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第30話 魔物に狂った男と最強の魔物
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暗闇が街を支配している深夜、月明かりを頼りに吸血鬼を目視で確認。その後、走る、走る、走る。オレは肩で息をするくらいに疾走した。ようやく、目的としていた部屋の扉の前についたな。
「…正面から吸血鬼と戦うってオレはバカか? いや、大バカ野朗だ。ハンターが正面から戦うってありえないだろう」
既に吸血鬼デミトン・アルフェルムに居場所を知られている。吸血鬼の能力を考慮すると、もう隠れる意味はないと考える必要がある。オレは奴と相対するために駆ける。
「奴に思い知らせてやる。タダの人間の狡さと強さ。そして、ハンターの真の強さを教えてやる!」
例え、それがどんなにカッコ悪いものであっても勝てば良いのだ。それが力も弱くて、惨めで情けない人類が生き残れた理由だ。オレも人類の祖にならって生き延びてみせる。
「シルメリア、直ぐに助けてやるからな!!」
そう言いながら、オレはデミトンとシルメリアがいる部屋の扉を開けて入った。そして、彼女を安心させるために彼女の顔を見て微笑む。
「はい、サイゾウ様。シルメリアはサイゾウ様を信じております」
おい、シルメリア。なんだか小説の中のヒロインになったみたいって小声で言っても聞こえているからな!
「顔を赤めて俯きやがって…」
何を勘違いしているんだよ。誰もおまえが好きで助けるわけじゃないぞ!! くそ、そもそも男がヒロインってどんな糞話だよ!
オレは巨悪の亀を倒した後に捕まっていた桃のお姫様からキスをもらう髭男的なポジションがいいの。なんで、捕らえられている奴が男なんだよ。やる気が失せるわ。
「サイゾウ、君も無粋な男だな。彼女は既に我が筋肉の虜だというのに」
オレたちがそんなバカなやり取りをしている間、沈黙を保ってきた男がイヤミたらしくそう言ってきた。
「筋肉、筋肉うるさいな。見ろよ。オレの逞しいプヨプヨの腕を! 逞しいだろ? おまえはこの逞しい腕の前に敗北するんだよ!!」
人類が吸血鬼に腕力で勝てる訳がないだろう。オレたち弱者が強大な敵に勝つには人類の最強の武器である頭脳を使わないとね。
「フッ、脂肪と言ってやりたいがそれは柔らかい筋肉だ。素晴らしい筋肉を持っている。ああ、興奮してきた!!」
おい、勝手に決めつけて思い込みで興奮するなよ。このド変態吸血鬼!
「おかしいですわね。サイゾウ様の腕は私よりもポヨポヨでしたのに」
って、そこ、聞こえているからね。シルメリアの奴め、オレをデブって言いたいんだろうな。だが、オレはどちらか言えばガッチリのポヨン体系だけど。デブではない。寧ろ、地球だったらちょうど標準体型のはずだ。
「気が散るから君には、しばし眠っていて貰うとするか」
そう言って奴はシルメリアの目を見つめる。すると彼の瞳を見たシルメリアは徐々に瞼が瞳を閉じていった。そして、シルメリアはデミトンの肩にもたれかかるように倒れた。
「おい、シルメリア、シルメリア!? 大丈夫か、生きているか!? デミトン、シルメリアになにをした!?」
オレは急に倒れたシルメリアに声をかけるが反応がない。そのことに慌てて奴にそう問いただした。
「なに少し眠って貰っただけだよ」
そう言って口の端を上げて微笑むデミトン。彼はシルメリアを静かに床に寝かせる。
「さてと、では戦いをはじめようか。サイゾウ、貴様は我が神の贄になるのだ! そして、我は手に入れるのだ。さらなる高みを!! そして、成就させてやる我が宿願を…」
まだ、少し距離があると思っていた。だが、デミトンは跳躍し、オレの前に来た。そして、奴は鋭い爪がついた腕をオレに対して振りおろした。
「神が何者かしらないが、どうやらオレが崇める対象ではないな!!」
オレの得物である鋼鉄製の杖を吸血鬼の腕の動きに合わせて右下段から奴の爪に目掛けて振り上げながら叫ぶ。オレの杖と奴の爪が衝突する。
「デミトン、おまえよ。そんな求めてやまないことをわざわざ神に頼るとか馬鹿馬鹿しいと思わないのか?」
