ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中

あ、まん。

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#02 スキル〈積みゲー〉、起動

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村の惨事を伝えるべく、さらに離れた町に向かっている途中、別の熊のような化け物に遭遇した。

たぶん時速20キロくらい。
いや、本物の熊の方が速いかも。

電柱をバキバキ倒しながら突進してくる。
いや、どこの怪獣なんだとツッコミたい!

あんなのに捕まったら、軽トラなんて紙細工同然。ぺしゃんこ確定。

また熊との決定的な違いは、はるかに狂暴な攻撃性。

熊ならまだマシ。
あいつらは腹が減ってるときしか襲ってこない。
でもこいつは違う。
見境がない。

やむなく家に引き返すことにした。
少女が増えた分、食料が不足するだろうが、直面している危険を考えたら、やむを得なかった。

「二瓶豆丸、よろしくね。お姉ちゃんの名前を教えてもらえるかな?」

先に名乗った上で、少女の様子を見る。

「……あるさ、たきがわあるさ」
「あるさって、どう書くの? カタカナ? ひらがな? それとも漢字⁉」

大丈夫そう。
そう見えるだけかもしれないが、心配しているだけでは進展はない。
話すことで、気が紛れる可能性だってある。
返事をしてくれたので、どんどん少女の言葉を引き出していく。

滝川 歩茶たきがわ あるさ
振り仮名を教えてもらえないとまず読めない変わった名前。
7歳で今年、小学校に上がったばかり。

一人っ子で、両親と飼い猫の3人と1匹であの村に住んでいたそうだが……。

お父さんは、真っ先に飛び出して……やられたらしい。

母親も村の中を逃げ回っている途中、別の化け物に襲われた。

最後に残った歩茶だけが、偶然通りかかった豆丸に助け出されたという。

自宅に戻った。
山の中にぽつんと建っている一軒家。

こんなところで化け物に襲われたら誰も助けてくれないだろう。

「こんなものしかないけど……」

冷凍チャーハン、インスタント味噌汁、玉子焼き。
非常時のわりに、意外と栄養価は高いかも。

次の日にでも野菜は買い出しに行こうと思っていたので、葉野菜がなく、冷凍庫に冷凍ブロッコリーと野菜室にミニトマトが少しあるくらい。

食糧をチェックする。
米5キロ、袋麺5つ、レトルトカレー2つ。パンは2枚。……まあ数日は大丈夫な量。

飲み物は缶ビールが数本とお茶と水のPETボトルがそれぞれ1本しかない。

外に光を漏らさないようにロウソクの明かりを頼りに黙々と食事をした。

いつ化け物に襲われるかわからないため、お風呂は沐浴で済ませ、早々に寝ることにした。寝具は一式しかないため、歩茶を布団に寝かせ、豆丸はソファで寝ることにした。

──深夜1時過ぎ。

トイレに行きたくて目が覚めた。
こんなときに限って、ぐっすり眠れない。

ふたりとも、外出用の服を着たまま。
貴重品は軽トラの中に入れてあり、鍵も車のある場所にすぐ取り出せるように隠してある。

裏口にも靴を置いてあり、玄関でも裏口でもどこからでも逃げられる準備を整えてある。

──ちょっとだけ。

ほんの少し。
1プレイしたら眠くなるはず。
そう思いスマホのオフラインになった積みゲー、モリモリを開いた。

あれ?
まずい。
なんだこれ⁉

アプリを開いた瞬間、画面が真っ黒になった。
「Downloading」「Please wait」
白い文字が点滅する。電源長押しも効かない。

「ダウンロードが完了しました」

10秒もしないうちにダウンロードが終わった。

「スキル〝積みゲー〟のコインの現金化及びオブジェクトとの交換が可能になりました」

コインを現金化……本当に?
ちなみに5億枚は持っているけど、どうなるんだろ。

【換金】──10コイン=1円。

なるほど。
換金というボタンを押した先に気になっていた答えが書かれていた。

そうなると、所持コインは5億コインだからすべて換金すると約5,000万円。

でも、どうだろう?
今、大金を手に入れても使い道ははたしてあるだろうか?

とりあえず、換金は保留にして、【交換〈オブジェクト〉】というボタンを押してみる。

▸アイテム
▸武器
▸防具
▾キャラ〈Type:モリモリ〉
 ├斬リッ株
 ├ニャース
 └ジャン犬 

モリモリのキャラ?
ゲームを始めた時に最初に選べるお馴染みの3体。

キャラは1体30,000コイン。──日本円に換算すると3,000円で交換できるらしいので、試しに1体ずつ選んでみた。

「キリッ」
「ニャー」
「パーッ!」

切り株のモリ、斬りっ株。
ナース姿のセクシーな猫モリ、ニャース。
あと、ゲームでもお馴染みのジャン犬は、今回はパー犬……頭が投網になっている犬モリが当たった。

「シーッ、とりあえず外で話すか」

「キリッ」
「ニャー」
「パー」

うるさい。
あまり騒ぐと隣の部屋で寝ている歩茶が目を覚ましてしまう。

どうやら言葉が通じるようだ。
3体ともおとなしく外についてきた。

「えーと、どれどれ……」

──────────────
斬リッ株
レベル:1/5
スキル:1/6
ステータス:50
頭に斧が刺さっているモリ。
・水平斬り
──────────────

さすがにゲームの内容を忠実には再現されていないか。
名前、レベル、スキル、特徴は一緒だが、ゲームならスコアと表示されるところがステータス。真横に3個積むことで上下左右の他モリを巻き込んで消去できるモリだが、その部分が水平斬りに変更されている。

ニャースは癒し。
パー犬は拘束と書かれていた。

「キリリッ!」
「んなっ⁉」

いきなり斬リッ株に真横から体当たりされて、よろめいた。
味方じゃないのか、という疑念が起きる前に斬リッ株の行動が自分を守るためのものだったことに気づいた。

熊みたいな化け物。
小型の方で、さっきまで豆丸が立っていた位置を背後の方向からジャンプして、前の方へと通り抜けていった。もし斬リッ株に体当たりされてなかったら、完全に首を噛まれていた……。

頬が熱い。
あの一瞬で、化け物の爪かなにかに掻かれたかもしれない。

化け物が着地し、こちらを向く。
――が、飛びかかる前にパー犬の投網が絡んだ。
もたついた隙に、斬リッ株が斧を抜いてフルスイング。
結果、化け物は一撃で沈んだ。

「ニャァ~~~、ニャッ♡」
「あっ、ありがとうニャース」

頬がヒリヒリする。やば、やられた? ……と思ったら、ニャースのハートが飛んできて、スッと痛みが消えた。

え、回復魔法⁉




















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