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1章 青春の唄
2dbs-彼氏の顔をする友達
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数日後、その日は学校が休みだった。
小見川はいつもより少し遅い時間に起き、1階に下りてダイニングに行くと、テーブルに朝ごはんとメモ書きが残されていた。
メモ書きには『今日スーパーで買い物するから手伝って。午後7時にマルマーケットまで。時間厳守』と書かれている。
小見川はパンの上に被せてあるラップフィルムを外し、冷めた朝食を口に運んだ。
午後7時過ぎ。小見川は仕事を終えた母親とスーパーで合流した。小見川は母親からアレ取ってきてとか、これ買ってきてとか、人使いの粗さに辟易しながら手伝った。
小見川は商品の入ったカゴをサッカー台へ運ぶ。会計を済ませた母親が小見川の隣に並ぶ。
「買い過ぎじゃない?」
小見川は苦言を呈す。
「そんなことないわよ。涼介食べたいって言ってたじゃない。カレー」
母親は47という年にしては若々しい笑みで茶化すように言う。
「そうだけど、これ絶対3人分以上あるでしょ」
「カレーは簡単だし、作り置きできるじゃない。こんなありがたい便利な料理があるなら、使わない手はないでしょ?」
「意地汚いな」
2人は微笑を携えながら言葉を交える。
「ほら口じゃなくて、手を動かして」
「はいはい」
小見川はスーパーの袋に商品を入れていく。その作業をしている最中、小見川は単調な作業に飽きてきて、視線が周りに散らされる。
すると、小見川の視線が止まった。店の東出入り口の端にあるドーナツ店の飲食スペースで、席についている冴島を見つけた。
冴島の前には同じ年頃の女性がいた。冴島の彼女、湯藤愛美だ。
小見川は袋詰めの作業をしながらちょっと盗み見をする。2人のイチャイチャぶりを今度学校で根元達に話してやろうと思った。
しかし、小見川は2人の様子を見て、なんとなく違和感を持った。
「何よそ見してんの?」
「え!? いや、何でもない」
母親に突然声をかけられ、袋詰めに意識を集中させる。
袋に商品を詰め終え、「じゃ、よろしく」とご満悦な母親に2つの大きな袋を渡された。米や大きなペットボトルなどが入っていてむちゃくちゃ重かったが、その不満はすぐに喉を逆流する。
母親は冴島がいるドーナツ店の近くの出入り口に向かってしまった。小見川は変な緊張を感じ、母親の背中に隠れながら出入り口へ向かう。
出入り口に近づくにつれ、冴島と湯藤の表情が鮮明に映し出されていく。出入り口へ入る瞬間、2人をしっかりと見た。
2人の様子はどことなく神妙で、微笑ましい会話をしている雰囲気じゃなかった。
帰りのホームルームになった。既に鞄を机の上に置いている生徒ばかり。
「えー、お知らせすることは以上です。小見川君、ホームルーム終了後に先生の下へ」
「……はい」
小見川は怪訝な表情を浮かべて首肯した。
「じゃ、ホームルームを終了します」
椅子を後ろに引いた音が立て続けに鳴り出す。
小見川は先生のいる教壇へ向かう。
「何ですか、先生」
「ああ、お前の家、冴島の家に近かったよな?」
「はい」
「家庭訪問のプリントを届けてくれないか?」
先生は封筒を小見川に渡した。
「分かりました」
「よろしく頼む」
先生はしわの刻まれた笑みでそう言って、教室を出て行った。
小見川はいつもより少し遅い時間に起き、1階に下りてダイニングに行くと、テーブルに朝ごはんとメモ書きが残されていた。
メモ書きには『今日スーパーで買い物するから手伝って。午後7時にマルマーケットまで。時間厳守』と書かれている。
小見川はパンの上に被せてあるラップフィルムを外し、冷めた朝食を口に運んだ。
午後7時過ぎ。小見川は仕事を終えた母親とスーパーで合流した。小見川は母親からアレ取ってきてとか、これ買ってきてとか、人使いの粗さに辟易しながら手伝った。
小見川は商品の入ったカゴをサッカー台へ運ぶ。会計を済ませた母親が小見川の隣に並ぶ。
「買い過ぎじゃない?」
小見川は苦言を呈す。
「そんなことないわよ。涼介食べたいって言ってたじゃない。カレー」
母親は47という年にしては若々しい笑みで茶化すように言う。
「そうだけど、これ絶対3人分以上あるでしょ」
「カレーは簡単だし、作り置きできるじゃない。こんなありがたい便利な料理があるなら、使わない手はないでしょ?」
「意地汚いな」
2人は微笑を携えながら言葉を交える。
「ほら口じゃなくて、手を動かして」
「はいはい」
小見川はスーパーの袋に商品を入れていく。その作業をしている最中、小見川は単調な作業に飽きてきて、視線が周りに散らされる。
すると、小見川の視線が止まった。店の東出入り口の端にあるドーナツ店の飲食スペースで、席についている冴島を見つけた。
冴島の前には同じ年頃の女性がいた。冴島の彼女、湯藤愛美だ。
小見川は袋詰めの作業をしながらちょっと盗み見をする。2人のイチャイチャぶりを今度学校で根元達に話してやろうと思った。
しかし、小見川は2人の様子を見て、なんとなく違和感を持った。
「何よそ見してんの?」
「え!? いや、何でもない」
母親に突然声をかけられ、袋詰めに意識を集中させる。
袋に商品を詰め終え、「じゃ、よろしく」とご満悦な母親に2つの大きな袋を渡された。米や大きなペットボトルなどが入っていてむちゃくちゃ重かったが、その不満はすぐに喉を逆流する。
母親は冴島がいるドーナツ店の近くの出入り口に向かってしまった。小見川は変な緊張を感じ、母親の背中に隠れながら出入り口へ向かう。
出入り口に近づくにつれ、冴島と湯藤の表情が鮮明に映し出されていく。出入り口へ入る瞬間、2人をしっかりと見た。
2人の様子はどことなく神妙で、微笑ましい会話をしている雰囲気じゃなかった。
帰りのホームルームになった。既に鞄を机の上に置いている生徒ばかり。
「えー、お知らせすることは以上です。小見川君、ホームルーム終了後に先生の下へ」
「……はい」
小見川は怪訝な表情を浮かべて首肯した。
「じゃ、ホームルームを終了します」
椅子を後ろに引いた音が立て続けに鳴り出す。
小見川は先生のいる教壇へ向かう。
「何ですか、先生」
「ああ、お前の家、冴島の家に近かったよな?」
「はい」
「家庭訪問のプリントを届けてくれないか?」
先生は封筒を小見川に渡した。
「分かりました」
「よろしく頼む」
先生はしわの刻まれた笑みでそう言って、教室を出て行った。
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