騎士団長のお抱え薬師

衣更月

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お祭り騒ぎ

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 ダイナマイトツリーに通常の道具では歯が立たない。 
 ならばと、領内にある鉄鉱山の町ストロワまで馬を飛ばし、鍛冶職人に発注をかけた道具が、たった2日で納品されたのには驚いた。
 一旦中止されていた作業が再開される頃には、ダイナマイトツリーを一目見ようと集まった野次馬で、お祭り騒ぎが完成していた。
 活気ある呼び込みの声に、楽し気な笑い声。
 そよぐ風に香るのは炭火で焼く串焼き肉とソーセージの匂いだ。
 シンプルな炭火焼きの肉屋台が多いけど、ピタパンを使った具沢山サンドもある。中でも圧倒的に多いのが腸詰肉の屋台だ。
 見慣れたソーセージの屋台が目立つ中、サラミをメインに使ったキッシュの屋台やブラッドソーセージ専門の屋台もある。
 ブラッドソーセージとは血と脂で作られた黒ずんだソーセージで、獣人の中でも男性が好んで食べる。ぱっと見は血生臭そうだけど、実際はそこまで血生臭くない。ほんのり鉄臭いというか、独特な風味で、濃厚なレバーと例える人もいる。触感はもそもそして、弾ける肉汁はない。
 ちなみに、ハノンでは見たこともなく、試しにひと口食べて、嘔吐えづきそうになったトラウマ級の食べ物だ。
 内臓系が苦手な人は食べないほうがいい。
 それでもブラッドソーセージは不動の人気を博している。
 エールの屋台に出来た長蛇の列は、エールを買った後、その半分ほどがブラッドソーセージの屋台に掻っ攫われているのだ。
 恐るべしブラッドソーセージ人気。
 信じられないけど…。
「野郎ども!着込んだか!?」
 野太い雄叫びに目を向ければ、各々道具を手にした大工たちが「おー!」と叫びを返していた。
 彼らが着ているのは、騎士団が貸し出したギャンベゾンと鎖帷子だ。
 ダイナマイトツリーの棘は鋭利で、掠っただけでも肉が裂ける。うっかり棘の上に倒れ込もうものなら大惨事だ。
 念には念を入れて、できる限りの防御をして慎重に作業を行う。
 使う道具は特注だけあって大きい。形も微妙に異なり、厚みと鋭さを増している。ハンマー1つとっても、私では支えることさえできないような重量級となっている。
「作業は慎重に、丁寧に進めろ!時間を気にするな!怪我を負ったら、構わず離脱しろ!」
「おー!」
 物々しい装備で、大工たちが皮ムキに取り掛かる。
 巨大ケレン棒を、樹皮の下に挿し込み、ハンマーで打ち込んでいく。
 カーン!カーン!カーン!
 2人1組の大男たちが交互にハンマーを振るう度、歓声が上がる。中には、「あんたー!根性みせなー!」と檄が飛ぶので、身内の観客もいるらしい。
 飛び交う声援には騎士団の摸擬戦とはまた違った熱が籠っている。
 巨木に立ち向かう大工たちの作業は見応え十分だ。
「おお~皮がめくれてきた」
 すごい、と私も拍手を送る。
「楽しんでるようだな」
 声に振り返れば、ジャレッド団長がヴェンティの手綱を引いて、畑の中に入って来ていた。
 今日は兜も胸甲もないので、”魔女の森”の調査には加わらなかったようだ。
 急いで立ち上がり、ぺこりと頭を下げる。
「ジャレッド団長、お疲れ様です」
「ああ。イヴも悪いな。アレの棘は厄介だからな」
 ジャレッド団長が顎をしゃくるようにしてダイナマイトツリーを見る。
 鎖帷子を装備していても、板金鎧プレートアーマーを着こんでいるわけじゃない。どうしても無防備な場所はある。
 顔や手足だ。
 作業の邪魔になるからと、兜も手袋グローブも着用していない。
 胸甲もなし。
 獣人は動きを妨げる鎧自体を忌避する傾向にあるらしい。
 見ている方としては、せめて胸だけでも頑丈な鎧で守ってほしいのだけど…。
 そんな思いでハラハラ見守りつつ、私は魔力温存のため、出番を制限している。
 掠り傷程度なら傷薬で対処するように薬瓶を手渡してある。ガーゼや包帯は、木材組合連合会の方で用意しもらった。
