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最後の晩餐
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施設での最後の夕食では、いつも通り子供たちがおかずを激しく取り合った。
長机に乗り掛かり、テーブルクロスをぐちゃぐちゃにし、お互いの邪魔をするその姿は行儀が悪いことこの上ない。
そんな中、長年者の経験によりちゃっかり自分たちの分のおかずを確保した灯たち4人は、見慣れたそれを気にも止めず箸をすすめる。
いつも通り四人は、式、三笠、灯、光の順に並んで座った。
今、三笠と式はなにかを話し合っている。
それを見て灯は光の方を向く。
いつも灯が光と話していると、気のせいかこの二人の妨害が入っている気がするからだ。
おそらく気のせいだろうが、光に話しかけるなら今が良い気がする。
「そういえば、光はさっきどこ行ってたの?」
「さっきって?」
「荷物を片付けていた時、いなかったでしょ?」
「ああ、あの時・・・ね。別に、ちょっとイタズラをしに行ってただけだよ」
「!?」
あまりにも予想外な答えに、灯は手に持っていたカップを取り落としそうになった。
普段から落ち着いているこの青年がそんなことをしてるところが想像できない。
「どうしたの光!?やっぱり施設出るの寂しくなっちゃったの?」
「・・・違うけどね。本当にちょっとしたイタズラだよ。皆には(・・・)害ないから安心して」
光は笑顔でそう言いながら、さりげなく話を打ち切ってしまう。
光がこんなふうに強引な話の打ち切り方をする時は、これ以上その内容に踏み込んで欲しくない時だ。
こうなってしまったら、光はもう絶対にそのことについて詳しく話すことはない。
それを理解しているので灯もこれ以上追求しない。
でも、光と灯達の間に少なからず距離を感じるのは、これが大きな原因だろう。
「そう言えば灯。後で話が有るから夜に中庭まで出て来てくれる?あ、桜のとこにでもいてくれたらいいから」
――なんで外?
「・・・うん、分かった」
疑問は浮かんだけど、光が灯に何かする筈がないと思ったので素直に頷く。
それを見て光は付け加える。
「俺が行くまで、何があってもそこから動かないでね」
と。
この時光が笑顔の裏に隠していたものに、灯が気づくことはなかった。
長机に乗り掛かり、テーブルクロスをぐちゃぐちゃにし、お互いの邪魔をするその姿は行儀が悪いことこの上ない。
そんな中、長年者の経験によりちゃっかり自分たちの分のおかずを確保した灯たち4人は、見慣れたそれを気にも止めず箸をすすめる。
いつも通り四人は、式、三笠、灯、光の順に並んで座った。
今、三笠と式はなにかを話し合っている。
それを見て灯は光の方を向く。
いつも灯が光と話していると、気のせいかこの二人の妨害が入っている気がするからだ。
おそらく気のせいだろうが、光に話しかけるなら今が良い気がする。
「そういえば、光はさっきどこ行ってたの?」
「さっきって?」
「荷物を片付けていた時、いなかったでしょ?」
「ああ、あの時・・・ね。別に、ちょっとイタズラをしに行ってただけだよ」
「!?」
あまりにも予想外な答えに、灯は手に持っていたカップを取り落としそうになった。
普段から落ち着いているこの青年がそんなことをしてるところが想像できない。
「どうしたの光!?やっぱり施設出るの寂しくなっちゃったの?」
「・・・違うけどね。本当にちょっとしたイタズラだよ。皆には(・・・)害ないから安心して」
光は笑顔でそう言いながら、さりげなく話を打ち切ってしまう。
光がこんなふうに強引な話の打ち切り方をする時は、これ以上その内容に踏み込んで欲しくない時だ。
こうなってしまったら、光はもう絶対にそのことについて詳しく話すことはない。
それを理解しているので灯もこれ以上追求しない。
でも、光と灯達の間に少なからず距離を感じるのは、これが大きな原因だろう。
「そう言えば灯。後で話が有るから夜に中庭まで出て来てくれる?あ、桜のとこにでもいてくれたらいいから」
――なんで外?
「・・・うん、分かった」
疑問は浮かんだけど、光が灯に何かする筈がないと思ったので素直に頷く。
それを見て光は付け加える。
「俺が行くまで、何があってもそこから動かないでね」
と。
この時光が笑顔の裏に隠していたものに、灯が気づくことはなかった。
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