Joker

海子

文字の大きさ
29 / 83
9.One coin toy

しおりを挟む
 誰もが、思い知った。 
この気の重い旅を、優しい笑顔と、細やかな気配りで支えてくれていたのが、誰だったのかということを。 
どれほど、その優しさに勇気づけられて、励まされていたのか、ということを。
けれども、レティシアの瞳に、以前のような微笑みは戻らなかった。
レティシアは、目を伏せて、必要なこと以外、誰とも何も、話すことはなかった。 



 アンジェラの体調を考えると、野宿という選択肢はなかった。 
まだ、日は高かったが、リックたちは山道を逸れて、近くの街ラッセルに入った。 
馬上のアンジェラは、蒼い顔をしていた。
ラッセルの中心部の、割合大きなタヴァンに部屋を取ると、すぐにフィリップが、アンジェラを馬から降ろし、抱きかかえて部屋へ上がった。 
「すぐ、お医者様を呼んで来ます」 
レティシアは、急いでタヴァンの者に、医者の住所を聞き、連れて来た。 
診察した医者は、アンジェラに絶対安静を言い渡した。
心臓に、いつ何があってもおかしくないと、言われた。
アンジェラが、このまま旅を続けられるか問うと、言語道断だと言われた。
医者の帰った後、どうしてもウッドフィールドに向かうと取り乱すアンジェラを、フィリップとレティシアで、なだめるものの、中々落ち着かなかった。 
アンジェラを世話するレティシアは、アルカンスィエルにいる頃から、フィリップを想うアンジェラの気持に気付いていた。
だから、フィリップに席をはずしてもらって、一度本心を吐き出した方が、アンジェラが落ち着けるような気がして、さりげなくそうしてもらった。 



 「レティシア、私だけ、ここに置いて行ってほしいって、もう一度リックに頼んでくれない?」 
レティシアとふたりになると、アンジェラはすぐにそう訴えて来た。
ベッドに横たわったアンジェラの瞳は、真っ赤だった。 
「アンジェラ様・・・」 
「私がいなければ、今頃はもうウッドフィールドについていたわ。そうでしょう?」
「大丈夫、リックとハリーは、きっとウッドフィールドまで、無事に送り届けてくれます。これまでだって、何度も私たちを守ってくれたではないですか」 
「でも・・・」
「今は、とにかくゆっくりお休みになることです。お食事は、召し上がれそうですか?」 
レティシアは、そう言って、毛布をかけ直した。 
「いいえ・・・、何もいらないわ」 
「まだ、日が高いようなので、どこかで材料を買ってきましょう。ここのタヴァンは自炊場があるようなので、スープでもお作りしましょうね」 
レティシアは、心をこめて作るつもりだった。
部屋を出ると、レティシアの頬にも涙が伝った。 
出来ることなら、ウッドフィールドまで、お世話して差し上げたかった。
レティシアは心から、そう思った。



 レティシアは、近くの市場で野菜と肉を手に入れて、タヴァンの一階にある自炊場で、アンジェラのために、スープを作った。 
自炊場から、部屋へ上がる時、一階の待合のようなところで、地図を見ながら、話し合っているリックとハリーの姿が眼に入った。 
「レティシア」
レティシアの姿を認めたハリーが、呼び止めた。
「アンジェラのことは、フィリップから聞いた。明日から、旅を続けるのが、難しいかもしれんな」
「ええ。でも、アンジェラ様は、どうしてもウッドフィールドへ向かうって・・・」 
「フィリップのためなんだろう」 
「ハリー、気付いて・・・?」 
レティシアは驚いた。
「本当の兄妹じゃないことは、アンジェラから聞いた。フィリップを見つめる瞳は、恋する乙女の眼差しだな」 
「ハリー・・・」
「可哀そうだ。俺は、たまらんよ。十四歳だろう?楽しいことが、たくさんある歳じゃないか」 
ハリーの眼は、赤かった。 
レティシアは、胸が詰まって、何も答えられなかった。 
リックも、黙ったままだった。
「私、お食事を届けてきます」 
「レティシア」 
俯いたまま、階段を上がりかけたレティシアを、ハリーが呼び止めた。
「アンジェラの食事が済んだら、リックとふたりで外へ出ておいで。みんなには、うまく言っておいてやる。少しは、息抜きも必要だぞ」
「心配してくれてありがとう、ハリー、リック。でも、私のことはいいの。いつも本当にありがとう」 
レティシアは、食事を乗せた盆を持った反対の手で、ハリーの手を握った。
別れの言葉を、言う訳にはいかなかった。 
だから、レティシアは、その言葉に、これまでの感謝の想いを、全て込めた。
リックは、その言葉を聞いて、レティシアは今晩去るのだと、察した。
「レティシア、リックと行っておいで」 
ハリーは、そのレティシアを諭すように言った。
その様子を見て、リックは、ハリーも薄々何か感づいているのかもしれないと、思った。
「ハリー、でも、私・・・」 
アンジェラの食事が済めば、レティシアは、発つつもりだった。
「俺とメシじゃ、不満か?」 
リックが、冗談めかして会話に割り込んできた。 
「そうだ、無愛想で口は悪いが、リックは中々いい男だぞ。俺が保障してやろう」 
「それは、褒めているのか?」
レティシアは、みんなが、自分のことを心配してくれているのが、よく分かった。
気持ちがわかるだけに、レティシアはどうしても断り切れなかった。



