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Q24話 視界は不良だけど、少しでも前に進みたかった
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7月初旬の朝からすでに真夏と言っていいほどの高い気温を記録した。
この季節になると、連日の高い気温でタイヤがバーストし、立ち往生する車はよく見る光景だ。
電車の車窓から見通せる山が自然発火し、辺り一帯が煙臭くなることもある。
そうした現象が僕らの日常生活に影響を及ぼすことも珍しくない。学校の周りは霞みがかったように見通しが悪くなっていた。学校の窓の向こうの校庭や木々、道路も煙で見えづらくなっている。校庭を使っていた野球部の姿はない。
時刻は16時19分。とっくに放課後を迎えているが、教室には何人かの生徒が残っている。誰もが思い思いに過ごしている。
友達と話したり、読書をしたり、携帯をいじったり。残っている生徒の大半は部活に入っていないか、この煙の影響で今日の部活がなくなって暇になったか、電車やバスが止まってどうやって帰ろうか困っている帰宅難民のいずれかだろう。
帰宅難民のひとりである僕は、電車の運行が再開するまで今後の動画制作と宣伝の方向性を考えていた。
あれ以来、生徒会が親身になっていろいろアドバイスをくれる。協力できることがあったらなんでも言ってほしいと、優しい言葉をもらっていた。
アドバイスをくれるのは基本的に一番張り切っている生徒会長なのだが、どれも難しいものばかりだった。高額賞金ともなると、当然難易度は高くなってしまう。
しかし、見込みのないものに闇雲に挑戦するのは、時間の浪費にしかならない。事前の準備に時間もかかるうえ、確率も低い。
何度却下されても、生徒会長は僕の渋い反応にへこたれることはなかった。ここまで必死になってくれる生徒会長に申し訳ないと思う反面、不思議でならなかった。
なぜ、生徒会長は積極的に協力してくれるのだろうか。
慈善活動部の愛崎さんと一緒に出向いた日は、愛崎さんのツテでアポイントを取って相談に来たが、それからは放送で呼び出されたり、愛崎さんからの連絡で生徒会室にお邪魔していた。
気にかけてくれるのはすごくありがたいけど、生徒会の仕事もあるだろうに。なんだか申し訳ない。
実際にやるかどうかはともかく、多岐にわたる高額な案件があることを知れたのは収穫だった。ミネルヴァの検索網にも引っかからない案件もあった。
だいたいの情報はネットに載っているが、情報に偏りが生じていたらしい。高額な報酬を得られる案件は、当然だが難易度が高く、簡単なものなどなかった。
「ようよう親友」
洸大は鞄を持ってクラスに入ってきた。
「まだ学校にいたのか」
「帰ってもよかったんだけどな。煙ん中帰って燻製人間になるのも嫌だったんだ」
洸大は前の席に座った。
「そういう亮士ちゃんは真面目に学校にこもって何してんの?」
「高額報酬が得られる方法を探してるんだ」
「ほーん。まあ、地道にってレベルで達成できる金額じゃないからな。可能性は少ないが、やるだけやってみるのもアリかもな。で、目星はつけたのか?」
洸大は椅子を引っ張ってきて僕の隣に椅子をつけると、携帯の画面を覗き込んだ。
「まだだよ。未成年ってだけで弾かれるせいで、エントリーすらできそうにないものばかりだよ」
ため息をついて適当にスクロールする。リストアップされた案件はミネルヴァに整理させたものだ。条件を絞って表示件数を減らして探すが、賞金額が下がったり、時間のかかるものが多かった。
数十万でも一気に稼げるならやるべきかもしれない。ミネルヴァの力を借りれば、大して時間のかからないものもあるだろう。
「どれどれ」
洸大は僕の横から手を伸ばし、携帯を操作する。
「……これなんかどうよ。俺たちなら十分狙えると思うけど」
洸大はそう言うが、僕らが目標としているのは4600万円だ。
なるべく高額である方がいい。それか難易度が比較的低く、そこそこ報酬がもらえるものであればいいのだが……。
僕は洸大が指を差した案件に眉をひそめた。
「おい、本気か?」