「実にふざけた奴だ。サイゾウ、貴様は我が境遇を知らぬからそんな戯言がいえるのだ。最早、我が願いを叶えて下さる方は神以外におられぬ。貴様にはそんな渇望する願いはないのか! 神に願わねば手に入らぬような望みは!!」
この馬鹿力。オレは吸血鬼の力に押し負けて後ろに吹っ飛ばされる。吹き飛ばされたオレは咄嗟に片手を地面につけることで、体勢をなんとか立て直す。
「おまえは本当にその神が願いを叶えてくれると思っているんだな。いや、実際に神が願いを叶えてくれるとしても、オレはそんなモノに頼る気は欠片もないがな!!」
確かにオレは神に願わないと叶えられないような大層な望みなどない。だが、こんなオレにだって人生のすべてを捧げてもやりたいことがある。
そして、それはオレが自分でやらないと意味がない。それくらいはオレでもわかっているから…
「オレが人生をすべて捧げても欲しいものは神などに祈って手に入れても意味がない。誰かに願って与えられたものになんの価値があると言うのだ!!」
例え、自分が望んで手に入れたものが他の人にとって無価値であろうとも、オレにとっては最高の宝物だ。
「お前みたいな紛い物の筋肉などで満足する神など絶対に信仰しないわ。神は変身するだけで逞しくなれるおまえの願いを叶えてくれる存在なんだろ? なら、余計にそんな神はオレには不要だ!!」
煽っていくスタイル。実にオレの性格にピッタリだ。実際、肉体美なんかで評価する神なんて、紛い物だろ。
「グッ、うるさい。うるさいぞ!!」
煽られて冷静さを失っているデミトンを苛立たせるのは思ったよりも簡単だった。
「そろそろ頃合いか」
オレは吸血鬼から距離を空けるためにバックステップをした後、奴がいる場所とは反対方向に全力で駆ける。
「ま、待て! 貴様、逃げるのか! 口ではカッコイイことを言っていたが、所詮は人間。虚弱、脆弱だな」
突然、走り出したオレを見て驚愕の表情でデミトンがそう言ってきたが、
「その虚弱で脆弱な人間を簡単に逃がしてしまうのか? おまえは人間よりもさらに弱いんだな?」
とオレは相手をさらに挑発してやった。
「貴様!! 逃がさんぞ!!」
そうだ。オレを追ってこい。人間を舐めた吸血鬼に見せてやるよ。ハンターの戦い方を。騎士や武道家のように正面から挑むのだけが戦いじゃない。ハンターがどういう生き物かお前に教えてやるよ!!
「…正面から吸血鬼と戦うってオレはバカか? いや、大バカ野朗だ。ハンターが正面から戦うってありえないだろう」
既に吸血鬼デミトン・アルフェルムに居場所を知られている。吸血鬼の能力を考慮すると、もう隠れる意味はないと考える必要がある。オレは奴と相対するために駆ける。
「奴に思い知らせてやる。タダの人間の狡さと強さ。そして、ハンターの真の強さを教えてやる!」
例え、それがどんなにカッコ悪いものであっても勝てば良いのだ。それが力も弱くて、惨めで情けない人類が生き残れた理由だ。オレも人類の祖にならって生き延びてみせる。
「シルメリア、直ぐに助けてやるからな!!」
そう言いながら、オレはデミトンとシルメリアがいる部屋の扉を開けて入った。そして、彼女を安心させるために彼女の顔を見て微笑む。
「はい、サイゾウ様。シルメリアはサイゾウ様を信じております」
おい、シルメリア。なんだか小説の中のヒロインになったみたいって小声で言っても聞こえているからな!
「顔を赤めて俯きやがって…」
何を勘違いしているんだよ。誰もおまえが好きで助けるわけじゃないぞ!! くそ、そもそも男がヒロインってどんな糞話だよ!
オレは巨悪の亀を倒した後に捕まっていた桃のお姫様からキスをもらう髭男的なポジションがいいの。なんで、捕らえられている奴が男なんだよ。やる気が失せるわ。
「サイゾウ、君も無粋な男だな。彼女は既に我が筋肉の虜だというのに」
オレたちがそんなバカなやり取りをしている間、沈黙を保ってきた男がイヤミたらしくそう言ってきた。
「筋肉、筋肉うるさいな。見ろよ。オレの逞しいプヨプヨの腕を! 逞しいだろ? おまえはこの逞しい腕の前に敗北するんだよ!!」
人類が吸血鬼に腕力で勝てる訳がないだろう。オレたち弱者が強大な敵に勝つには人類の最強の武器である頭脳を使わないとね。
「フッ、脂肪と言ってやりたいがそれは柔らかい筋肉だ。素晴らしい筋肉を持っている。ああ、興奮してきた!!」
おい、勝手に決めつけて思い込みで興奮するなよ。このド変態吸血鬼!
