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エンカウント:ユニコーン
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「のああああああああああっ!」
征矢は文字通り飛び上がって、激痛のもとを顧みた。
なにか、鋭く尖ったものが見えた。
(な、なんだ!?)
三人目の少女が、ふわりと身を起こして優雅に一礼してみせる。
「お客さま、従業員へのタッチは困りますう」
おお。
征矢は怒るより先に、ため息が出た。
牛娘も幼女も美少女だったけれど、この少女の可憐さはさらに図抜けている。
大理石から磨き出したような肌。小柄だけれどすんなりと長い手足。腰まである真っ白なサラサラの髪。
完全すぎてむしろ気味が悪いほどの美貌には、とろけるような微笑。
そしておでこから一本にょっきりと生えた、細く真っ直ぐな角。
(角! また角だ!)
どうやら征矢の尻たぶを突いたのは、この尖った角らしい。
着ているのはやはりさっきの子たちとおそろいのメイドドレス。
はっと我に返った征矢は、急いで疑惑を否定する。
「タッチはしていない! 誤解だ!」
一角の美少女はやけに悩ましく体をよじって言う。
「またまたぁ。当店従業員の純潔を穢すいけないお客さまは、わたしがお仕置きしちゃうんですから。もうっ、このド外道クソペド野郎さん!」
「すごいカワイイ口調ですごいひどいこと言う! だから誤解だ。寝てしまったのでスカートを直してやっただけだ」
一角少女はあごに指を当て、小首をかしげてみせる。仕草がいちいちラブリーである。
「ふうん。ほんとかしら?」
「本当だ! いきなり人の尻を刺すな」
征矢はまだズキズキしている右の尻たぶをさすった。厚いデニムに小さく穴が開いてしまっている。
にこやかに一角少女は応える。
「おけつでよかったですねぇ。次はその腐れキンタマ串刺しにしてネズミさんのゴハンにしちゃうんだから。うふふ」
「すごいカワイイ顔ですごいゲスいこと言うな君!」
白髪の美少女は乙女ちっくに両手を握り合わせ、夢見る面持ちになる。
「まあわたしも気持ちはまるでわからないってわけじゃないんですよ? 確かに愛くるしいヴァージンちゃんがいたら、腋の下やら陰部やら足の裏やら蒸れきった部分をクンカクンカぺろぺろしたくはなりますものね」
「いや、ならない。ていうか君、さっきから容姿と言動のギャップがひどすぎてなんか具合が悪くなってきた。軽く吐きそうだ」
「うふふ。みんなそう言いますぅ」
征矢はいよいよ本格的に頭痛がしてきた。
考えてみればこの街に降り立ってからというもの、普通の人間に一人も会っていない。
どうなっているんだ、この街は!?
征矢は文字通り飛び上がって、激痛のもとを顧みた。
なにか、鋭く尖ったものが見えた。
(な、なんだ!?)
三人目の少女が、ふわりと身を起こして優雅に一礼してみせる。
「お客さま、従業員へのタッチは困りますう」
おお。
征矢は怒るより先に、ため息が出た。
牛娘も幼女も美少女だったけれど、この少女の可憐さはさらに図抜けている。
大理石から磨き出したような肌。小柄だけれどすんなりと長い手足。腰まである真っ白なサラサラの髪。
完全すぎてむしろ気味が悪いほどの美貌には、とろけるような微笑。
そしておでこから一本にょっきりと生えた、細く真っ直ぐな角。
(角! また角だ!)
どうやら征矢の尻たぶを突いたのは、この尖った角らしい。
着ているのはやはりさっきの子たちとおそろいのメイドドレス。
はっと我に返った征矢は、急いで疑惑を否定する。
「タッチはしていない! 誤解だ!」
一角の美少女はやけに悩ましく体をよじって言う。
「またまたぁ。当店従業員の純潔を穢すいけないお客さまは、わたしがお仕置きしちゃうんですから。もうっ、このド外道クソペド野郎さん!」
「すごいカワイイ口調ですごいひどいこと言う! だから誤解だ。寝てしまったのでスカートを直してやっただけだ」
一角少女はあごに指を当て、小首をかしげてみせる。仕草がいちいちラブリーである。
「ふうん。ほんとかしら?」
「本当だ! いきなり人の尻を刺すな」
征矢はまだズキズキしている右の尻たぶをさすった。厚いデニムに小さく穴が開いてしまっている。
にこやかに一角少女は応える。
「おけつでよかったですねぇ。次はその腐れキンタマ串刺しにしてネズミさんのゴハンにしちゃうんだから。うふふ」
「すごいカワイイ顔ですごいゲスいこと言うな君!」
白髪の美少女は乙女ちっくに両手を握り合わせ、夢見る面持ちになる。
「まあわたしも気持ちはまるでわからないってわけじゃないんですよ? 確かに愛くるしいヴァージンちゃんがいたら、腋の下やら陰部やら足の裏やら蒸れきった部分をクンカクンカぺろぺろしたくはなりますものね」
「いや、ならない。ていうか君、さっきから容姿と言動のギャップがひどすぎてなんか具合が悪くなってきた。軽く吐きそうだ」
「うふふ。みんなそう言いますぅ」
征矢はいよいよ本格的に頭痛がしてきた。
考えてみればこの街に降り立ってからというもの、普通の人間に一人も会っていない。
どうなっているんだ、この街は!?
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