 私の出番とは、縫合が必要なくらい深い傷だ。
 初日、ダイナマイトツリーを森から引っ張り出した時は5名治癒した。
「樹皮を剥がし終わるまでですよね?」
「ああ。イヴと入れ違いに、医師が1名派遣される」
 樹皮さえなければ、比較的安全になるとは思うけど、大きさが大きさだ。少し転がっただけでも惨事になるから油断できない。
「今日は誰と来たんだ?トーマスは森に入るのを見たが…」
「あそこにいますよ」
 伐採隊の隊長を任されていたエルウッドだ。
 その膂力を見込まれ、助っ人としてハンマーを振り上げている。
「このテントから動かない。というのが、エルウッドとの約束事です」
 テントと言っても野営に使うような三角形のテントではない。四方に棒を立て、上に防水布を張った日除けテントになる。
 そのテントの中には、丸椅子が3脚と小さなテーブルが1台置かれる。
 テーブルの上には、ルタからの差し入れのレピオスの実が入った巾着と、エルウッドが屋台で買ってきた果実水がある。
 ありがたいことだ。
「ジャレッド団長は巡回ですか?」
「ああ。今日から調査の方は冒険者ギルドに依頼することになった。第3も調査から撤収している」
 ジャレッド団長たちが手を引いたということは、他に魔樹も、最深部に棲息する魔物もいなかったということだ。
 またいつ迷い出るかは分からないので、”魔女の森”に頻繁に入る冒険者ギルドに依頼したのだろう。討伐のついでに見回ってくれ、と。
「しかし、キースが言った通りになったな」
 と、ジャレッド団長は食欲のそそる微風を吸い込み、白い煙の立つ屋台に目を向ける。
 少しずつ、賑やかさが広がっている。
 ダンスに興じる若者や、力自慢大会で騒ぐ大人こそいないが、歌うように声援を送る集団や肩を組んで酒を煽る集団が目に付く。
 祭りの色合いが刻一刻と濃くなっている気がする。
 新たにプラリーヌとプレッツェルの屋台が合流したのも見逃せない。
 プラリーヌはナッツをキャラメルでコーティングしたお菓子だ。
 カスティーロではアーモンドが主流で、味もオレンジやクローブ、シナモン、岩塩と豊富だ。
 一方、ハノンではアーモンドに限らずナッツを糖衣がけする。好みでシナモンを振るくらいだけど、これが美味しいのだ。
 プラリーヌは後でこっそり買おうと、少しばかり心が浮かれる。
 プレッツエルはリボンみたいな見た目の堅パンになる。
 塩味が効いていたり、チーズがまぶしていたりと、味と歯応えからエールやワインのお供に喜ばれる。
 子供の頃、祖父から塩味のプレッツエルをひとかけら貰ったけど、美味しいとは思わなかった。
 噂では、王都には砂糖や蜂蜜を使った甘いプレッツェルがあるらしい。
 あくまで噂だけど、甘いプレッツェルの方が絶対に美味しいはず。
 こっちのプレッツェルは、どうやらハノンと同じようだ。女性客が多いみたいだけど、誰もがエールを手に、プレッツェルの屋台に並んでいる。
 屋台の他には、いつの間にか何人かの絵描きがイーゼルを立て、ダイナマイトツリーを描いている。中には、ダイナマイトツリーを背景に、カップルや夫婦の絵を描いている絵描きもいる。
 ああいう絵描きは、貴族お抱えの画家とは違って、色彩豊かな絵の具は使わず木炭の濃淡だけで仕上げる。その為に安価で、時間もかからない。粗描スケッチより丁寧に描かれるので、何かしらの記念日に依頼する人は多い。
「幌馬車の運行まで始まってるな。商人ギルドが噛んでそうだ」
 カスティーロの手前まで広がる広大な麦畑の中を、生成り色の帆を張った馬車がゆったりと走っている。
 焼き畑の白煙を避けるようにして走る幌馬車は、なんとも長閑な絵になる。
 馬車に乗れなかった人は、各々歩く。その徒歩の客を狙い定めたように、点々と屋台が立っているのが見える。
 商魂逞しい。
「これが王…帝都まで続くんですか?」
「だろうな。ダイナマイトツリーを運ぶにしても3等分にすると決まった。重量で牛の歩みでの行軍となる。野営する場所は決まっているから、商売人としては旨味ある馬鹿騒ぎになるだろう」
「3等分……」
 あの巨木を?
 たった3等分?
