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絶世のハンターは狙われる
侵された体を抱く
しおりを挟む軟禁生活から脱出するなり、ディストは仕事に向かった。
仕事はスケルトン系の魔族を退治するという簡単なものだったので難なく終わった。
浄化の術を周囲に張ろうとした瞬間事故は起こった。
突如魔樹が出現したのだ。
さすがに突然の魔樹の出現にディストはその場から脱出を図ろうとした。
魔族の群れが押し寄せてくるのを薙ぎ払いながらその場から離れようとした。
さすがに、自分の状態を把握している、ここで無理をすれば命を落とす。
それでは仇討ちもできず終わってしまう。
だから、その場から離れるが瘴気がばらまかれる速度と魔樹の育成スピードが驚異的だった。
脱出を図るディストの目の前に上級魔族と思われる存在が現れた。
自分を贄にする気だというのが、ディストには理解できた。
マリーから購入していた魔族特攻の目くらましを使う。
魔族はひるんだその瞬間に通り過ぎ、逃亡を図る。
十分距離を取っていたつもりだったが、その考えが甘かったのをディストは知る。
目くらましの効果が抜けた上級魔族が一気に距離を詰め、持っていたおぞましい形状の剣をディストに振るってきた。
反射的にその衝撃を防ごうと剣をとったディストだったが、剣ごと腕を切り落とされた。
そのまま両足を切り落とされ、ディストは地面に倒れ伏す。
残った片手でギリギリのところ緊急伝達の術を発動させたところで、残った片手も切り落とされた。
そして背中を剣で貫かれ、激痛が走り口から吐血してしまう。
上級魔族は背中を貫いた剣を抜いて、足でディストを蹴り飛ばす。
蹴り飛ばされた衝撃で、ディストはあおむけの状態になり、腹と、四肢から血を流し呻いていた。
呻くディストの服を上級魔族は破き、ならしもしない後孔に一気に雄を突っ込んだ。
「お゛、ぐうぇ」
口からごほごほと血を吐き出しながら、ディストは苦鳴を上げる。
激痛の走る蹂躙に、体は悲鳴を上げていた。
その上濃くなってくる瘴気は体を侵している。
上級魔族は片手でディストの口を塞いだ。
ディストは首をもがれると思ったが、違った。
口の中にぬるりとしたものが入ってきたのだ。
口閉ざそうにも、その物体がそれを邪魔し、口内を侵す。
どろどろとした液体が口の中いっぱいになり吐き出そうとするがそれもできず飲み込んでしまう。
液体を飲み込んだとたん、全身が総毛だった。
痛みが快感に変換されたのだ。
侵される激痛が快感に変わる感触に、ディストはぞっとした。
――嫌だ――
逃れようと四肢のない体でよじるがまともに動くことはできなかった。
今までの魔族の蹂躙は不快と痛みだったから耐えられた。
だが、快感にされたのなら、それに耐えることは非常に困難なのは分かり切っていたからだ。
この最悪の状況から逃れる術が思いつかなかった。
酷い快感だけが脳を焼くように犯していく。
絶頂に浸りたがる体を精神で必死に抑えるのも限界があった。
――誰か――
「俺のハニーに何手出してるんだ?!」
苛立ったような声が頭上から聞こえると、上級魔族はばっとディストから離れ、剣を持ち、弾丸をはじいた。
「威嚇しないでぶっ壊すつもりでやればよかったな」
怒りを隠しもしないクロウがそこにいた。
クロウはディストの状態を見た。
若干不味い状態だが、治療すればなんとかなる、ただ魔族の剣の影響か四肢の接合が少し難しそうなのが分かった。
「――破壊者の息子か、分が悪い」
攻撃を仕掛けてこなかった魔族はそう言うと、その場から姿を消した。
「この待ちやがれ……!! くそ、空間転移型か!!」
クロウはそういって吐き捨てた。
ただ逃げられるだけならすぐさま追いつき、破壊できる。
しかし、空間を転移しながら移動する場合、どこに移動したかを把握しなければ今のクロウには破壊ができない。
要するに力を読まれた上で逃げられたのだ。
クロウは歯ぎしりし、悔しがったが、今はそんな場合ではないとディストに駆け寄り、顔や傷に瘴気を防ぐ術をかけてから、魔族除けの術を施し、一度魔樹のもとに向かう。
魔族を破壊者の力で一層すると、魔樹の根元に到達し、破壊し消滅させる。
そして浄化の術を周囲に施してから、ディストのもとに戻り、きられた四肢を回収してディストを抱きかかえて空間を破壊してマリーの店に移動した。
