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新学期!!
不法侵入の現行犯
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「先輩の事を考えてくれてる人たちが、示してくれたんだ。とにかく一度やってみろよ。やって駄目だったら、また考えればいいだろ。資格だなんだゴチャゴチャ言ってたけど、そんなもん語れる程、先輩は自分の事、本気で何も分かってねぇんだから」
もちろん、オレだって信じてる。だから、一緒にいたいって我が儘を全力で突き通す。オレの人生全部を賭けて。
「先輩には自分一人で完結出来る人生なんて、持ち合わせてないのを思い知れ」
それはきっとオレに出会う前から。きっと生まれた瞬間から、先輩のじいちゃんが大事に守ろうとしてきたモノだ。オッサンや先生、寮長や会長が細く繋げてくれた先輩の可能性、未来をオレは最後にやってきて一人で掻っ攫う。
「オレには先輩が必要なんだ。これからも……ずっと一緒に居て欲しい」
先輩の頭を離す。ふらつく足で立ち上がり、先輩の手が届かない場所で、先輩を見つめる。オレを求めるように弱々しく手が伸ばされていた。そんな縋るような手に答えてやる訳にはいかない。
「ま、後は勝手に一人で悩んで決めろよ。先輩が逃げたらオレは死んじゃうけど、ただそれだけ。先輩の好きにしたらいいよ」
心を鬼にして、意地悪く笑って見せる。迷子の子供みたいな顔で、先輩はオレを見上げてきた。
「そんな事を言われたら、選択肢なんてなくなる」
「そうだよ。今日はそのつもりで来たから」
一応シャツで手を拭い、乱暴に先輩の頭を撫で回してやった。先輩を子供扱いしてやるのは、なかなか気持ちがいい。そのまましゃがみ、額が触れるくらいの距離で目を覗き込む。
「オレは先輩が持ってるモノを一緒に持ってやれないけど、一緒には歩けるからさ。先輩が倒れそうになったら支えてやる。だから、オレを選べよ」
先輩の目は、涙を零れんばかりに溜めて、真っ直ぐこちらを見つめ返してくる。名残惜しいが、ここで盛り上がる訳にもいかない。オレは赤くなった先輩の鼻を軽く吸う。
全力で名残惜しい。窓を閉めて、この場で一発ヤって帰りたいが、その分は先輩がちゃんとこちら側に戻ってきてから、倍以上にして付き合わせよう。そうだな、毎日ヤろう。そうしよう。
「あ、先輩の意思は尊重するけど、一応言っとく。オレ、色々と思う所あるけど、あいつら殺したいと思った事はないし、まだまだ死にたくないから」
先輩の強ばった頬が少しだけ緩んだ。そのせいで、目に溜まっていた涙が零れてしまった。両手で先輩の顔を挟み、涙を拭ってやる。
「んじゃ、まあ……オレ行くわ」
涙が止まっているのを確認して、オレはその場を後にする。何か言おうとする先輩の気配を置き去りに、部屋へ戻り窓を閉めた。
手早く鍵をかけ、カーテンも元通り閉めておく。きっと、また膝抱えて、ギリギリまで悩むんだろうな。
「待ってるから……戻って来いよ」
先輩の元へ戻りたい気持ちを自分の言葉でリセットさせる。それが成功しているのを確認して、軽く息を吐き、気合いを入れて振り返った。
「首尾はどうだ、夷川」
気怠げにベッドから立ち上がった全裸の男が、無表情にそう尋ねてきたので「上々だ」と簡潔に答えてやった。
「随分と卑怯な手を使うんだな。自分を人質に脅しとは」
皮肉たっぷりに言われるが、そんな事は百も承知だ。オレは怯む事なく会長と対峙する。
「これが一番効果あるんだよ。なんせ、先輩オレのケツにメロメロだからな」
茶化して答えると、ゾッとするような視線を向けられた。
「金城に更に荷を背負わせる気か?」
誑し込めと言っていた奴だとは思えないな。似たようなモノだと思うが、もっと優しく懐柔しろとでも言いたいのか?
「先輩の荷物になる気はねぇよ。ただ、先輩の荷物を持ってやる気もねぇけどな」
会長の表情が険しくなる。会長は先輩の荷物とやらを消し去ってやりたいんだろうな。でも、それは無理だ。いくら金があろうと権力があろうと、それだけは不可能だ。
「あんたが言う通り、先輩は強い人じゃあない。自分のやらかした事に押し潰されそうになってるけど、潰されねぇよ。オレが先輩を支えるから」
ソレを簡単に手放せる奴なら苦労しない。でも、それが出来ない人だから、きっとオレは好きになったんだ。だから、オレは今の先輩を丸ごと支えてやる。
オレの答えが面白くなかったのか、会長は鼻で笑いやがった。
「ならば、無断で部屋に踏み入った件は不問としよう」
一応、使用人の許可は得ていたんだが……また逆鱗に触れそうだったので、性悪から鍵を借りた事は黙っておこう。こいつらの主従関係まで知ったこっちゃないが、オレのせいで破綻させるのは後味が悪すぎる。
「柏木、夷川を反省室に放り込んでおけ」
オレが黙っていると、会長は当たり前のように柏木を呼び、不法侵入の処分を決定した。数秒前に『不問としよう』とか言ってたのに!