「馬は公爵家から出す。アレを森から引っ張り出した時と同じ混血馬だ。流石に帝都まで騎士団の風魔導師総出で…とはいかないからな。頭数を増やして対応することになっている」
 ヴェンティと同じく魔馬の血を引く大型馬が何頭も連なって巨木を牽くとなると、壮観な眺めに違いない。
「きっと各地で話題になりますね」
「ああ。バカ騒ぎの行軍だ」
 ジャレッド団長は嘆息して、「それでイヴ」と私を見下ろす。
「同行する者たちに幾つか薬を持たせたい。その薬を調薬してくれ」
 道中、体調を崩す人は出てくる。
 今でも朝夕は1枚羽織らなきゃならないくらい寒いし、そよぐ風や陽射しも秋めいている。
 ここから季節は一気に変わる。それこそ、突然に木枯らしが吹いておかしくはない。
 ハノンがそうだから、お隣のクロムウェル領も変わらないはずだ。
 遅くともあと半月で息が白くなる。雪が降りだすまでひと月半もかからないだろう。白魔茸の影響を考えると、もっと早く雪がちらつくかもしれない。
 野営で過ごすなら、寒さと疲労の蓄積に病が入り込む。
「感冒薬を中心にしたものと、疲労回復と体を温めるようなハーブティー缶も用意しておきます」
 野営の経験はないけど、お茶は簡単だからと、良い茶葉を用意する冒険者はそれなりにいると聞く。
 食事が質素で不味い分、お茶だけでも…ということらしい。
 なので、きっとポットやカップ、こし器は持参するはずだ。
「他に何かありますか?私、野営の経験がないのでパッと思いつかないんですが」
「そうだな。傷薬はあった方がいい。あの樹皮も一緒に献上することになっているから、到着まで誰かしら怪我を負いそうだ」
 大きな火バサミを器用に使い、めくれた樹皮の棘を内側に巻いている大工に目を向ける。
 危険な作業に腰が引けている。
 適当な長さの樹皮ロールを作ったら、解けないようにロープで縛る。それから真ん中に棒を差し込み、2人がかりで荷台に積み込む。荷車は帝都に出発する前に公爵家の大型馬に繋がれることになっているので、農夫たちが農耕馬に牽かせている荷車とは大きさが違う。そのため、四苦八苦しながら樹皮ロールを積み込んでいる。
 積み込み作業が終わると、私が手渡していた傷薬を塗っているので、運ぶだけで危険なのが分かる。
「あの、帝都に行く人数は多いんですか?」
「今のところ馬車が7台。馭者が交代要員を含め12名だ。それから馬の補助として、風属性の魔導師が第1騎士団から3名随行する。あとは公爵家の代理人が1名。料理人が1名。森林組合連合会から大工が5名。計22名は確定している。あの樹皮の量によっては、馬車が1台追加される。あとは冒険者ギルドから護衛が派遣されるが、それは調整中だ」
「30名前後くらいになりそうですね」
「そうだな。30から35くらいになるか」
「それにしても料理人も同行するんですね」
「当然だ。これは公爵家からの正式な依頼になる。道中はほぼ野営。だからといって、干し肉と石のようなパンしか出なかったなどと噂が立とうものなら、公爵家の沽券に関わる。豪勢な食事は無理だが、出来る限り手は尽くすさ」
 ジャレッド団長が肩を竦め、不意に、”魔女の森”のきわで作業をする男たちに目を向ける。
「ん?あれは?」
「即席トイレですよ」
 さすがに畑で用を足すことはできないので、森の際に作っているわけだ。
 有志たちの突貫工事の大工仕事だ。
 木材に釘を打ち付ける人もいれば、スコップで穴を掘る人もいる。森から出てきた青年がスライム捕獲班で、枝に突き刺したスライムを穴に放り投げている。
 魔物対策に弓矢を番えた猟師や、冒険者ギルドから派遣された冒険者の姿もある。
 最初は2つだったトイレが、一気に4つに増えたし、騒音を聞きつけて”魔女の森”から出てきた魔物が手際よく討伐されている。
 なんとも危険なトイレ作りだけど、それでも足りない。
 行儀よくトイレの列に並んでいる人たちから、「急いでくれ~!」「漏れる~!」の悲鳴が上がっている。
 エールの飲みすぎだ。
 その悲鳴を聞きつつ、有志たちは穴を掘り続けているのだ。
「ダイナマイトツリーが解体されて、帝都に向けて出立するまで、いくつトイレができるんでしょう?」
 ジャレッド団長は4つあるトイレの行列を見、それから頑張って穴を掘り続ける男たちを見、増え続ける野次馬たちに視線を巡らせた後、「穴だらけになるぞ」と疲れたように眉間を揉んだ。
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