「おい、マリー!! ディストがやばいから薬作ってもってこい!!」
「は、はい!! なんでこう予想外の事態ばっか起きるんです本当ー?!」
「知るか!!」
クロウは吐き捨てるように言うと、空間をもう一度破壊して自分の自宅の寝室につなげる。
寝室に移動すると空間は塞がった。
クロウはディストを寝かせると、治療を施していく。
呪いが負荷された四肢は誤って呪い以外の物も破壊してしまいそうなので、持っている浄化剤の液体に浸して呪いをゆっくりと解き、瘴気の毒も浄化する。
体の傷の方は治療液を塗ることで塞いだ。
注ぎ込むように液体を傷口に入れると、ディストは歯をガチガチと鳴らした。
傷が治療し、綺麗な状態に戻る。
切断された四肢も念のため、浄化剤が塗布されている包帯を巻く。
「あー!! あのくそ魔族ろくでもねぇ汚ねぇ液体飲ませやがって」
激痛が快感にいまだに変更されている状態のディストの額を撫でながらクロウは吐き捨てる。
「……悪いな、ディスト、これで勃たなくなったらマジすまん」
クロウはそういうと、ディストの服をすべて脱がし始めた。
ディストは血の止まったきられた四肢を動かしながらもがく。
激痛が酷い快感に変わったままなのだ。
その快感に耐えるのがつらかった。
これを塗りつぶすような何かが欲しかった。
後孔に何か塗られる感触を感じ、過敏になったそこは触られる痛みすら快感に感じていた。
口に何か液体を運ばれ飲まされる。
血とは異なる甘い液体。
これがダンピール用の媚薬だと気づくのに少しばかり時間がかかった。
普段の薬の何倍も強いことには気づかなかった。
体に入った劇薬を別の薬で浄化し、元の状態に戻すために飲まされたことにも。
体の中に何かが入ってくるのが分かった。
クロウの男根だ。
「あ、ア」
喘ぎ声が上がる。
先ほどよりも何倍も強い快感が体を走る。
魔族に蹂躙されてた其処は、すんなりとクロウの男根を受け入れ、媚び始める。
突き上げられる度に、勃起してない自身の男根からとぷとぷと精液が零れる。
ぎゅうぎゅうとクロウの男根を締め付け、クロウの精液を欲しがる。
えぐられる感触に強く絶頂を繰り返す。
けれども勃つことはない、勃つことをしないまま、自身の雄はだらしなく精液をこぼしている。
クロウはディストの後孔から抜くと、人形のように抱えてから背中の方に向けさせ、もう一度深く挿入した。
「っ、ぐぅぅう!!」
濁った喘ぎ声をディストは上げた。
そのまま突き上げつつ、いまだ勃起してないディストの男根を扱く。
ディストの男根は中々勃たない。
「あー……多分あのくそ魔族の体液の所為だな」
クロウは自分の指を噛みちぎり、血を零れさせると、ディストの口に持っていき突っ込む。
ディストはそれをくわえ、血を舐める。
弱まった体を吸血行為で良い方向にもって行こうとしているのだ。
クロウの血のおかげで、血の気がいつもより悪かった顔色が少しだけ戻った。
クロウはそれをなんとなく察知しながら、抱き続ける。
魔族の凌辱を忘れさせるように、甘く激しく抱き続けた。
いつもより早く意識を失ったディストをベッドに寝かせると、クロウはシャワーを浴びてから身なりを整えて店に戻る。
店にはちょうどマリーがやって来た。
「はいクロウさん、お薬です」
「どうもな」
「……魔族に逃げられたと聞きましたが……」
「確実に何か企んでやがる、どうにかしたいが俺も魔界全部ぶっこわすなんてできねぇしそんなことしたら逃げた連中があちこちで魔樹生やしかねないからな」
「……本当、腕利きの方々がいなくなってから魔族も色々好き勝手するようになって困ります……」
「お前が出たら色々大変だしなぁ」
薬を見ながらクロウは言う。
「向こうが本気だしてきそうですからね……ですので本当の非常時しか出れないのが辛いです」
「まぁ、その代わり俺が出るさ。情報屋だって駄々こねてる場合じゃないのは俺がよく分かってる」
「腕利きの人はもうみんな引退してますからねぇ……」
「年には勝てないって奴か」
「……悠久の時を生きつづけるというのも切ないものですね……」
「だな」
クロウは薬を仕舞った。
そして何とも言えない顔をしているマリーを見る。
「しばらくディストは仕事できねぇ、あの状態じゃ無理だ。四肢が侵されてる」
「久しぶりに仕事普通にできると思ったら予想外の事態でしたものね……」
