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この壊れた世界で
愛憎、故に歪み歪んでいく
ルミエールは父の態度が急に変わった事に戸惑っていた。
服も着せてくれるし、ちゃんとした食事などを用意してくれるようになった。
性行為もしばらくしないと言ってきた。
部屋からは基本出してはくれないままだが。
部屋から出る時は決まってあの触手の所に行くとき。
その時は服を脱いでフード付きのローブで体と顔を隠し、父に抱きかかえられて連れていかれる。
何故急に態度が変わったのかルミエールには分からなかった。
そして「血の祝い」がやってきた。
ルミエールは「血の祝い」特有の体の不調を抱えながら寝込んでいた。
時折甘い果実茶を口にして、そして横になる。
その間は触手の所には連れて行かないと言われた。
あの甘い「夢」が見れないのが少し残念だった。
けれども、普通に眠れば、優しいあの夢が必ず見れる。
父が何を考えているか分からない、ルミエールは父が怖くて仕方なかった。
だから、急に態度が変わっても、それを受け止められず、夢の中で現実を忘れて浸るのが幸せな時間だった。
その為、ルミエールは眠る時間が増えた、夢に少しでも浸って居たい、父と話すのが怖い、父が怖いから、ルミエールは夢に浸って忘れることにした。
触手はあの美しくて可哀そうな子をラースが連れてこなくなったので、今あの子が「血の祝い」が来ているのだろうと思いながら、どうしているかなぁと、考えていると足音が聞こえた。
その足音に、触手はやれやれと言わんばかりの仕草をした。
鉄格子の扉が乱暴に開く音と、苛立っているような足音が聞こえた。
「――全く良くならぬではないか!!」
怒鳴るラースを見るなり、触手はバチンとラースの顔を叩いた。
『賭けだっていったし、まだ二週間もたってねぇじゃねぇか!! お前救いようがない馬鹿だな!! お前がした事は一生傷に残るレベルの事なんだから早々治るわけがないだろう!!』
「っ……!!」
触手はベチンベチンと床を叩きながら怒りを露わにする。
『本当!! お前から取り上げるぞあの子を!! 名前は知らぬがあの子は可哀そうすぎる!! 何故、お前は傷つける事ばかりしかできんのだ!!』
「……もう良い、今のままで」
『はぁ?! お前身勝手にも程があるぞ!!』
触手は更に文句を言おうとしたが、ラースが姿を消したので、肩を落とすかのような仕草をした。
『――ああ、可哀そうな子だ。誰も助けないということは、あの子はある意味「生贄」か、いなくなればラースは何をするか分からぬのだろう、だから誰も助けない』
『――一体、この世界に何があった? ラースに何があったのだ?』
触手の疑問に答える者は誰もいない。
ラースは部屋に戻ると、ルミエールがうつぶせでベッドに眠っているのが目に入った。
傀儡達に部屋から出るように命令すると、ラースはルミエールのズボンと下着を脱がせた。
そろそろ終わりなのか、あまり「祝いの血」はあまりついていなかった。
それを残念に思いながらも、潤滑液で指を濡らしてルミエールの後孔に指を入れる。
「ん……」
わずかに反応するが目を覚ます気配はない。
軽く指でほぐすだけで、雄を受け入れる器官になっている其処は雄を求めるかのような蠢きをして、誘う。
二週間も我慢してきたのだ、「血の祝い」の期間以外はあの生き物の触手以外受け入れてないその箇所。
我慢ができなくなった自身の雄を押し当て、一気に貫いた。
「お゛あ゛?!」
それで目を覚まし、濁った声をルミエールが上げた。
しゃぶる様に絡みついてくる腸壁を刺激するよう腰を動かせば、ルミエールの口から声があがる。
腸壁が締め付け、精液を欲しがるように蠢く。
「あ゛……あ゛……」
怯えるような声に、苛立ちを感じながらも、ラースはそれを抑えて、ルミエールのうなじに口づけをする。
一気に挿入した時と異なり、一定の間隔で、奥まで突いて、抜くのを繰り返す。
抜かれる度に、ルミエールの後孔は雄を逃すまい言わんばかりの反応をする。
「ああ、ルミエール。お前も飢えていたのか?」
