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バカな愛人
しおりを挟むあまりにも予想していなかった答えに、変な声が出てしまった。ロザンナは何を言っているのだろう? 私と結婚したからといって、ルーカス様が侯爵になれるわけでもないし、私と離縁したならルーカス様はこの侯爵家とは無関係の人間。
それなのに、この侯爵家を手に入れるとは、どういう事なのでしょう?
「セリアさんのお父様は、病で先は長くないのでしょう? それなら時期当主は、侯爵を継ぐルーカス様になりますよね? この邸には私達が住むから、あなた達は出て行ってちょうだい。」
他人に、しかもただの愛人に、お父様の先が長くないと言われ、怒りが込み上げてきた。
ちょうどその時、ルーカス様がお戻りになったようで離れの外が騒がしくなった。
「ルーカス様がお戻りになられたみたいなので、3人でお話しましょうか。」
会える事が嬉しいのか、味方が増える事が嬉しいのか、ロザンナの顔が明らかに変わった。
単純……こういう所が、ルーカス様に気に入られたんでしょうね。
私はルーカス様に感情を見せたことがない。というより、なんの感情も抱いていなかった。
息子の父親……ただそれだけ。私にも反省すべき点はあるけれど、結婚前からの愛人とずっと続いていて、その愛人が侯爵家を乗っ取ると宣言したようなものなのだから、それとこれとは話は別。
愛人の話だけでは埒が明かないと思い、ルーカス様をこちらへお呼びするよう使用人に伝えた。
話を聞いたルーカス様が、慌ててこちらへ向かって来る音が聞こえて来た。この感じからすると、今日の事はロザンナが勝手にやった事みたい。
バンッ
ものすごく慌てているルーカス様は、ノックもせずに応接室のドアを勢いよく開けた。
「ハァハァ……お前……何をし……てるんだ!?」
息を切らせながら、いつも余裕そうな顔が引きつっているように見える。
「おかえりなさいませ、旦那様。で、これはどういう事なのか説明していただけますか?」
「ルーカス様! ルーカス様がセリアさんに気を使っていつまでも別れられないから、私がハッキリ言っておきました!」
ロザンナは悪びれもせず、ニコニコしながらルーカスに報告をした。
「お前は……なんて事を!! セリア! これは違うんだ! 私は君と別れたいなどと思ってはいない!」
ルーカスはソファーに座るロザンナの隣ではなく、セリアの隣の椅子に座った。
どうやらルーカス様は、そこまでバカではないようですね。
「ルーカス様? どうしてそんなことを言うんですか!? いつも別れたいとおっしゃっていたじゃないですか!?」
ルーカスが必死にフォローしようとするも、ロザンナは口を挟んでくる。
「お前は黙ってろッ!!!」
ロザンナはルーカスに怒鳴られた事がないのか、泣きそうな顔でルーカスを見つめる。
「旦那様、ハッキリさせたいことがあるのでお聞きします。旦那様は、このスペクター侯爵家を乗っ取ろうとなさっていたのですか?」
2,009
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