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第一部
第六話 パパさんたちが俺を気に入ってくれたようです
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午後の訓練は聖騎士隊・重装騎士隊・魔導騎士隊を二手に分けての模擬戦闘だ。とはいえ、俺はレックス殿と共に訓練の監督をしているので、観覧席から全体を見回すこととなる。
今までは傭兵隊の一員として戦っていたので、戦術や戦略といったものはからっきしだ。なので彼らの動きを見るのが俺の役目なのだが、ここで一人の来客があった。
弓兵のような装備の男性――年齢的にはレックス殿とそう変わらないであろう人物が隣に来て、同じように騎士たちの模擬戦闘を見学し始めた。
「モンタギュー、弓兵の訓練はどうした?」
「そっちは自主練だね。君が面白いことを始めたと聞いて見学に来たんだけど、こちらの彼は?」
「先日話したエリアス殿だ」
「どうも」
モンタギューという名のキャラクターは、名前だけだが月虹にも登場している。レックス殿と親しい様子からして、間違いなくリリエンソール公爵だろう。
会釈をした際によく見れば、ゲーム画面などでさんざん見つめたミシェルと同じ瑠璃色の目をしている。
「あぁ、勇者様か! いやはや、思っていたより若いねぇ……と、失礼。挨拶がまだだったね。私は聖王国の軍師をしているモンタギューだ」
「軍師殿という事は、なにか気がかりなことでも?」
「うん。さっきこっちにも知らせが来たんだけど、来週の森での討伐は騎士団だけでやるんだろ? だからどれくらい動けるか確認に。援護役として貸し出す弓兵隊や、魔導兵団に迷惑かけられると困るし」
「魔導兵団長はどうした?」
「ミシェルならお師匠様に会いに行ったよ。なんか聞きたいことがあるとかで」
二人の会話についていけない俺に理解できた言葉は、魔導兵団長・ミシェルの二つだ。推しがなんか出世してる。この二人と並んで軍のお偉いさんになっているなんて思いもしなかった。
それにしても、賢者である彼女が会いに行った師匠ということは魔導士の類だろう、いったいどのような人物が彼女に魔導を教えたのだろう?
「はぁ……あいかわらず魔導研究一筋なのか。お互い苦労するな」
「うちの娘はお見合いに出てくれるだけまだマシだよ。そっちは君に勝たないと会ってもくれないんだろう?」
「私に勝った男でなければ嫌だなどと言い張るのでな」
「そこのエリアス殿ならいけるんじゃない? 悪竜倒したんだし」
「えっ、俺ですか?」
こちらのミシェルは魔導研究に勤しむお嬢さんらしい。魔導兵団長職と並行して、魔導研究をしているとは徹夜もいける口か。しかしお肌によくないから、あまり夜更かしはしないでほしい。
お父様たちはまだまだ話を続けて、というか脱線して娘の結婚について話し始めてしまったのだが、何故かここで俺の名前が挙がる。モンタギュー殿曰く、悪竜倒せたんだから騎士団長くらい倒せるらしいが流石にそれはまずい。
「うむ。私としても、エリアス殿が婿に来てくれるのならば大歓迎なのだが、あれのほうがな」
「俺、メレディスさんに滅茶苦茶嫌われてます」
「あっ……うん。そうだよね」
しかし先ほどまでのことがあってかレックス殿も俺も、メレディスの俺に対する印象が最悪であることを理解しているので素直に伝えると、さすがに彼女のこともよく知っているのか察してくれた。レックス殿も心なしか落ち込んでいる。
「お前のところこそどうだ? リリエンソール公爵家に足りないものといえば武勇だといつも言っていただろう?」
「向こう暫くはお見合いの予定が結構入ってるんだよね。さすがに今更断れないよ」
「たしか月末にデルフィニウム侯爵家の者との見合いとか言っていたな」
