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夕食は、クリームシチュー
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「チアキはランチ、クリームパスタだったけど、今夜はクリームシチューでもいい?」
ハルトは何か企んでいるのか、わざとらしい笑みを浮かべながらチアキにたずねた。チアキはこういった時、ハルトの言葉を否定しても結局言いくるめられるということを知っているので、適当にいいよと言った。
「じゃあ、スーパーに買い出し行こう。あ、チアキは今日親に言っておかなくても大丈夫?なんなら、僕がチハルさんに連絡しようか?」
ハルトは、チアキの母親と仲が良く、チアキが流れで家に泊まることになったときはあらかじめ連絡したり、料理を教え合ったりする仲だ。
「別にいいよ。言わなくても。自分で言うから。」
「え、もう言ったよ。ほら。」
スマホには、今日はチアキくんをあずかります、というメッセージと親指を立てた侍みたいな猫のスタンプ。
「今日って、晩ご飯いらないってだけ連絡すればいいのに、絶対母さん誤解してるって!」
「泊まることになったときに連絡しないでいいように先に言っといたほうが後でまたチハルさんに言わなくてもいいでしょ。」
「今日は、泊まらないよ。明日1限あるから。」
「まぁまぁ。ほら、スーパーついたよ。早く買って家行こう!」
主婦の方が多いスーパーで目立つ二人。チアキは、ハルトに何が必要か聞いて店内を先回りしてかごに買うものを入れていった。
「はい。これで全部でしょ。」
「今日は、チアキ働き者だね。じゃあ、お会計してくるから外で待っててね。」
おにごっこをしながら下校する小学生の楽しげな声、坂の上に見える西日が、夕方を告げる。クリームシチューの材料が入った黒いエコバッグ。
「チアキ、重くない?交替しない?」
「いいよ。ハルトが作ってくれるのに何もしないのは嫌だ。」
「今日はなんだか、積極的?」
「なんか言い方が嫌だ。でも、いつもハルトにばかりさせてるからたまにはね。」
チアキは、右手に持っていたエコバッグを左手に持ち替え、ハルトと距離をとった。
「照れてる。」
「照れてないから。重いから持ち替えただけ。」
オレンジ色の夕日と夜を告げる紫色の空、二人の影が伸びる。
コトコトと、シチューが煮込まれている音。ハルトは、一通り調理を終えて盛り付けの準備をしている。昼間のイタリアンに影響された間接照明が、いつもとは違う雰囲気を作り出している。
「できたよ。」
ハルトはクリームシチューをテーブルへ運ぶ。チアキは、冷えたプロセッコをフルートグラスに注ぐ。
「なんだか、贅沢してるみたいだね。」
ハルトは、グラスに口づける。
「シチューおいしいよ。」
「ほんと?良かった。」
「でも、なんでクリームシチューなの?」
「それは、チアキが口元にクリームシチュー付けないかなって。昼、パスタのソースついてた時かわいかったから。」
ハルトの発言を聞いたチアキは、ティッシュを探す。箱ティッシュは、既にハルトが自分のもとに置いていた。
「一枚、ちょーだい。」
「ついてたら僕が拭いてあげるから。ほら、食べないと冷めちゃう。」
マッシュルームと星形のニンジン、スプーンに掬った。
「ごちそうさま。おいしかったよ。」
「えー、もう食べ終わったの?まだあるよ。食べる?」
「いいよ。もう、お腹いっぱいだし。どれだけ食べても、口元にシチューつけないから。」
「残念。僕も、もうお腹いっぱいだしいいかな。」
食べ終わった食器をシンクへ運ぶ。
「今日、泊まっていくよ。」
チアキは、ぼそっと言った。ハルトはそれを聞き逃さなかった。
「え、やったー!今日はほんとに帰ると思ってた。今、お風呂入れるから沸いたら先入ってね。」
「うん。で、でも今日は泊まるだけだから。」
チアキは顔を赤らめて言った。
ハルトは、言われたら余計に、と独り言を言った。
太陽の光が、カーテンの隙間から差し込む。朝を知らせる小鳥の鳴き声。ハルトは、重い身体を起こした。隣には、チアキが眠っている。パジャマがはだけて、白い鎖骨が見えている。時計を見ると、午前6時。
「まだ、寝てていいからね。」
眠っているチアキの唇に、そっと口づけをした。
ハルトは何か企んでいるのか、わざとらしい笑みを浮かべながらチアキにたずねた。チアキはこういった時、ハルトの言葉を否定しても結局言いくるめられるということを知っているので、適当にいいよと言った。
「じゃあ、スーパーに買い出し行こう。あ、チアキは今日親に言っておかなくても大丈夫?なんなら、僕がチハルさんに連絡しようか?」
ハルトは、チアキの母親と仲が良く、チアキが流れで家に泊まることになったときはあらかじめ連絡したり、料理を教え合ったりする仲だ。
「別にいいよ。言わなくても。自分で言うから。」
「え、もう言ったよ。ほら。」
スマホには、今日はチアキくんをあずかります、というメッセージと親指を立てた侍みたいな猫のスタンプ。
「今日って、晩ご飯いらないってだけ連絡すればいいのに、絶対母さん誤解してるって!」
「泊まることになったときに連絡しないでいいように先に言っといたほうが後でまたチハルさんに言わなくてもいいでしょ。」
「今日は、泊まらないよ。明日1限あるから。」
「まぁまぁ。ほら、スーパーついたよ。早く買って家行こう!」
主婦の方が多いスーパーで目立つ二人。チアキは、ハルトに何が必要か聞いて店内を先回りしてかごに買うものを入れていった。
「はい。これで全部でしょ。」
「今日は、チアキ働き者だね。じゃあ、お会計してくるから外で待っててね。」
おにごっこをしながら下校する小学生の楽しげな声、坂の上に見える西日が、夕方を告げる。クリームシチューの材料が入った黒いエコバッグ。
「チアキ、重くない?交替しない?」
「いいよ。ハルトが作ってくれるのに何もしないのは嫌だ。」
「今日はなんだか、積極的?」
「なんか言い方が嫌だ。でも、いつもハルトにばかりさせてるからたまにはね。」
チアキは、右手に持っていたエコバッグを左手に持ち替え、ハルトと距離をとった。
「照れてる。」
「照れてないから。重いから持ち替えただけ。」
オレンジ色の夕日と夜を告げる紫色の空、二人の影が伸びる。
コトコトと、シチューが煮込まれている音。ハルトは、一通り調理を終えて盛り付けの準備をしている。昼間のイタリアンに影響された間接照明が、いつもとは違う雰囲気を作り出している。
「できたよ。」
ハルトはクリームシチューをテーブルへ運ぶ。チアキは、冷えたプロセッコをフルートグラスに注ぐ。
「なんだか、贅沢してるみたいだね。」
ハルトは、グラスに口づける。
「シチューおいしいよ。」
「ほんと?良かった。」
「でも、なんでクリームシチューなの?」
「それは、チアキが口元にクリームシチュー付けないかなって。昼、パスタのソースついてた時かわいかったから。」
ハルトの発言を聞いたチアキは、ティッシュを探す。箱ティッシュは、既にハルトが自分のもとに置いていた。
「一枚、ちょーだい。」
「ついてたら僕が拭いてあげるから。ほら、食べないと冷めちゃう。」
マッシュルームと星形のニンジン、スプーンに掬った。
「ごちそうさま。おいしかったよ。」
「えー、もう食べ終わったの?まだあるよ。食べる?」
「いいよ。もう、お腹いっぱいだし。どれだけ食べても、口元にシチューつけないから。」
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