「おかしいですわね。サイゾウ様の腕は私よりもポヨポヨでしたのに」
って、そこ、聞こえているからね。シルメリアの奴め、オレをデブって言いたいんだろうな。だが、オレはどちらか言えばガッチリのポヨン体系だけど。デブではない。寧ろ、地球だったらちょうど標準体型のはずだ。
「気が散るから君には、しばし眠っていて貰うとするか」
そう言って奴はシルメリアの目を見つめる。すると彼の瞳を見たシルメリアは徐々に瞼が瞳を閉じていった。そして、シルメリアはデミトンの肩にもたれかかるように倒れた。
「おい、シルメリア、シルメリア!? 大丈夫か、生きているか!? デミトン、シルメリアになにをした!?」
オレは急に倒れたシルメリアに声をかけるが反応がない。そのことに慌てて奴にそう問いただした。
「なに少し眠って貰っただけだよ」
そう言って口の端を上げて微笑むデミトン。彼はシルメリアを静かに床に寝かせる。
「さてと、では戦いをはじめようか。サイゾウ、貴様は我が神の贄になるのだ! そして、我は手に入れるのだ。さらなる高みを!! そして、成就させてやる我が宿願を…」
まだ、少し距離があると思っていた。だが、デミトンは跳躍し、オレの前に来た。そして、奴は鋭い爪がついた腕をオレに対して振りおろした。
「神が何者かしらないが、どうやらオレが崇める対象ではないな!!」
オレの得物である鋼鉄製の杖を吸血鬼の腕の動きに合わせて右下段から奴の爪に目掛けて振り上げながら叫ぶ。オレの杖と奴の爪が衝突する。
「デミトン、おまえよ。そんな求めてやまないことをわざわざ神に頼るとか馬鹿馬鹿しいと思わないのか?」
「実にふざけた奴だ。サイゾウ、貴様は我が境遇を知らぬからそんな戯言がいえるのだ。最早、我が願いを叶えて下さる方は神以外におられぬ。貴様にはそんな渇望する願いはないのか! 神に願わねば手に入らぬような望みは!!」
この馬鹿力。オレは吸血鬼の力に押し負けて後ろに吹っ飛ばされる。吹き飛ばされたオレは咄嗟に片手を地面につけることで、体勢をなんとか立て直す。
「おまえは本当にその神が願いを叶えてくれると思っているんだな。いや、実際に神が願いを叶えてくれるとしても、オレはそんなモノに頼る気は欠片もないがな!!」
確かにオレは神に願わないと叶えられないような大層な望みなどない。だが、こんなオレにだって人生のすべてを捧げてもやりたいことがある。
そして、それはオレが自分でやらないと意味がない。それくらいはオレでもわかっているから…
「オレが人生をすべて捧げても欲しいものは神などに祈って手に入れても意味がない。誰かに願って与えられたものになんの価値があると言うのだ!!」
例え、自分が望んで手に入れたものが他の人にとって無価値であろうとも、オレにとっては最高の宝物だ。
「お前みたいな紛い物の筋肉などで満足する神など絶対に信仰しないわ。神は変身するだけで逞しくなれるおまえの願いを叶えてくれる存在なんだろ? なら、余計にそんな神はオレには不要だ!!」
煽っていくスタイル。実にオレの性格にピッタリだ。実際、肉体美なんかで評価する神なんて、紛い物だろ。
「グッ、うるさい。うるさいぞ!!」
煽られて冷静さを失っているデミトンを苛立たせるのは思ったよりも簡単だった。
「そろそろ頃合いか」
オレは吸血鬼から距離を空けるためにバックステップをした後、奴がいる場所とは反対方向に全力で駆ける。
「ま、待て! 貴様、逃げるのか! 口ではカッコイイことを言っていたが、所詮は人間。虚弱、脆弱だな」
突然、走り出したオレを見て驚愕の表情でデミトンがそう言ってきたが、
「その虚弱で脆弱な人間を簡単に逃がしてしまうのか? おまえは人間よりもさらに弱いんだな?」
とオレは相手をさらに挑発してやった。
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