「まぁ、それでも俺とマリーに連絡したのは珍しく賢い。今までなら無理してるだろうからな」
「……それにしても大変ですね」
何とも言えない表情で言うマリーを、クロウも何とも言えない表情で見る。
「まぁ、俺はディストの治療に暫く専念するわ、何かあったらまた来てくれ」
「分かりました」
「後、教会連中に言え、もう少し使えるようになれってな」
「そうですね、お伝えしておきます」
困り顔のマリーが居なくなると、クロウは寝室に戻った。
「おえぇ゛え゛」
部屋に入ると、ディストが床にどろどろとした液体を吐き出している場面と遭遇した。
ディストが吐き終わると、クロウは浄化剤をまき液体を浄化し透明な液体にする。
それを雑巾で拭き、雑巾を洗って干す。
ぐったりしているディストを抱き、ベッドにきちんと寝かせる。
「ハニー具合はどうだ?」
「……最悪だ……」
「だろうな。ほら、薬だ」
クロウはディストに薬と水を飲ませる。
ディストは薬を飲み干すと、再びクロウに寝かされた。
「血飲むか?」
「いらん……」
「そこはいつも通りなのね、飲まないって言っても飲んでもらうから」
クロウの指がディストの唇を撫でると、血の味がした。
ディストの濃厚な血の味が。
呼吸が荒くなる。
体が血を欲する。
ディストは気が付けば舌を伸ばし、クロウの指を舐めていた。
血の味と匂いに頭がくらくらと酔っているような感じだった。
しばらく舐め続けて血が止まったのかディストはクロウの指を舐めるのを止めた。
ディストが目をつぶると、クロウはディストの額を撫でた。
「全く厄がついて回ってるな本当」
そういうと、毛布を掛けて寝室を後にした。
店に戻り、開けると待っていた客たちがどっと押し寄せ、クロウは情報の提供にすさまじい時間を使うことになった。
店終了時間まで客が引かず、クロウは精神的に疲れた。
「あ゛――……他の情報屋よりも情報細かいからって来過ぎだ畜生!!」
クロウの情報は他の情報より細かい、だがその分料金が他の情報屋よりも高いのだ。
それでも、細かな情報、どこで手に入れたかわからぬ写真や、音声データなど、他に情報屋なら頼んでからくるものがすぐに手に入るのだ。
だからクロウの情報屋には人が絶えない。
「……まぁいいか、おかげで金には困らねぇし」
クロウは疲れたように机に突っ伏した。
「……飯食う気にもなれん……」
「相変わらずお忙しそうですね」
マリーの声にクロウは顔を上げる。
「まさか……」
「今回は薬です、ちょっと痕跡調べたら処方した薬だと弱いかもしれないのでちょっと強めの薬を作ってきました」
「なんだ、薬かよ……また依頼かと思って心臓に来たわ……」
クロウはマリーから薬の入った鞄を受け取ると中身を見た。
朝受け取ったものとはマリーが言ってるように違うものだった。
「……それにしてもよく材料揃えるよな」
「栽培と養殖は一族秘伝のものなので教えませんよ」
「いや、いいよ。俺そんな面倒なことできねぇから」
「慣れると楽しいんですけどね」
「そうかい」
「じゃあ、ディストさんの事よろしくお願いします」
「ああ」
マリーが店を出ていくと、クロウは店を閉め、寝室へと向かった。
寝室では目を覚ましたディストがベッドから転げ落ち、床の上でじたばたともがいていた。
息が荒く、目も血色に染まっていた。
「やっべ、かなりギリギリじゃねぇか。なんで俺を呼ばねぇんだよ」
クロウは慌ててディストを抱き起し、首を見せる。
喉元を見るとディストは鋭い牙を見せて喉元に牙を立てた。
クロウは、ディストの吸血行為が終わるのを彼の濡れ羽色の髪を撫でながらじっと待つ。
しばらくして、ディストが口を喉元から離し、血を吸った痕をしたで舐め始めた。
「よしよし。まだ飲みたいのを我慢してるのか、相変わらずだな」
まだ目が血色のままのディストを抱きかかえながらベッドに向かう。
鞄の中に水入りのボトルが入っており、それと薬を手に取りディストに飲ませてやる。
するとディストの目の色が変わり、赤色になる。
呼吸も荒さが少しだけ収まる。
クロウはベッドに一度ディストを寝かせてから、首を撫でて吸血痕を消す。
そして目と髪を黒にし、手を異形化させる。
「さぁ、いつもより栄養価が高いぜ、好きなだけ吸いな」
その手でディストを大事そうに抱きかかえ、喉元に顔を近づけてやるとディストは再び血を吸い始めた。
目が元の闇色に染まると、ディストは血を吸うのを止めた。