 俯き加減で、レティシアはリックの後ろを付いて歩いた。 
日は落ちかけていたが、まだ明るかった。 
本当なら、まだ日の高いうちに、発ってしまいたかった。 
この分だと、夜に出発することになりそうだった。 
女ひとりで、夜中に出発することは、間違っても安全だとは言えなかったが、レティシアは、今夜中に発つつもりだった。 
でないと、決心が鈍ってしまいそうで、怖かった。 
前を歩く、リックの大きな背中を見つめて、レティシアは、リックに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。 
本当なら、気晴らしに、ひとりでお酒を飲みに出かけるつもりだったのかもしれない。 
この前の時は、思いがけずアンヌ様がついて行かれて、楽しめなかったようだった。 
そして今日は、私。
「お前、酒は飲めるのか?」 
そんなレティシアの心中など、気にする様子もなく、後ろを振り返ったリックは、そう尋ねて来た。
「お酒?さあ、どうでしょうか。いただいたことがないので、わかりません」 
「飲んだことがない?」 
リックは、心底驚いたような顔をした。 
「おかしいですか?」 
「そうだな。俺が、フィリップの歳には、酒に酔って、二階から飛び降りて、一週間ほど足が動かなくなったことがあったが」 
「まあ、どうしてそんなことを?」
その行動は、レティシアの理解を超えていた。
「度胸試しみたいなもんさ。俺も若かったってことかな」 
リックは、肩をすくめてみせた。 



 ラッセルは、それなりに大きな街だった。 
酒が飲めそうな店はすぐ眼についたが、女を連れて出入りできそうな店ではなかった。 
どうあっても、先日の、アンヌの二の舞は、避けたかった。
リックは、何件か覗いた後、レティシアを連れて入れそうな店を見つけた。 
表通りからは外れていて、さほど広くはなかったが、中は小ざっぱりとしていた。 
地元の常連客が入りそうな店で、客は四人組の男と、中年の夫婦らしい男女がいるだけだった。 
初老の夫婦がやっていて、料理は出せるか聞くと、簡単な物なら出せるということで、リックはその店に決めた。
店に入って、リックは、まず強めのビールを注文した。 
お前はと、レティシアに尋ねると、私も同じものを、と言いだしたので、慌てて止めに入った。 
代わりに、軽いものを、半分量で注文した。 
アンヌの時と、同じことを繰り返すわけには、いかなかった。 
どうやらあの一件は、俺にとって、思わぬ精神的な痛手になったらしいと、リックは気付いた。 
「ごめんなさい、リック。迷惑だったでしょう」 
注文が終わると、直ぐにレティシアは、そう言った。 
「本当に迷惑なら、断ってるさ」 
「ごめんなさい」 
「今夜、謝るのは、止めにしないか?俺に謝るのは、今日何度めだ?」 
「ごめんな・・・、あ」
言いかけて、リックと眼があった。
二人とも、思わず笑った。 
けれども、レティシアは、ふと、右手をみつめた。 
今、リックと笑いあったことが、急に胸を締め付けて来た。
昨夜の、ダニエルの、あの眼。 
突き落とした、この手。 
今、昨夜のことなんて、何もなかったように、笑っている私!
「どうした?気分でも悪いのか?」 
リックの声で、レティシアは我に返った。 
「レティシア?」 
表情の強張ったレティシアを見つめるリックの眼を、レティシアは静かに見返した。 

今夜で最後よ、レティシア。 
今夜だけよ。 
今夜中に、みんなの前から、姿を消すのよ。
リックにも、もう二度と会わない。 
会えない。
いつも守ってくれた人。 
ブリストンで、私たちを助け出し、盗賊から守ってくれた。 
左肩の烙印のことも、みんなに黙っていてくれた。
無愛想だけど、時々とても意地悪だけど、でも、本当はとても優しい人。
リックがブリストンへ帰ってから、一度だけでもいいから、思い出してほしい。 
ああ、レティシア、そんな女もいたな、って。
左肩に醜い傷跡を持つ、とんでもない女だったけど、そう悪い女でもなかった、って。
明日からは、ひとりで、消えない罪と、過去と向き合って生きるから、今夜だけ。
リックの前で、当たり前の、どこにでもいる二十歳の女として、過ごしたいの。