洸大はニタリと笑う。
「マジマジ。俺たちならいけるっしょ」
僕はどこからその自信が来るのか不思議でならなかった。
この季節になると、連日の高い気温でタイヤがバーストし、立ち往生する車はよく見る光景だ。
電車の車窓から見通せる山が自然発火し、辺り一帯が煙臭くなることもある。
そうした現象が僕らの日常生活に影響を及ぼすことも珍しくない。学校の周りは霞みがかったように見通しが悪くなっていた。学校の窓の向こうの校庭や木々、道路も煙で見えづらくなっている。校庭を使っていた野球部の姿はない。
時刻は16時19分。とっくに放課後を迎えているが、教室には何人かの生徒が残っている。誰もが思い思いに過ごしている。
友達と話したり、読書をしたり、携帯をいじったり。残っている生徒の大半は部活に入っていないか、この煙の影響で今日の部活がなくなって暇になったか、電車やバスが止まってどうやって帰ろうか困っている帰宅難民のいずれかだろう。
帰宅難民のひとりである僕は、電車の運行が再開するまで今後の動画制作と宣伝の方向性を考えていた。
あれ以来、生徒会が親身になっていろいろアドバイスをくれる。協力できることがあったらなんでも言ってほしいと、優しい言葉をもらっていた。
アドバイスをくれるのは基本的に一番張り切っている生徒会長なのだが、どれも難しいものばかりだった。高額賞金ともなると、当然難易度は高くなってしまう。
しかし、見込みのないものに闇雲に挑戦するのは、時間の浪費にしかならない。事前の準備に時間もかかるうえ、確率も低い。
何度却下されても、生徒会長は僕の渋い反応にへこたれることはなかった。ここまで必死になってくれる生徒会長に申し訳ないと思う反面、不思議でならなかった。
なぜ、生徒会長は積極的に協力してくれるのだろうか。
慈善活動部の愛崎さんと一緒に出向いた日は、愛崎さんのツテでアポイントを取って相談に来たが、それからは放送で呼び出されたり、愛崎さんからの連絡で生徒会室にお邪魔していた。
気にかけてくれるのはすごくありがたいけど、生徒会の仕事もあるだろうに。なんだか申し訳ない。
実際にやるかどうかはともかく、多岐にわたる高額な案件があることを知れたのは収穫だった。ミネルヴァの検索網にも引っかからない案件もあった。
だいたいの情報はネットに載っているが、情報に偏りが生じていたらしい。高額な報酬を得られる案件は、当然だが難易度が高く、簡単なものなどなかった。
「ようよう親友」
洸大は鞄を持ってクラスに入ってきた。
「まだ学校にいたのか」
「帰ってもよかったんだけどな。煙ん中帰って燻製人間になるのも嫌だったんだ」
洸大は前の席に座った。
「そういう亮士ちゃんは真面目に学校にこもって何してんの?」
「高額報酬が得られる方法を探してるんだ」
「ほーん。まあ、地道にってレベルで達成できる金額じゃないからな。可能性は少ないが、やるだけやってみるのもアリかもな。で、目星はつけたのか?」
洸大は椅子を引っ張ってきて僕の隣に椅子をつけると、携帯の画面を覗き込んだ。
「まだだよ。未成年ってだけで弾かれるせいで、エントリーすらできそうにないものばかりだよ」
ため息をついて適当にスクロールする。リストアップされた案件はミネルヴァに整理させたものだ。条件を絞って表示件数を減らして探すが、賞金額が下がったり、時間のかかるものが多かった。
数十万でも一気に稼げるならやるべきかもしれない。ミネルヴァの力を借りれば、大して時間のかからないものもあるだろう。
「どれどれ」
洸大は僕の横から手を伸ばし、携帯を操作する。
「……これなんかどうよ。俺たちなら十分狙えると思うけど」
洸大はそう言うが、僕らが目標としているのは4600万円だ。
なるべく高額である方がいい。それか難易度が比較的低く、そこそこ報酬がもらえるものであればいいのだが……。
僕は洸大が指を差した案件に眉をひそめた。
「おい、本気か?」
洸大はニタリと笑う。
「マジマジ。俺たちならいけるっしょ」
僕はどこからその自信が来るのか不思議でならなかった。
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