クロウは首を異形の手で撫でて、吸血痕を消した。
「ちょっと俺も興奮したから、いつもより荒っぽく抱くけど少しは我慢できるよな?」
「……加減しろ……」
ディストは顔を背けた。
クロウはにぃっと笑って、ディストの首を甘噛みしながら、服を脱がせた。
四肢を欠損したディストの裸体があらわになる。
欠損してもなお、ディストの体は美しいままだった。
ほぐしていない、其処に勃ち上がった男根を擦り付けて、ゆっくりと押し込んでいった。
「っ……ふ……」
ディストは熱っぽい息をこぼして震えた。
突き上げられ、勃ち上がった雄からはえぐられる感触で絶頂している為か、とぷとぷと精液が零れる。
人形のように扱われていると感じつつも、性的快楽には抗えなかった。
粘質的な音と二人の熱っぽい声が部屋に響く。
「はっ……はっ……」
クロウは破壊者の本性を一部出したことで、普段よりも、荒々しくなっていた。
ディストの腸内をえぐるように突き上げながら、体をむさぼる。
美しい体のあちこちに痕を残す。
「ん、ぐぅ……」
ディストはその暴力的な快感にくぐもった喘ぎ声をあげて体を震わせていた。
その様にクロウは堪えられなくなり、ディストの唇を貪った。
長い舌で口内を侵す。
その行為にも耐えきれないと言いたげに、ディストは体をのけ反らせ、逃れようとし、また腸壁はぎゅうぎゅうと締め付けてきた。
その締め付けに、クロウは射精しディストのナカに熱を吐き出した。
その熱に、ディストはまた体を震えさせていた。
いつもの何倍も射精し、ディストも絶頂させられ、意識はだいぶ前に飛んでいるのに突き上げ続けられるという状態だった。
クロウの髪が銀色に戻り、目も海色に戻る。
異形の手も人間の手へと戻る。
「……やべ、やり過ぎた」
クロウはディストの後孔から男根をずるりと抜き取った。
そしてバスルームへと直行した。
自分とディストの汚れを洗い流す。
自身の精液で膨らんだディストの腹を軽く押してみると、ディストの呻き声と共に、後孔から白く濁った液体が泡立って零れた。
それを見て改めて抱きすぎたと反省しつつ、ナカの液体をできるだけかき出した。
それが終わるとタオルで体を拭き、服を着せ、自分も着替えて寝室に戻る。
汚れたシーツの上に置くのはためらわれたのでソファーの上に寝かせ、シーツを取り換えて、汚れたシーツを洗濯機に放り込んだ。
綺麗なシーツが敷かれたベッドの上に寝かせ、布団をかける。
「……」
ちらりと、液体に浸されたディストの四肢を見るが、くっつけてもいい状態になるまでもう少しかかるのが分かった上、液体を交換する必要があるのが分かった。
両腕と両足を取り出し、タオルの上に置いてから、中の液体を捨てた。
そして新しい浄化剤入りの液体を作りその中に両腕と両足を入れる。
「……あーもう少し俺も力使いこなせたらいいんだがなぁ」
クロウはため息をつきながら、いまだ力の一部しか使いこなせてない己を恥じた。
それと同時に、力の使い方ひとつ教えてくれなかった失踪した父親に怒りがわいた。
「……会ったら力制御せずにぶん殴ってやる……」
クロウはそういうと、ソファーに寝っ転がり眠りについた。
朝目を覚ますディストが呻き声をあげていた。
「ディスト?」
その呻き声で目を覚ましたクロウは、ディストに駆け寄り布団をはぐ。
全身に不気味な文様が広がっていたのだ、剣を突きさされた箇所を中心に。
「あの野郎! なんか変なのあるなと思ったけどこれか!!」
クロウは両手を異形化してその部分に手を当てる。
異形化した手がクロウの体の中に沈む。
「おらぁ!!」
何かを握りつぶす。
ディストの体がびくんと跳ねると同時に、文様にひびが入り、消えていった。
「ふぅ、危なかった。つーかよくで来たな俺」
何とか自分の力をうまく活用できた事に安堵しつつ、上級魔族のしようとした企みを阻止できたことにも安心した。
ディストに何かあったらたまったものではないのだ。
クロウは再び穏やかに眠るディストにそっと口づけた。
「……もっと俺を頼ってもいいんだぜ?」
そう言って寝室を後にした。
魔族の狙いはいまだ分からず、けれどクロウはディストの安息を望んだ。
それが、本人にはなかなか受け入れてもらえないと知っても。
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