「うん。あそこの家は少しきな臭いから、様子見を兼ねてね。流石に大事な一人娘の婿を狸の家から貰うつもりはないよ」
デルフィニウム侯爵とか嫌な名前が出てきたぞ。そこって確か原作で出てきた裏切り爺の家じゃん。モンタギュー殿を陥れた片割れだよ。
ダメダメそんなところに大事な推しを嫁がせられるか! と思っていたら何か探りを入れるためとは……さすがリリエンソール公爵、抜かりない。しかし、今から探りを入れているのに、原作ではなんで出し抜かれてしまったのだろう。
「そうだ、エリアス殿。さっき話していた見合いは、中央通りにあるレストランでするんだ。暇だったら当日、近くを適当に歩いていてよ。うちの娘すっごく可愛いから、一目見ればわかるし」
「それを言ったらメレディスも可愛いぞ。少しお転婆が過ぎるが可愛い」
(なんでこの人たち、揃って俺に自分の娘を勧めてくるんだろう? でも、ミシェルを確実に拝めるかもしれないなら行ってみようかな)
なんだかお膳立てをしてくれているようだが、俺の推しはミシェルだから問題ない。彼ではなく彼女になっているが、お近づきになりたいことには変わらないのだから、どんなコネでもあれば使う。
それにほら、これってお父様公認貰ったわけじゃん。悪竜倒したおまけで良いもん貰った。いつの間に俺の幸運カンストしたんだ、ってこないだの村での賊退治でレベルすら上がっていないんだから7のままだ。下級職倒しても経験値たいして入らないからな。仕方ない。
そうこうしているうちに模擬戦も終わり、あんな話をしていながらもしっかりと見ていた二人は指揮の改善点などを伝えている。
流石に俺は全員を見れたわけじゃないので、目についた気になる相手にだけ動き方のアドバイスをした。実戦してくれるかは判らない。俺嫌われてるし。
しかし、何日か経つと腕を磨きたいと手解きを望んでくる騎士が増え始めた。レックス殿の真意が彼らにも届いたのだろう。
結局、ミシェルは原作のように俺の目の前に現れなかったのだが、今までの態度を謝りに来てくれたメレディスとも和解できたし、彼女との剣の稽古も日課となり日々が過ぎていく。
そんな感じで一週間の訓練が終わったのち、騎士団は森の魔物討伐へと出発した。
今までは傭兵隊の一員として戦っていたので、戦術や戦略といったものはからっきしだ。なので彼らの動きを見るのが俺の役目なのだが、ここで一人の来客があった。
弓兵のような装備の男性――年齢的にはレックス殿とそう変わらないであろう人物が隣に来て、同じように騎士たちの模擬戦闘を見学し始めた。
「モンタギュー、弓兵の訓練はどうした?」
「そっちは自主練だね。君が面白いことを始めたと聞いて見学に来たんだけど、こちらの彼は?」
「先日話したエリアス殿だ」
「どうも」
モンタギューという名のキャラクターは、名前だけだが月虹にも登場している。レックス殿と親しい様子からして、間違いなくリリエンソール公爵だろう。
会釈をした際によく見れば、ゲーム画面などでさんざん見つめたミシェルと同じ瑠璃色の目をしている。
「あぁ、勇者様か! いやはや、思っていたより若いねぇ……と、失礼。挨拶がまだだったね。私は聖王国の軍師をしているモンタギューだ」
「軍師殿という事は、なにか気がかりなことでも?」
「うん。さっきこっちにも知らせが来たんだけど、来週の森での討伐は騎士団だけでやるんだろ? だからどれくらい動けるか確認に。援護役として貸し出す弓兵隊や、魔導兵団に迷惑かけられると困るし」
「魔導兵団長はどうした?」
「ミシェルならお師匠様に会いに行ったよ。なんか聞きたいことがあるとかで」
二人の会話についていけない俺に理解できた言葉は、魔導兵団長・ミシェルの二つだ。推しがなんか出世してる。この二人と並んで軍のお偉いさんになっているなんて思いもしなかった。
それにしても、賢者である彼女が会いに行った師匠ということは魔導士の類だろう、いったいどのような人物が彼女に魔導を教えたのだろう?
