圏ガク!!

はなッぱち

文字の大きさ
318 / 411
蜜月

結果発表?

しおりを挟む
 冬休み前の補習があるので、答案の返却は早い。試験最終日、昼休みを挟んですぐに全教科返ってくる。翌日には補習がスタートする為だ。

「試験結果は夜に見せ合おう」

 先輩にそう言われたので、その日の放課後は皆元のフォローに回った。今更感が半端ないが、補習は追試をクリアしたら抜けられるシステムなので、多少は助けになるだろう。決して購買のカレーパンを机に積まれたからではないが、カレーパンは美味しかった。

 先輩の点数が気になると言えば気になるが、最低ラインの赤点回避は確実なので気は楽だった。仮に赤点でも、今の先輩なら受験組に合流しなくても大丈夫だと思う。基礎は出来ているはずなので、補習中の追試で十分クリア可能なはずだ。

「でも、赤点だったらショックだろうな。セックスを封印されている今、どうやって慰めたらいいんだろ」

 エロマンガを思い出しながら、その方法を探るがエロ方面全力で参考にならなかった。

 夕食と風呂を終え、いつもより少し早めに、旧館の空き部屋へ向かう。心配はしていないとは言え、場合によっては守峰と直談判で先輩の冬休みを勝ち取らなければならない。そのせいか、オレは少し緊張していた。

「……セイシュン、今日は早いな」

 先輩をどう迎えようか、一人悩みながら部屋に入ると、出迎えられてしまった。その表情は微妙に暗い。ついでに、昨日はなかった絆創膏が頬に貼られていた。

「先輩、その顔どうしたの?」

「あぁ、別に大した事ないんだが、ここに来る途中でじいさんに見つかってな」

 じいちゃんが貼ったのか。どうりで、無駄に大きいと思った。大丈夫だと笑うので、それ以上は触れずオレも先輩の向かいに座る。

「試験、どうだった?」

 オレが軽い調子で尋ねると、先輩は暗い表情に戻ってしまった。そして、深々と頭を下げてきた。

「すまん。あんなに助けて貰ったのに、追試を受ける事になっちまった」

「そんなの謝るなよ。オレの力不足でもあるんだ。オレの方こそごめんな。満点取らせるなんて偉そうな事言ったのに」

 先輩の返却された答案を受け取る。圏ガクの赤点は五十点以下だったはずだ。傾向を見るに半分を基礎問題、残りを応用問題に振っている教師が大半だったので、やはり赤点が多ければ冬休みの補習を免れないだろう。一教科でもクリアしていたら、その点をアピールして冬休みの補習をオレに任せて貰えるよう説得出来るのだが……。

「あれ、てか、すげぇじゃん。ほとんど、七十以上あるんだけど……なんで追試なんて……」

 先輩の点数は、どの教科もかなり良かった。赤点なんて一つもない、どころか最後の一枚はなんと満点だった。

「先輩! これ満点じゃん!」

「ん、それなんだが……駄目なんだ。カンニングならしくて、追試だって言われちまった」

「は?」

 先輩が何を言っているのか、本当に分からず妙な声が出た。先輩がカンニング?

「満点取れて、セイシュンが言ってたみたいにな、満点取れて、ちょっと嬉しくてな……いつもなら避けるんだけど、木刀も軽く掠っちまった」

 指先で絆創膏を掻きながら先輩は眉をハの字にして笑う。木刀という物騒な言葉でオレは状況を理解した。先輩の満点の答案、その問題を確認して、オレは思わず野村の怠慢を握りつぶした。

「先輩が事前に同じ問題を解いていたからカンニングだって言ったのか」

「知らなかったんだから、そんなの仕方ない事だ。追試を受ければ済むらしいから、大丈夫だ」

 オレの声が震えていたせいか、先輩は慌てて大丈夫だと明るい声を出した。

 大丈夫……ではない。先輩の努力をカンニング呼ばわりした奴をオレは許さない。図書室で貸し出されている参考書から問題を丸写しした試験を作る教師に、オレは断固抗議する。

 満点の答案を掴み、部屋を飛び出す。夏休みには、旧館食堂で晩酌をしていたのを思い出し、駄目元で飛び込むと、そこに奴は居た。

 飲んだくれている教師たちに大股で近づき、机に並べ立てた空き缶を払い落とし、野村の目の前に先輩の答案を叩きつけてやった。ついでにイスに立てかけてあった木刀を出入り口の方へぶん投げると、追いかけてきた先輩が白刃取りした。

「先輩はカンニングなんてしてない! あんたが手ぇ抜いた試験を作っただけだろ!」

 用件をぶちまけると、野村は酒で赤かった顔を更に濃くし、吠えるような声を上げ、オレの首に掴みかかってきた。酔っているせいか、怒りのせいか、何を言っているのか分からない罵声を浴びせられ、隣のテーブルに投げ捨てられる。

「セイシュン!」

 背中から叩きつけられると思ったが、いつの間にか駆け寄ってくれた先輩が抱き止めてくれた。転けずに済んだので、一矢報いてやろうと野村に飛びかかろうとしたが、それを読まれていたのか先輩は公衆の面前だと言うのに抱擁を続行した。というか、いつの間にか羽交い締めにされていた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

春を拒む【完結】

璃々丸
BL
 日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。 「ケイト君を解放してあげてください!」  大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。  ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。  環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』  そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。  オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。 不定期更新になります。   

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

貢がせて、ハニー!

わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。 隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。 社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。 ※この物語はフィクションです。 ※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8) ■2025.12.14 285話のタイトルを「おみやげ何にする? Ⅲ」から変更しました。 ■2025.11.29 294話のタイトルを「赤い川」から変更しました。 ■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました! ■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。 ■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

狂わせたのは君なのに

一寸光陰
BL
ガベラは10歳の時に前世の記憶を思い出した。ここはゲームの世界で自分は悪役令息だということを。ゲームではガベラは主人公ランを悪漢を雇って襲わせ、そして断罪される。しかし、ガベラはそんなこと望んでいないし、罰せられるのも嫌である。なんとかしてこの運命を変えたい。その行動が彼を狂わすことになるとは知らずに。 完結保証 番外編あり

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

処理中です...