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第22話。
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「くそ!電話つながんねえ!……あいつ、どこ行きやがった?」
歯噛みしたタカが、マンションで一人不貞腐れる。だが、後の祭りだ。いくら、足掻いても、遅い。タカは逆上した。殺気立って、カンカンに腹を立てた。だが、いくら言おうが、所詮、後の祭りに過ぎない。
「あいつ、まさか逃げやがったのか?」
逆上した彼が、咄嗟に言い放つ。その声は、まさに、怒りと憤懣が混じった声だ。怒声にも近い。
「馬鹿野郎!」
そう言い放ち、固定電話の子機を、思いっきり、壁へと叩き付けた。電話機が粉々に壊れて、砕け散る。実際、固定電話は跡形もなく、崩れ去り、子機は粉々に壊れた。
そして、その時、彼の中に棲む偽善の心が、スゥーと顔を出した。悪魔のような、薄気味悪い顔だ。
「タレこんでやる。警察に」
意気込んだタカは、自分も警察に追われている身だということを悟って、一瞬困惑したのだが、咄嗟に思い付いた。匿名投書というものがあると。実際、その通りだ。この投書さえあれば、ジミーを吊し上げられる。また、いとも簡単に、葬ることができる。
すぐに、部屋の隅にあったノートパソコンを立ち上げて、ワードの画面を開くと、キーボードを叩き出した。みるみるうちに、文章が完成していく。内容は、以下の通りだった。これは、ある意味、薄気味悪い投書だ。
「告発する。
君島次郎は、自分の親を殺したばかりか、衆院議員甘利健吾までをも刺殺し、その上、逃亡した。その非道の行 為は、断じて許されるものではない。私はそのことを、この投書で告白する。どうか、一刻も早く君島次郎を逮捕してくれ。
善意なる警察へ
匿名希望」
書き終わった後、文書を代々木南署宛に、メールで送信した。その後、ほくそ笑む。
少し心配にはなったが、告発しただけでも、大きな手柄だ。まさに、大手柄の類だった。
秩序に対して、猛烈に反逆していた人間が、秩序の奴隷と化した瞬間だった。背信行為と言える。タカの自己満足は、あらぬ妄想へと変わっていった。それが、実に恐ろしい事実なのだった。また、妄想は妄想だ。それは、捨て去ることができない。
「くそ!電話つながんねえ!……あいつ、どこ行きやがった?」
歯噛みしたタカが、マンションで一人不貞腐れる。だが、後の祭りだ。いくら、足掻いても、遅い。タカは逆上した。殺気立って、カンカンに腹を立てた。だが、いくら言おうが、所詮、後の祭りに過ぎない。
「あいつ、まさか逃げやがったのか?」
逆上した彼が、咄嗟に言い放つ。その声は、まさに、怒りと憤懣が混じった声だ。怒声にも近い。
「馬鹿野郎!」
そう言い放ち、固定電話の子機を、思いっきり、壁へと叩き付けた。電話機が粉々に壊れて、砕け散る。実際、固定電話は跡形もなく、崩れ去り、子機は粉々に壊れた。
そして、その時、彼の中に棲む偽善の心が、スゥーと顔を出した。悪魔のような、薄気味悪い顔だ。
「タレこんでやる。警察に」
意気込んだタカは、自分も警察に追われている身だということを悟って、一瞬困惑したのだが、咄嗟に思い付いた。匿名投書というものがあると。実際、その通りだ。この投書さえあれば、ジミーを吊し上げられる。また、いとも簡単に、葬ることができる。
すぐに、部屋の隅にあったノートパソコンを立ち上げて、ワードの画面を開くと、キーボードを叩き出した。みるみるうちに、文章が完成していく。内容は、以下の通りだった。これは、ある意味、薄気味悪い投書だ。
「告発する。
君島次郎は、自分の親を殺したばかりか、衆院議員甘利健吾までをも刺殺し、その上、逃亡した。その非道の行 為は、断じて許されるものではない。私はそのことを、この投書で告白する。どうか、一刻も早く君島次郎を逮捕してくれ。
善意なる警察へ
匿名希望」
書き終わった後、文書を代々木南署宛に、メールで送信した。その後、ほくそ笑む。
少し心配にはなったが、告発しただけでも、大きな手柄だ。まさに、大手柄の類だった。
秩序に対して、猛烈に反逆していた人間が、秩序の奴隷と化した瞬間だった。背信行為と言える。タカの自己満足は、あらぬ妄想へと変わっていった。それが、実に恐ろしい事実なのだった。また、妄想は妄想だ。それは、捨て去ることができない。
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