「部屋に踏み入った件は不問に出来ても、破壊行為まで見過ごしてやる気はない」
そうでした! さっき外で何か壊したのを忘れていた。会長の一言で思い出せたので即座に謝ったが、取って付けたような謝罪は効果がなく、どこに居たのか突然現れた(ように感じただけか?)柏木に問答無用で廊下に連れ出された。
もちろん、オレだって信じてる。だから、一緒にいたいって我が儘を全力で突き通す。オレの人生全部を賭けて。
「先輩には自分一人で完結出来る人生なんて、持ち合わせてないのを思い知れ」
それはきっとオレに出会う前から。きっと生まれた瞬間から、先輩のじいちゃんが大事に守ろうとしてきたモノだ。オッサンや先生、寮長や会長が細く繋げてくれた先輩の可能性、未来をオレは最後にやってきて一人で掻っ攫う。
「オレには先輩が必要なんだ。これからも……ずっと一緒に居て欲しい」
先輩の頭を離す。ふらつく足で立ち上がり、先輩の手が届かない場所で、先輩を見つめる。オレを求めるように弱々しく手が伸ばされていた。そんな縋るような手に答えてやる訳にはいかない。
「ま、後は勝手に一人で悩んで決めろよ。先輩が逃げたらオレは死んじゃうけど、ただそれだけ。先輩の好きにしたらいいよ」
心を鬼にして、意地悪く笑って見せる。迷子の子供みたいな顔で、先輩はオレを見上げてきた。
「そんな事を言われたら、選択肢なんてなくなる」
「そうだよ。今日はそのつもりで来たから」
一応シャツで手を拭い、乱暴に先輩の頭を撫で回してやった。先輩を子供扱いしてやるのは、なかなか気持ちがいい。そのまましゃがみ、額が触れるくらいの距離で目を覗き込む。
「オレは先輩が持ってるモノを一緒に持ってやれないけど、一緒には歩けるからさ。先輩が倒れそうになったら支えてやる。だから、オレを選べよ」
先輩の目は、涙を零れんばかりに溜めて、真っ直ぐこちらを見つめ返してくる。名残惜しいが、ここで盛り上がる訳にもいかない。オレは赤くなった先輩の鼻を軽く吸う。
全力で名残惜しい。窓を閉めて、この場で一発ヤって帰りたいが、その分は先輩がちゃんとこちら側に戻ってきてから、倍以上にして付き合わせよう。そうだな、毎日ヤろう。そうしよう。
「あ、先輩の意思は尊重するけど、一応言っとく。オレ、色々と思う所あるけど、あいつら殺したいと思った事はないし、まだまだ死にたくないから」
先輩の強ばった頬が少しだけ緩んだ。そのせいで、目に溜まっていた涙が零れてしまった。両手で先輩の顔を挟み、涙を拭ってやる。
「んじゃ、まあ……オレ行くわ」
涙が止まっているのを確認して、オレはその場を後にする。何か言おうとする先輩の気配を置き去りに、部屋へ戻り窓を閉めた。
手早く鍵をかけ、カーテンも元通り閉めておく。きっと、また膝抱えて、ギリギリまで悩むんだろうな。
「待ってるから……戻って来いよ」
先輩の元へ戻りたい気持ちを自分の言葉でリセットさせる。それが成功しているのを確認して、軽く息を吐き、気合いを入れて振り返った。
「首尾はどうだ、夷川」
気怠げにベッドから立ち上がった全裸の男が、無表情にそう尋ねてきたので「上々だ」と簡潔に答えてやった。
「随分と卑怯な手を使うんだな。自分を人質に脅しとは」
皮肉たっぷりに言われるが、そんな事は百も承知だ。オレは怯む事なく会長と対峙する。
「これが一番効果あるんだよ。なんせ、先輩オレのケツにメロメロだからな」
茶化して答えると、ゾッとするような視線を向けられた。
「金城に更に荷を背負わせる気か?」
誑し込めと言っていた奴だとは思えないな。似たようなモノだと思うが、もっと優しく懐柔しろとでも言いたいのか?
「先輩の荷物になる気はねぇよ。ただ、先輩の荷物を持ってやる気もねぇけどな」
会長の表情が険しくなる。会長は先輩の荷物とやらを消し去ってやりたいんだろうな。でも、それは無理だ。いくら金があろうと権力があろうと、それだけは不可能だ。
「あんたが言う通り、先輩は強い人じゃあない。自分のやらかした事に押し潰されそうになってるけど、潰されねぇよ。オレが先輩を支えるから」
ソレを簡単に手放せる奴なら苦労しない。でも、それが出来ない人だから、きっとオレは好きになったんだ。だから、オレは今の先輩を丸ごと支えてやる。
オレの答えが面白くなかったのか、会長は鼻で笑いやがった。
「ならば、無断で部屋に踏み入った件は不問としよう」
一応、使用人の許可は得ていたんだが……また逆鱗に触れそうだったので、性悪から鍵を借りた事は黙っておこう。こいつらの主従関係まで知ったこっちゃないが、オレのせいで破綻させるのは後味が悪すぎる。
「柏木、夷川を反省室に放り込んでおけ」
オレが黙っていると、会長は当たり前のように柏木を呼び、不法侵入の処分を決定した。数秒前に『不問としよう』とか言ってたのに!
「部屋に踏み入った件は不問に出来ても、破壊行為まで見過ごしてやる気はない」
そうでした! さっき外で何か壊したのを忘れていた。会長の一言で思い出せたので即座に謝ったが、取って付けたような謝罪は効果がなく、どこに居たのか突然現れた(ように感じただけか?)柏木に問答無用で廊下に連れ出された。
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