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1章 青春の唄
3dbs-家探し
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小見川は演劇部が終わった後、冴島の家に向かった。根元達3人も小見川についてきた。熊田が「お見舞いに行こう」と言い出し、それに乗った形だ。
小見川達は冴島の家に辿りつく。古き良き一軒家という外観は建物自体が古臭いというよりも、わざとそういうテイストにしていると思わせた。
小見川は門の柱に取り付けられたインターホンを押す。少し待っていると、玄関が開き、少し驚いた様子の冴島が顔を出した。
小見川達は冴島の部屋に通された。
「思ったよりも元気そうだな」
根元は横に長い長方形の青いハンドバッグを肩から外し、畳の上に腰を下ろした。
「ああ、熱も下がったみたい」
「いつから学校に出られそう?」
熊田は自分の家のように床に寝そべって肘をついている。
「たぶん、明日には」
「んなら大丈夫だな。良かった良かった」
「これ、神沢先生が渡しといてって」
小見川は先生から受け取っていた封筒を渡す。
「あ、これで来たんだ」
「お前、なんか落ち着きないな」
熊田は怪訝そうな表情で冴島に聞いた。
「そう?」
小見川も不思議に思っていた。1人だけ座らず、立ったまま話を聞いている。
「顔色も良くないよ?」
鹿倉も心配する。
「あ、ああ! まだ熱があるのかもしれないな。あ、お茶出すよ。待ってて」
「気にすんなよ! おい!」
熊田が声をかけたが、冴島は急いで部屋を飛び出してしまった。
「なんだあいつ」
「あ!」
根元は思いついた様子で声を出す。
「あいつ、さっきまでやってたんだよ」
「何を?」
小見川がいやらしく笑う根元に聞く。
「決まってんじゃーん。男子中学生がやることで、人が急に来て慌ててしまう」
「あー、はいはいはいはい」
熊田も勘付いたようにニヤける。
「え? なになに?」
分からない鹿倉は2人に問う。
「エロ本読んで、男の子してたんだよ!」
「え!? さっきまで?」
「ちょっとエロ本探そうぜ」
「やめろよ。あいつだって知られたくないんだろうし」
小見川は半笑いで制止する。
「別に冴島をからかうとかしねぇよ。エロ本は俺が見たいだけ」
「どんなのおかずにしてるか気になるしなぁ」
熊田も同調し出す。
「総員、取りかかれ!」
「イエッサー!」
熊田はおどけた様子で敬礼する。
「馬鹿、やめろって」
「そうだよ。やめた方がいいよ」
小見川と鹿倉の制止を無視して、部屋の中を漁り出す熊田と根元。椅子の引き出しやベッドの下などを手分けして見ていく。
「ねぇなあ」
「本当にさっきまでエロ本見てたかどうか分からないだろう?」
小見川は冴島の勉強机に置いてあった漫画を取り、時間を潰そうとする。
「いや、男子中学生ならエロ本の1つや2つ持ってるって」
小見川は呆れて物も言えない。
「ここかな~?」
熊田は押し入れの引き戸を開けた。
「ん? クーラーボックス発見!」
「それが?」
根元が熊田の反応に質問を投げかける。
「あいつ釣りしねぇのにクーラーボックスがここにあるってのはどう考えても怪しいだろ~」
「親父さんがしてて、もうやらなくなったからしまってあるんじゃないのか?」
小見川は漫画に目を向けたまま素っ気なく言う。
「とりあえず開けようぜ」
「お宝発見だぁ!」
熊田は期待を込めた宣言をして、クーラーボックスを開ける。その瞬間、部屋の中に腐った臭いがゆっくりと浸透していくかのように漂ってきた。
「うっ!?」
漫画を読んでいた小見川は強烈な臭いに鼻と口を押さえた。
「何この臭い? ねえ、その中く……」
鹿倉が臭いの元であろう押し入れを見ている2人に聞こうとしたら、熊田が突然飛び退いた。それに押されて固まっていた根元も後ろに倒れる。
鹿倉と小見川は2人の様子に尋常じゃない疑念を抱く。目を見開いて、怯えたように呼吸をする熊田と根元。根元は口を押さえて急いで窓に近寄ると、窓を全開にして嗚咽し始めた。
「どうしたの2人とも!?」
わけが分からない鹿倉も鼻と口を押えながらクーラーボックスの中を覗く。
鹿倉は少しの間固まった。まじまじと見つめて3秒も経たないうちに、恐怖の表情で叫び声を上げて、腰を抜かして後ろにこけた。
階段を駆け上がってくる音が聞こえてくる。青白い顔をした冴島が戻ってきた。
押し入れが開いているのを確認すると、急いでクーラーボックスを閉め、押し入れの引き戸を閉ざす。
小見川はあまりの状況に読んでいた漫画を置いた。
「お前……」
目を見開いて冴島を見つめる熊田は、震えた声で呟いた。
「なんだよ。何が入ってたんだよ?」
小見川はみんなに問いかけた。
「頼む。このことは、誰にも言わないでほしい」
冴島は小さな声でそう言った。
「言わないでって、お前、どうする気だよ」
根元はただ事じゃない雰囲気を醸し出しながら問う。
「このまま……隠し通す」
冴島の答えに信じられないといった様子で根元、熊田、鹿倉は冴島を見つめた。
小見川は押し入れの前で座り込んでいる冴島の後ろにゆっくり近づいた。
「俺にも見せろ」
「え?」
冴島は振り返る。
「友達だろ」
