異世界転生したら王女で聖女扱いと思ったら生け贄で魔(術)王の妻にされた件~勘弁してよ女神様~

琴葉悠

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帝国滅びました~一人で抱えるよりも~

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 リアが魔王の国──レイゾン王国に来て一週間が経過した。
 何事もなく──いや、編み物の山ができたり、イオスに度々マナの森に連れてこられてマナの森の状態を肌でどうかと聞かれたり、色々とあった。

 そして一週間と二日が経過した日の朝──

 リアは目を覚ました。
 着替えようと起きて、クローゼットを開けようとしたところメアリが入ってきた。
「お早うございます、リア様」
「お早うメアリ」
「お召し物ですか、少々お待ちください」
 メアリはいつもと違うものを用意した、少し華美に見える。
「いつもと違くない?」
「今日は陛下と一緒に行動なさることになっております、お食事が終わりましたら……」
「……マジかー……」
 リアは持ってこられた食事を取り終えると、ドレスに着替えさせられ、ベールと冠を頭にかぶせられる。
 ちょうどその時イオスが入ってきた。
「終わったか、ついてくるといい」
「……」

──一体何がしたいんですかアンタは?──

 リアは心の中でそう言うと、大人しくイオスの後ろをついていった。
 侍女たちがドレスの裾をもち歩くのを補助していた。
 歩いていくと、あの玉座の間に連れてこられた、前一つだった椅子が二つになっていた。
 イオスが片方の椅子に座る、そしてリアを見る。
「何をしている、座れ」
「……」
 しぶしぶ座るとしばらくして大臣っぽい人物たちやら、その他家来らしき人物たちが入ってきて、全てがイオスに膝をつき頭を下げた。

──な、何がおこるんじゃこれから!?──

「――マナの森と世界樹は聖女――我が妻の功績により復活した。後は帝国を滅ぼすのみ、各自配置につくがよい!!」

──あ、やっぱり滅ぼすんですね帝国──
──しゃーないか──

 何かやりとりがされている、政にだけは無縁で過ごさせられた為、リアはさっぱりだった。
「妃様からは何か気になることは?」

──いや、聞くな!!──

「……帝国に協力している国とかはないんですか? 帝国を滅ぼしても技術を持った人物たちがそこでまた同じことをすれば堂々巡りになってしまうかと……」
「それは私も気にしている、だから国々にこの一週間配下を派遣した、帝国に組するなら滅ぼすとな」

──それ脅しー!!──

「その、アーデルハイト王国は?」
「其方を妻としたことと、帝国と組まず我らの方針に沿ってくれるなら技術提供などを行うこと申し出た。答えは良いものだったと言っておこう」

──うーん大丈夫か?──

「他に何か聞きたい等はあるか?」
「戦争とか政とかには疎いのでとくにはないです、というか本当に私を妃でいいんですか?」
「構わぬ、それと口調はどうした?」
 いつもイオスとやり取りしている口調と違うことを指摘され、リアは渋そうな顔をする。
「……こういう状態で言えると思いますか?」
「構わぬ、その方が私は好みだ」

──そうですか、めんどくせぇ王様だなこいつ──

「あーはいはい、分かりましたよ」
 リアはイオスの圧に負け投げやりな表情になって額に手を当てた。
「それと其方には神殿で負傷した者の治療にあたってもらいたい」
「あーはい、いいですよ」

──まぁ、あの国でもやってたしな……怪我の程度は軽いけど──

 イオスの号令で解散し、皆持ち場に戻る。
 リアは再びイオスに付き従って歩き、部屋に戻ると侍女が用意した簡素なドレスに着替えさせられる。
「急ぎで悪いが今日は神殿に向かってもらう、奴らの和議で一時は停戦したが、変わらぬのが分かったのでまた負傷者が出ている」
「なるほど、そのけが人達を治療すればいい、と」
「そうだ、警備もつけよう。シュオ!!」
「は、我が君。仰せのままに」
「では、行くぞ」
 イオスは空間転移魔法でイオスと、戦士――シュオとリアとメアリを神殿へと移動させた。

