入へ。
「Oh...おぅ、ハイってる……。Ah... fffuck...あ、ヤバ……っ、ヌルヌル♡」
そのときだった。正常位で突かれるミーナが、突然白目を剥いて、腰を高速で横に振り始めた。
(か、カニさん!?)
メグちゃんが言っていた『クラブコアの腰振り』──ふざけてるのか、本気なのか、わからない。でも、アヘ顔ダブルピースと似て非なるその画は、メグちゃんの言葉通り脅威であり、恐怖すら感じた。
焦る私と、爆走するミーナ。噛み合わない動き。お互いのテンポが違いすぎて、何度もポジションがぶつかる。
そして──。
「っ、ちょっと、邪魔……!」
ミーナは苛立ちを隠さず、私の肩を押しのけた。
一瞬、空気が凍った。
撮影、止めるべきだった。でも、ミーナの迫真の演技と真顔に、みんな止めるタイミングを逃してしまった。
「なんでこんなのと……意味わかんない」
「Like, seriously... You suck.」
気持ちよさそうに喘ぎながら、英語と日本語の暴言を交互に浴びせてくる。小声だったけど、たぶんマイクにも入ってたと思う。
カメラの前では快感にむせぶ表情こそ作っていたが、私に向けるミーナの視線は明らかに不機嫌だった。
私はそれを受け流すこともできず、ただただ戸惑いながら耐え続けた。
……でも、心はもう、ぼきんと音を立ててた。
***
撮影が終わったとき、私は汗だくだった。
何かをやり遂げた感覚はなく、ただ終わったという感覚だけが残った。
終わったあと、男優さんは「マイちゃん、よく頑張ったね」って言ってくれた。スタッフも「ごめんね、ほんと、ありがとうね」と頭を下げてくれた。
目深にキャップをかぶったミーナは……一瞬だけ、こっちを見た気がしたけど──気のせいだったかもしれない──やっぱり挨拶も会話もなかった。
数週間後、作品は発売された。
レビュー欄は……ボロクソだった。
『え、何これは??』
『異文化ってレベルじゃねえぞwww』
『放送事故すぎて草』
『ミーナはトんでて、マイちゃんは浮いてた』
『企画ミス。こんなのよく出したな。金返せ』
『共演させるな。合わなすぎ』
誰も間違ってなかった。
でも、私は泣けなかった。
泣いたら、自分がもっと惨めになる気がして。
その夜、お風呂の中で、湯船に浸かりながら天井を見ていた。
ぼーっと、何も考えられなかった。
(マイらしさって……なんだったんだろう)
そう思ったとき、喉が詰まって、なにも言えなくなった。
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