生け贄ダンジョンマスター

琴葉悠

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レベル上げでマスタースキル獲得~投げ銭でもスキル獲得、ご褒美ゲット~

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 それからというもの、ダンジョン作りにいそしむことになった。
「ここの段差は上ると流砂かして砂塵トラップが発動して熱砂になると……」
「精が出てるな」
「クライノートさん」
「クライノートで構わぬ、其方が主なのだから」
「は、はあ」
「おっと大事な事だ、其方はダンジョンのマスターだから捕まればダンジョン全てが無力化されるぞ」
「え⁈」

 ヤバいじゃん、もっと殺意高めにダンジョン作り直そう!

 そう言ってダンジョン作りにまた精を出す。
「ここに玉のトラップ配置して、それから……」

 ピコン!

『冒険者が来ました、動画配信しますか!』
「もー今回もはいで!」
 はいをぽちっと押す。



『お、前回と同じ人か?』
『うわ、冒険者達なんか見てるとむかつくー』
『分かる分かる、こいつら偉そうにしててむかつくよな』
『お、早速狭い通路でのコウモリ軍団に襲われて悲鳴上げてる』
『かまれた所ヤバい色になってるから毒もちっぽいな』
『むかつく上司ここに放り込みてぇ』
『分かる』
『分かる』
『なんとか治療して先にすす──おおー古典的な玉が転がってくるトラップじゃねぇか!』
『けが人背負ってた奴ら潰れたな、けが人と一緒に』
『流石ダンジョンマスター、容赦がないww』
『次はどうするんだ……って階段上ろうとしたら流砂になった⁈』
『なんか熱そう!』
『じりじり焼けてる感じがする……!』

『熱砂にやられて全滅したな』
『今回も全滅か、すげぇなぁ』
『応援してるぜ、ダンジョンマスターさん!』
『俺もだぜ!』
『お礼に投げ銭させてもらうぜ』
『俺も俺も』




「ふへー……」
 今回はしのげたようだ。

 ピコン!

『ダンジョンマスターレベルが6になりました』
『そしてお金が入ってきたため、スキルが開放できます』
「へ?」
 スキルが三つ提示される。
 一つ、外に行っても目が見える
 二つ、お取り寄せが無料でできる
 三つ、使い魔を増やせる

 今回選べるのは二つだけ、ならば──
「おとりよせと、使い魔!」
「良いのか?」
「説明文見る限り、選ばなかったのは次回にも回されるみたいだから」
「そうか」
 私はお取り寄せのスキルを見る。
 ずらりと、前世──地球の料理などがお取り寄せ出来るものが出て来た。
「……」
 私はイチゴのケーキのホールをタッチ。
 すると箱が現れ、箱を開けるとイチゴのケーキが出て来た。
「昨日まで手持ちの干し肉しか食べれなかったからこれから食事が潤う……!」
「甘味か?」
 着いてきたナイフで切ったケーキの一切れを食べるとクライノートさんは目を丸くした。
「な、何なのだこの甘味は! 甘く、柔らかく、甘酸っぱく!」
「ショートケーキって言うんです」
「甘味は他に無いのか?」
「ありますけど、甘味ばかりだと太ってしまいますし、それに虫歯も……」
「安心せよ、ダンジョンマスターと使役される我らはそのようなものにはなったりはしない」
「……分かりました、一切れだけですよ。後はご飯です」
「うむ」

 イチゴのタルトをあげて、感激するクライノートを見て。
 私は弁当箱のお取り寄せをした。
 割り箸を割り、ご飯を口にする。
「美味しい~~!」
「余にもくれ」
「はいはい」
 再びお弁当を注文し、ケーキに着いてきたフォークで弁当を器用に食べるクライノートに少し笑ってしまった。

「美味い、美味いぞ!」
「これで食事の問題は解決、だけどゴミが……」
「ならばスライムを使い魔として使役すれば良いだろう」
「そうなんですね」
 私はステータスの使い魔の部分をタップし、ゴブリン、スライムの二つからスライムを選択した。

 ライム色のスライムが現れる。

『ごしゅじんさまはじめまして』
「はじめまして、あなたがわたしの使い魔のスライム?」
『はいそうです』

 ぷるぷるとゆれるスライムがなんか可愛らしく見えた。

「あのゴミを片付けてくれる?」
『はい、わかりました』
 そう言うとスライムはまとめておいたゴミを綺麗さっぱり消化してくれた。
「すごいわ!」
『えへへー』
「ソフィア、せっかくだから名前をつけてやってはどうだ?」
「そうですね……ライム、貴方はライムよ」
『わーいおなまえ、おなまえ。ぼくらいむ!』
「安直だな」
「ほっといて下さい」
 色が柑橘系ライム色だったからライムにしたなんて言えない。

「そうそう、使い魔は通常のモンスターよりも強い、ダンジョンで人間を喰わせたりしてもレベルが上がるぞ」
「うーん、危険な事はしてほしくないんだけどなぁ」
『だいじょうぶです、つかいまはダンジョン内だとしんでもすぐここにふっかつします』
「そう? なら……」

 私はダンジョンをいじり回す。
「この少し高い通路の上に張り付いて冒険者達に襲いかかって」
『わかりました』
 ライムは分裂し、テーブルの中に吸い込まれていった。
 モニターで確認すると、スライムがみっちり。

「スライムは雑魚に思われがちだがなかなかに厄介だ、強くなれば恐ろしいぞ」
「なるほど……」
 そういえばスライムには苦戦した覚えがある。
 魔法でなんとかしたが、魔法を使えないような狭い場所でやらせれば問題ない。



 ピコン!
『冒険者が来ました、配信しますか』
 私は迷い無くはいを押した。




『今日はどんなえげつないのがみれるかなー!』
『楽しみww』
『お、お決まりの毒コウモリの通路、なんとか逃げ切ったみたい』
『次はなんだ? 何もない……』
『いやースライムだ! スライムに溶かされてってる!』
『魔法使いとかがとかされたらアウトだな、鉄も溶かしちまうし』
『逃げた先には最初にあったあの水でできたねーちゃん達の群れ!』
『取り込まれて溺死したー!』
『いやぁ、今日も爽快なもん見せられたな』
『えげつないとも言うけどな』
『よっしゃ投げ銭、投げ銭』
『俺も俺も』
『ダンジョンマスターさーんがんばってくれよー!』



「よし」
 少しするとライムが戻って来た。
 どうやら使い魔は自由に行き来できるらしい、ダンジョン内を。

 ピコン!
『ダンジョンマスターレベル10到達しました』
『これよりマスタースキルを開放します』

 はい?
 予想もしない言葉に、私は首をかしげたのだった。





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