 神殿には負傷者が並べられ、神官たちが必死の治療を行っていた。
「うわぁ」

──うちの国でどでかい獣退治した後の何十倍もひでぇ、戦争だもんな、そうだよな──

 苦鳴があちこちから上がり、リアは目をひそめる。
「……一人一人やってると時間だけが無駄になる」
 リアはそう言うと強く念じた、ここの神殿内の全ての負傷者が治るようにと。
 すると、リアから光が漏れだし、その光が神殿の天井に上がると降り注いだ。
 光は負傷者たちを包み込む。
 光が消えると傷や痛みはすっかりなくなっていた。
 あちこちから喜びの声が上がる。
「これが……アーデルハイト国の聖女の力……?!」
 シュオが驚きの声を上げる、多分疑っていたのだろう。

──ま、だよねー実際見た人しか普通信じないわな──

「陛下、これは一体……!!」
 身分の高そうな神官がやってくる。
「我が妻の力よ、アーデルハイトの聖女の力。素晴らしいだろう」
「聖女……?!」
「あー、見えないですよね、すみません」
 げんなりした顔でリアが言うと、神官は慌ててひれ伏した。
「恐れ多い……!!」
「あー……」
 リアが頬を掻いてると、血相を変えた魔術師が空間転移してやってきた。
「陛下!! 帝国が兵器を持ち出し……!!」
「……よかろう、そこまで愚かしい行動しかとれぬなら今日こそは私が出る、リアしばし待っていろ」
 そう言ってイオスは空間転移でどこかに行ってしまった。
「……帝国め、自滅するような事を……」
「どゆこと」
「……陛下一人で国を亡ぼすことなどできるのです……」
「は?」
「ただ、それを行うと陛下の負担が大きい上、無差別に民を殺めるのを好まぬ陛下は我慢しつづけたのです……」
「……負担大きいなら何で今回は出たの?」
「陛下から『負担を軽減する方法が見つかった』とだけ聞いております……」
 リアはさっぱり思いつかなかった、そしてしばらくすると地面が大きく揺れた。
「な、何がおきたの?!」
 リアが困惑すると、魔術師は遠見の術を使って何かを見せた。
 黒く焦げ、破壊された巨大な建造物が写った。
 正確にはがれきの山だ。
「……妃様はこれ以上は見ない方がいいでしょう」
 魔術師はそう言って術を止めた。
 しばらくすると、少し疲れた顔色のイオスが空間転移魔法で戻ってきた。
 膝をつきそうになるのをリアはとっさに支えてしまう。


 うわー!
 無事かー!?
 色々言いたい事はあるけどまずは元気になれー!!
 話はそれからだー!!


 リアがそう思うと、リアの体が光その光がイオスに移動する。
 周囲は困惑しているが、イオスは動じることなくその光が体に吸い込まれるのを見て立ち上がる。
「すまぬな」
 リアにそう言う。
「帝国を滅ぼしてきた、後は帝国の技術を広めようとしている輩を抹殺だ、その様に伝えよ」
「は!」
 魔術師は姿を消した。
 神殿は歓声につつまれているが、リアだけは何とも言えない顔をしていた。

──うーん、技術とか知らない人達も殺しちゃってるんだよなぁ……──
──そう考えると素直に喜べないし……──
──いやでもこれ戦争だもんなぁ……戦争嫌だなぁ……──


「負傷者の対応は」
「魔術師たちからの伝達からあまりないそうです、ならば私共で対応できます」
「そうか、リア。戻るぞ」
 シュオとメアリ、リアの三人も含めてイオスは再び転移し、自室に戻った。
「……二人とも下がれ」
「かしこまりました」
「は!」
 シュオとメアリが部屋からいなくなり、イオスはリアを抱きしめた。
「……どうしたん?」
「……兵器を使われれば再びマナが枯渇しこの世界の民に死へと向かい、世界樹とマナの森は再び枯れ世界が滅びに向かう……だが国を滅ぼせば何も知らぬ民も滅ぼしてしまう……これは最善だったのか……?」
 体を小さくするような体勢でリアに抱き着き小声で言うイオスの背中を、リアは静かにさすった。
「……最善かはわからないけど、貴方は良く我慢したよ。滅びる直前まで帝国の事を説得しようとして戦争起きちゃったんだもん、誰も責められないさ。私も責めない、責める奴がいるならぶん殴ってやるから」

──ああ、今まで結構重荷になってたんだなぁ──

「……礼を言う」
「どうもね」
 しばらくの間二人は静かに抱き合った。






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