ルミエールは頷くことも首を振ることもせず、体を震えさせて、シーツを掴んでいる。
雄を求め、柔らかく、それなのにきつく締め付けてくる温かな腸壁。
散々開発した箇所を擦り突き上げれば、声が上がった。
尻を上げるような体勢をとるよう父に言われ、ルミエールは体を震わせながらそれに従う。
暴力的な快感に頭がぐちゃぐちゃになり、膝が震えて体勢を保つのが酷く辛かった。
恐怖と快感でまともに考えるのが困難だったが、それでも早く終わって欲しいと願うことはできた。
熱のある液体が、大量に腹の奥に吐き出され、焼けそうな感覚と、酷い快感――絶頂を感じてルミエールの意識はぶつりと途切れた。
――怖い、怖い、誰か、助けて、たす、けて……――
ずるりと後孔から雄を抜けば、どろどろと潤滑液と奥で吐き出したはずの精液が零れてきた。
ルミエールは意識を失っている。
口から泡を吹き、白目をむいていた。
「……」
その様がラースに酷い苛立ちを与えた。
体は明らかに悦んでいた、なのに、精神は苦痛を感じていると言わんばかりの表情だったからだ。
――私を、裏切ったのは、お前だというのに、ルミエール……!!――
妻を殺した連中の属する所から自分を殺すよう命令された愚者共と行動していたのはルミエールだった。
脅されているようではなかった、自分の意思で行動したのだ。
これを裏切りと呼ばずに何と呼べばいいのかラースには分からなかった。
妻の言葉を以前はしきりに自分に言おうとしていたが、そんなことはもうラースにはどうでも良かった。
死んだ妻の言葉だ、どんな慰めにもならない。
妻が生きていて、自分のこの行いに何か言ったなら、咎めにも慰めにもなるが死人からの言葉など救いなどになるだろうか?
気づいたら、この世界にいた。
そして、あらゆるものから命を狙われた、お前はこの世界に「居るべきもの」ではないと。
逃げて、逃げて、逃げて――
身を守るために、殺して、殺して、殺した――
そうして繰り返していくうちに、同じように排斥されてきたもの達が集まり、ラースは王になった。
排斥されてきたものは闇の者、魔の者ばかりではない、国に仕えていたのに突如裏切られ命を狙われるようになった者、生まれながらにして他と違う為捨てられた者、無実でありながら策略によって貶められ逃げてきた者、圧政に耐えられず逃げてきた者等――
ラースはそれらを哀れに思って、庇護した。
それ故、ラースの国は、領土は豊かになった。
豊かになる程、他の国々は、神の信徒を名乗る連中はそれを妬んで侵略行為を繰り返した。
ラースは嘆いた、何故排斥するような者達ばかりが神に愛され、そうでない者は神に拒絶されるのだ。
何故自分達ばかりが「悪」とされるのだ、と。
だからアリアドネの存在で、ラースは救われた。
ラースだけではない、ラースを慕う民達や、それ以外の者達もだ。
だが、その存在を奪ったのは神の信徒を名乗る者達だった。
ラースは許せなかった。
神は与える事などしない、排斥してばかりだ、奪ってばかりだ、と。
神が作った世界も憎くなった。
だから、神を堕とした、世界も変えた。
神に祈ったところで、それはもう意味などない。
奇跡は失われた。
加護は意味を無くした。
神の信徒たちの手先と共に行動し、自分に刃を向けたルミエールの心理などラースには分からないし、今のルミエールにたずねたところで答えられないだろうとラースは思った。
愛している、許せない、愛している、憎い。
嘗てのルミエールの面影はない、自分を敬い、母に従うあのルミエールの面影は今のルミエールにはない。
――最愛の我が子――
――許しがたい裏切者――
憎悪と愛情がラースの中で混ざり合う。
わずかばかり歪な愛情が憎悪に勝った。
――壊してしまえばいい、私無しでは生きられぬよう、私無しでは逃れられぬよう、私に従順に、私の子を産み落とす――
――それが、お前が今すべきこと、私の愛しいルミエール――
仄暗い歪な笑みが、ラースの口元に浮かんだ。
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