「はぁ……あいかわらず魔導研究一筋なのか。お互い苦労するな」
「うちの娘はお見合いに出てくれるだけまだマシだよ。そっちは君に勝たないと会ってもくれないんだろう?」
「私に勝った男でなければ嫌だなどと言い張るのでな」
「そこのエリアス殿ならいけるんじゃない? 悪竜倒したんだし」
「えっ、俺ですか?」
こちらのミシェルは魔導研究に勤しむお嬢さんらしい。魔導兵団長職と並行して、魔導研究をしているとは徹夜もいける口か。しかしお肌によくないから、あまり夜更かしはしないでほしい。
お父様たちはまだまだ話を続けて、というか脱線して娘の結婚について話し始めてしまったのだが、何故かここで俺の名前が挙がる。モンタギュー殿曰く、悪竜倒せたんだから騎士団長くらい倒せるらしいが流石にそれはまずい。
「うむ。私としても、エリアス殿が婿に来てくれるのならば大歓迎なのだが、あれのほうがな」
「俺、メレディスさんに滅茶苦茶嫌われてます」
「あっ……うん。そうだよね」
しかし先ほどまでのことがあってかレックス殿も俺も、メレディスの俺に対する印象が最悪であることを理解しているので素直に伝えると、さすがに彼女のこともよく知っているのか察してくれた。レックス殿も心なしか落ち込んでいる。
「お前のところこそどうだ? リリエンソール公爵家に足りないものといえば武勇だといつも言っていただろう?」
「向こう暫くはお見合いの予定が結構入ってるんだよね。さすがに今更断れないよ」
「たしか月末にデルフィニウム侯爵家の者との見合いとか言っていたな」
「うん。あそこの家は少しきな臭いから、様子見を兼ねてね。流石に大事な一人娘の婿を狸の家から貰うつもりはないよ」
デルフィニウム侯爵とか嫌な名前が出てきたぞ。そこって確か原作で出てきた裏切り爺の家じゃん。モンタギュー殿を陥れた片割れだよ。
ダメダメそんなところに大事な推しを嫁がせられるか! と思っていたら何か探りを入れるためとは……さすがリリエンソール公爵、抜かりない。しかし、今から探りを入れているのに、原作ではなんで出し抜かれてしまったのだろう。
「そうだ、エリアス殿。さっき話していた見合いは、中央通りにあるレストランでするんだ。暇だったら当日、近くを適当に歩いていてよ。うちの娘すっごく可愛いから、一目見ればわかるし」
「それを言ったらメレディスも可愛いぞ。少しお転婆が過ぎるが可愛い」
(なんでこの人たち、揃って俺に自分の娘を勧めてくるんだろう? でも、ミシェルを確実に拝めるかもしれないなら行ってみようかな)
なんだかお膳立てをしてくれているようだが、俺の推しはミシェルだから問題ない。彼ではなく彼女になっているが、お近づきになりたいことには変わらないのだから、どんなコネでもあれば使う。
それにほら、これってお父様公認貰ったわけじゃん。悪竜倒したおまけで良いもん貰った。いつの間に俺の幸運カンストしたんだ、ってこないだの村での賊退治でレベルすら上がっていないんだから7のままだ。下級職倒しても経験値たいして入らないからな。仕方ない。
そうこうしているうちに模擬戦も終わり、あんな話をしていながらもしっかりと見ていた二人は指揮の改善点などを伝えている。
流石に俺は全員を見れたわけじゃないので、目についた気になる相手にだけ動き方のアドバイスをした。実戦してくれるかは判らない。俺嫌われてるし。
しかし、何日か経つと腕を磨きたいと手解きを望んでくる騎士が増え始めた。レックス殿の真意が彼らにも届いたのだろう。
結局、ミシェルは原作のように俺の目の前に現れなかったのだが、今までの態度を謝りに来てくれたメレディスとも和解できたし、彼女との剣の稽古も日課となり日々が過ぎていく。
そんな感じで一週間の訓練が終わったのち、騎士団は森の魔物討伐へと出発した。
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