小見川はそう囁いた。冴島は迷った仕草を見せたが、押し入れの戸を開け、クーラーボックスの中身を見せる。
「……!」
小見川は絶句した。
この世のものとは思えないほど、黒く腐乱した小さな体が、クーラーボックスの中に押し込められていた。
小見川達は冴島の家に辿りつく。古き良き一軒家という外観は建物自体が古臭いというよりも、わざとそういうテイストにしていると思わせた。
小見川は門の柱に取り付けられたインターホンを押す。少し待っていると、玄関が開き、少し驚いた様子の冴島が顔を出した。
小見川達は冴島の部屋に通された。
「思ったよりも元気そうだな」
根元は横に長い長方形の青いハンドバッグを肩から外し、畳の上に腰を下ろした。
「ああ、熱も下がったみたい」
「いつから学校に出られそう?」
熊田は自分の家のように床に寝そべって肘をついている。
「たぶん、明日には」
「んなら大丈夫だな。良かった良かった」
「これ、神沢先生が渡しといてって」
小見川は先生から受け取っていた封筒を渡す。
「あ、これで来たんだ」
「お前、なんか落ち着きないな」
熊田は怪訝そうな表情で冴島に聞いた。
「そう?」
小見川も不思議に思っていた。1人だけ座らず、立ったまま話を聞いている。
「顔色も良くないよ?」
鹿倉も心配する。
「あ、ああ! まだ熱があるのかもしれないな。あ、お茶出すよ。待ってて」
「気にすんなよ! おい!」
熊田が声をかけたが、冴島は急いで部屋を飛び出してしまった。
「なんだあいつ」
「あ!」
根元は思いついた様子で声を出す。
「あいつ、さっきまでやってたんだよ」
「何を?」
小見川がいやらしく笑う根元に聞く。
「決まってんじゃーん。男子中学生がやることで、人が急に来て慌ててしまう」
「あー、はいはいはいはい」
熊田も勘付いたようにニヤける。
「え? なになに?」
分からない鹿倉は2人に問う。
「エロ本読んで、男の子してたんだよ!」
「え!? さっきまで?」
「ちょっとエロ本探そうぜ」
「やめろよ。あいつだって知られたくないんだろうし」
小見川は半笑いで制止する。
「別に冴島をからかうとかしねぇよ。エロ本は俺が見たいだけ」
「どんなのおかずにしてるか気になるしなぁ」
熊田も同調し出す。
「総員、取りかかれ!」
「イエッサー!」
熊田はおどけた様子で敬礼する。
「馬鹿、やめろって」
「そうだよ。やめた方がいいよ」
小見川と鹿倉の制止を無視して、部屋の中を漁り出す熊田と根元。椅子の引き出しやベッドの下などを手分けして見ていく。
「ねぇなあ」
「本当にさっきまでエロ本見てたかどうか分からないだろう?」
小見川は冴島の勉強机に置いてあった漫画を取り、時間を潰そうとする。
「いや、男子中学生ならエロ本の1つや2つ持ってるって」
小見川は呆れて物も言えない。
「ここかな~?」
熊田は押し入れの引き戸を開けた。
「ん? クーラーボックス発見!」
「それが?」
根元が熊田の反応に質問を投げかける。
「あいつ釣りしねぇのにクーラーボックスがここにあるってのはどう考えても怪しいだろ~」
「親父さんがしてて、もうやらなくなったからしまってあるんじゃないのか?」
小見川は漫画に目を向けたまま素っ気なく言う。
「とりあえず開けようぜ」
「お宝発見だぁ!」
熊田は期待を込めた宣言をして、クーラーボックスを開ける。その瞬間、部屋の中に腐った臭いがゆっくりと浸透していくかのように漂ってきた。
「うっ!?」
漫画を読んでいた小見川は強烈な臭いに鼻と口を押さえた。
「何この臭い? ねえ、その中く……」
鹿倉が臭いの元であろう押し入れを見ている2人に聞こうとしたら、熊田が突然飛び退いた。それに押されて固まっていた根元も後ろに倒れる。
鹿倉と小見川は2人の様子に尋常じゃない疑念を抱く。目を見開いて、怯えたように呼吸をする熊田と根元。根元は口を押さえて急いで窓に近寄ると、窓を全開にして嗚咽し始めた。
「どうしたの2人とも!?」
わけが分からない鹿倉も鼻と口を押えながらクーラーボックスの中を覗く。
鹿倉は少しの間固まった。まじまじと見つめて3秒も経たないうちに、恐怖の表情で叫び声を上げて、腰を抜かして後ろにこけた。
階段を駆け上がってくる音が聞こえてくる。青白い顔をした冴島が戻ってきた。
押し入れが開いているのを確認すると、急いでクーラーボックスを閉め、押し入れの引き戸を閉ざす。
小見川はあまりの状況に読んでいた漫画を置いた。
「お前……」
目を見開いて冴島を見つめる熊田は、震えた声で呟いた。
「なんだよ。何が入ってたんだよ?」
小見川はみんなに問いかけた。
「頼む。このことは、誰にも言わないでほしい」
冴島は小さな声でそう言った。
「言わないでって、お前、どうする気だよ」
根元はただ事じゃない雰囲気を醸し出しながら問う。
「このまま……隠し通す」
冴島の答えに信じられないといった様子で根元、熊田、鹿倉は冴島を見つめた。
小見川は押し入れの前で座り込んでいる冴島の後ろにゆっくり近づいた。
「俺にも見せろ」
「え?」
冴島は振り返る。
「友達だろ」
小見川はそう囁いた。冴島は迷った仕草を見せたが、押し入れの戸を開け、クーラーボックスの中身を見せる。
「……!」
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