「大丈夫です。少し疲れていたのかもしれません」 
レティシアは、笑顔を浮かべた。
「今日、ほとんど食べてないだろう?」
「少し、お腹がすきました」 
本当は、あまり食欲がなかった。 
けれども、別れの前に、リックとの時間を楽しみたかった。
運ばれてきた、煮込み料理と揚げ物を、レティシアが取り分けようとしたら、リックに、先にフォークとナイフを取られてしまった。
「リック、私がしますから、フォークとナイフを貸してください」 
驚いて、レティシアが手を出したが、リックは聞き入れなかった。
鼻歌を歌いながら、雑に取り分けると、リックは、たっぷりとレティシアの皿に盛った。 
リックは、上機嫌だった。
それを見て、レティシアは、ほっとした。 
料理の味は、悪くなかった。 
ただ、ビールというものの美味しさは、レティシアにはよくわからなかった。
リックは、随分腹が減っていたと見えて、レティシアが笑いだしたくなるくらいの量を、あっさり平らげた。 
「食欲旺盛ですのね」 
「そうか?男だったら、これぐらいは食うだろう」 
「フィリップ様は、こんなに召し上がりませんけど・・・」 
「じゃあ、まだ一人前じゃないっていうことだ」 
「リックは、ブリストンに、その・・・、女はいませんの?」
レティシアは、可笑しそうに笑みを浮かべて、女、という部分だけ、ことさら強調した。 
盗賊に襲われた夜、リックがレティシアに、男はいないのかと、尋ねたことへの、反対質問らしかった。
「痛いところをつくな」 
「では、ブリストンに家族はいませんの?」 
「俺の両親は、もう随分前に死んだ。親父が死んで、十二の時に、引き取られたのが、今働いている、マクファーレン商会の経営者の家で、その家の息子がフランクだ。フランクの上に、もうひとり、ジェフリーっていうのがいて、今はジェフリーが、マクファーレン商会の経営者だ。その強欲なジェフリーに、俺は、日々こきつかわれてる。こんな話、楽しいか?」 
「ええ、とても」 
 実際、レティシアの瞳は、輝いていた。
「変わってる」 
「私の知らない世界のお話を聞くのは、とても楽しいことですわ。続きはありませんの?」
「マクファーレンの家には、ジェフリーと、フランクの両親と、セルマっていう口やかましいばあさんがいる。セルマは、俺が何をしても、小言を飛ばす。ナイフの使い方が悪い、口のきき方が悪い。マクファーレンの家にいる時は、始終だ。マクファーレンの家を出て、一番ほっとしたのは、セルマの小言を聞かなくて良くなったことだ」 
「では、今のあなたを見たら、きっと、おばあさまのお小言が飛んでくるのでしょうね」 
リックは、足を組みながら、とても行儀がいいとは言えないくつろいだ姿勢で、ビールを口にしていた。
「間違いない」 
「でも、楽しそう。家族がいるのは、うらやましいことですわ。私にも、両親はありません。物心ついた時には、もういませんでした。でも、父親代わりのような人がいて、私がとても傷ついていた時に、慰めて、いたわってくれました。とても、お酒の好きな人で、お店で酔いつぶれてしまって、よく迎えに行くことがありました。少し前に、亡くなってしまいましたが」 
リックは、レティシアが、ジャンのことを話しているのだろうと思った。
「少し、ピエールに似ていて、私、その父親代わりの人に、何の恩返しもできなかったものですから、ピエールを大事にできたらと思っていたのですが・・・」 
「残念だったな」 
「ええ、心残りですわ。あら、こんな話をするつもりは、ありませんでしたのに。こんな話、退屈でしょう?」 
「いや、そうでもない」 
リックの頭には、ケヴィンの手紙の内容がよぎっていた。
「リック、家族があるということは、本当に幸せなことですわ。待っていてくれる人がいるなんて、素敵なことだと思います。リックが、この仕事を無事に終えて、早くブリストンの家族の元へ帰れるように、私、お祈りしていますわね」 
そういうレティシアの微笑みは、穏やかではあったが、リックは、その瞳に一抹の寂しさを、感じ取った。 

  
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

捨てられた王妃は情熱王子に攫われて

きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。 貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?  猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。  疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り―― ざまあ系の物語です。

処理中です...