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最終話

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良く分からない話がひと段落着いた頃、創さんが迎えに来た。
今日は健人君も蓮君も、お店が遅いから宴会は次回になった。
帰り間際
「創先生、たまにははじめ君の体調も気にして上げてね」
と、ハルさんが目に涙を浮かべて呟く。
創さんはキョトンっとした顔でハルさんを見て
「え?ちゃんと健康管理はしてますけど?」
って呟いて首を傾げていた。
帰り道、創さんは運転しながら
「3人でどんな話してたの?」
って聞いて来たけど、友也から
『今日話した話は、絶対に秘密だよ!』
と釘を刺されていたので苦笑いを返す。
「でも、はじめは随分と変わったよね」
運転しながら、創さんが嬉しそうに話す。
「出会った頃は、オドオドしてばかりだったのに……」
「ふふ」って笑いながら、創さんが呟いた。
「そうですか?」
俺が小首を傾げて呟くと
「そうですよ」
って言いながら、創さんが赤信号でブレーキを掛けた。
そして青信号に変わると、何故か信号を右折するのに左折してしまう。
「あれ?創さん!家はあっち!」
指さした俺に、創さんは小さく微笑んで
「折角だから、今日ははじめを独り占めさせてもらおうかなってね」
そう言ってラブホテルへと車を滑らせる。
「もう!無駄遣いですよ!」
駐車場に車を止める創さんに言うと、創さんはエンジンを止めると俺にキスをした。
「今日もハルさん達と宴会って言って来たから、折角だしゆっくりしよう」
そう言われて部屋へと入る。
普段は遅くまでハルさんの家に居るので、ビジネスホテルで眠るだけで帰宅していたので、ラブホテルって初めてだった。
ラブホテルって、おしゃれなホテルみたいになっているのに驚いた。
フロントも明るくて、清潔感がある。
「うわ~!」
っと、俺が部屋の中を走り回って見ていると、創さんがスーツを脱いで居るのが目に入る。
自宅と違い、何か……急にドキドキしてきた。
創さんはシャツだけの姿になると
「はじめ、一緒にお風呂に入ろうか」
って微笑んだ。
「え!い……一緒に?」
驚く俺に、創さんが
「そう。だって、家じゃ一緒に入れないでしょう」
と、平然と言い放つ。
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