『ヘブン』

篠崎俊樹

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第38話。

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 俺が、謙三が廃人同然で、ネット検索して、分かったように、レビー小体型認知症であると気付いたのは、結構昔だ。あの型の認知症は、六十代でも、症状が出始める。気質がそうなのだ。物事に関心がない。しかも、粗暴で、乱暴で、暴力的で、夜は必ず酒。もう、廃人どころじゃない。人間として、完全に壊れてしまっているのである。俺が謙三に毒親というレッテルを張って、ひたすら逃げ回って、財布から、絶えずお金を抜き取るのも、全部、俺の人格を傷つけられた慰謝料、迷惑駆除料を払ってもらう類で、別に俺は泥棒だとは思ってない。自分が一体、どんな虐待をやっているか、考えたことがないらしい。俺は、謙三には、もう、葬式とかやってやれないと思うし、永代供養は当然ない。まあ、当然と思え!あんなろくでなしのジジイに、使ってやる葬儀代など、一円もないのである。俺は元々、謙三のことは嫌いだったが、ここ一年ぐらい、もう、同じ岩崎家にいても、顔すら見たくなくなったのである。逃げて回るようになった。俺が、老父の写真を全部、燃えるゴミに捨ててやって、一枚も残さなかったのは、半ば必然の行為なのである。
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